再び大陸に戦争の炎が燃え上がりました人間を疎み拒絶する天翼の王の国に対するはその王が嫌う、人が中心となった故郷を失くした者達が集う国兵達はさまざまな思いを持ったまま戦いへと赴きます戦場はそんな兵達の気持ちを何も語らずに迎えますそして、その意志に関係なく戦いは始まりますこの物語の結末は果たして・・・?
・他者の行動を著しく制限したり、行動を指定するような描写・他者の行動・攻撃等を状況等に左右されず安易に無効とする描写・絶対的強さの行使(いわゆる無敵描写)・一人の力で戦況に大きな影響を及ぼす行動や描写・世界観が大幅に無視されている描写・他の皆に不快感を与えるような行動や描写このような事は、皆さんへの迷惑行為となります自分の行動をよく確認の上、上記の事は控えて頂ければと思います相手の方にも敬意を表して、恥ずべき行動の無い様にお願いします
■大きめの地図(PC閲覧用)http://www.geocities.jp/kichi_k/LG_map/top.html(製作:クロゼットさん)■携帯用の小さな地図(携帯閲覧用)http://la-terre.lostworks.net/map/(製作:コルナ・コルチェットさん)こちらを参考にして貰えれば両国の位置関係や進路などが分り易くなると思います製作・提供をしてくれているお二人に感謝をしたいと思います以上ー!スレッド投稿数制限の為、フィーナの代理で作成しましたー!何かおかしかったら言ってくださーい!
「…なんだか騒がしいことになってるね」久々に故郷へ帰省して、そこから戻って来て呟いた台詞。状況はこちら側…、解放軍がやや不利とのコトだ。実家から引き摺り出してきた荷物を担ぎ、城壁へと足を運ぶ。そこでおなじみの双眼鏡を覗いて、アンプルマ山脈の方を見た。人間に憎悪を抱く、有翼人の軍勢。そんな話を思い浮かべながら、袋から狙撃銃を取り出した。恐らく上空から攻めてくる者が多いだろうと、思った結果がコレに至る。隣に立っていた偵察兵が、怪訝な目線を送ってくるが気にしない。レンズを覗き込み、敵の接近に備えて待機する。
雄叫び、金属音。よくある戦の音だ。ファディア近郊では今その音が響いている。その音の中心地へと真っ直ぐに向かう傭兵騎馬隊。こちらの主力は有翼族の部隊。こちらで地上を牽制し、主力を動きやすくする。まあ、要はいつもと変わらず先陣きって敵陣をかく乱だ。久々の戦場だな。私はまだ生きてここにいる。故に・・・。「行くぞ、遅れるな・・・アターック!」近隣に展開中の敵部隊に向け、突撃を開始した。
「・・・と、早くも始まってますね」すでに、先陣を切って天翼の傭兵騎馬隊がファディア城を警護する敵部隊と交戦中です今回、帝国に戻れずにいた私を迎えてくれたこの国に義理を果たそうと参加したこの戦い・・・心の中にちょっとした違和感を感じつつもこの場にいる以上、命を賭けて戦うのみです「さて、こちらも味方の援護をしつつファディア城へと向かいましょうね・・・」私は、他の遊撃部隊の者と共に気弾を放ち、相手の部隊を撹乱しつつ徐々に城へと接近していくのでした・・・☆ジェリさん、今回は代理で建てて戴いて本当にありがとうでした(ぺこり)
エルフの森、猛き獣の塒。天の槍と解放つための矢。四つの国は海を挟み対峙。縺れ合う様に、いつもの様に、戦いの交差が始まったようだ。同盟でも組めば良いものを…。何度思ったことだろうか。互いは互いを認めず、己が力のみを信じ示そうとする。今期、身を置いた解放軍の中。兵種は多種多様、その一部。思う時、一人だけ馬に乗った目の良い指揮官は叫ぶ。「ファディア城にて交戦中!援護に向う!」一団を形成した部隊が今まさに、盛り場へと行くかのように、どこか力を試すのを喜ぶかのように。
天の翼、その力は良く知るところ。友と呼ぶには痴がましいが、黎明の志士、武を知る者が愛した場所。嘗ては共に闘った赤い髪、翼を持つ者の故郷。魂の安寧を望んだ過の彼らの地。そして…私の始まり…。…まるで…ハカマイリ…。城塞都市ローマスの兵舎より出立は昨日。一団は間もなく時を迎えるだろう。完治はしていないが、動きに支障はない。どうやら薬の相性は良かったようだ。…甘い物のお陰か。繋ぎ止めた命、後、残されていれば。海を越えアンプルマを目指す。荒くれ者が多い歩兵部隊の中。黒い剣を持った兵が一人紛れている。あぁ…墓などないが…。
眼前にファディア城が差し掛かる。敵騎兵部隊と解放軍歩兵隊。城の防備に徹する兵と攻城兵器。まだ攻め落とされてはいないようだが。主力、空からのアメこそが脅威。「突撃ぃぃぃ!!!!」槍壁。前衛、長槍の歩兵部隊が指揮官の怒号と共に。槍先は騎馬隊の脇腹へと。奇襲とは言い難い。だが、対峙の外から車懸かり。剣は中衛、弓矢は中後衛…仕掛けは悪くない…。指揮が良かったのか、士気が高かったのか。単に皆、歩幅が大きかったのだろう。楯を天に構えて号令を待つ。
『戦場にもなってないこんなトコで、銃構えて何やってんの?』怪訝な目で見ていた兵士の声を聞いてから、結構後のコト。補給物資を運んでいるであろう部隊に、僕は加わっていた。内海を船で越えた後、陸地で待機していた馬車でまた移動。目的地はここより北にある、"ファディア城"とか言う城だ。既に先発隊が、敵軍と交戦しているらしい。「その城、先に陣取られてたら面倒だよね」『両軍共々、陣地を賭けてやり合ってるって話だ』乗り合わせたリザードマンの傭兵と、戦地について雑談してみる。状況は不利だと聞いてはいるけど、詳細は何も分かってない。今はただゴトゴト揺れる馬車の中で、到着を待つだけ。
「側面より長槍くるぞっ!」敵に気づいた傭兵の一人が声をあげる。機動力で攻めるこちらにとって長槍の間合いは脅威だ。本来の騎馬隊ならここで体勢を立て直すのだろうが、こちらは傭兵騎馬隊。最前線送り、捨て駒、慣れたものだ。「上等ーっ!」傭兵達は雄叫びをあげ、槍の方向へと突撃を始める。
そして、衝突。勢いのまま槍に刺さる者。槍を掻い潜り突撃する者。戦場は一気にその混沌さを増す。「私も行くか・・・翔っ!」ソランは長槍の間合いに入る手前で愛馬から飛び降りる。そして、風を纏った槍を地上に叩きつけ、その反動で一気に槍兵を飛び越える。狙うは中盤。剣兵と槍兵の間に着地。「・・・勝負っ!」そして、大きく槍を振るった。
胴体と首。分断するように騎馬隊を突き刺して行く前衛。噛み付く口を持った頭部は、体を離れても意思は残る。屍を越えるように、馬の脚は窮屈にしながらも地を蹴る。我先にと擡げながら長槍に、果敢に突進する色の違う兵。馬の声、人の声、そして、槍の声。混ざる様にぶつかり合った。…制せずに、正面から挑むか…。動く槍柵との間を空けず、直ぐ後ろの剣。その様を覗き見る。「槍を折れぃぃ!!」前衛の装備変更と剣兵の突撃の意。指揮官は騎馬隊へと剣を向けるように促し、騎馬同士の戦場へ。徐々に、斑に赤い長槍を投げ始める前衛。
槍の壁を越える者、数人。ある者は飛ぶ馬を犠牲にしながら転げ落ちるように。ある者は、槍を回し負傷を厭わずに振り解きながら。そして、その者は、投石かと見間違うほどに上手く飛んできた。何かの弾みで跳んできたと言うべきか。『・・・勝負っ!』着地と同時に放つ敵。槍を振った角度は剣兵の首元を捉えた。「グゥゥ・・・」目の前で、首を押さえ事実を信じようとしない目。倒れていくオーガの兵。…槍。思うや否や。周りの三つの剣が、気合の声を上げ挑んでいった。咄嗟に楯を背負う。左手に持っていた黒の剣。グリップを回し握り直し、両手で短く持つ。果たして…残るか…。
城へと向かう私達の側方では天翼と解放の地上部隊が本格的に激突しました土埃が舞い上がり怒号と悲鳴が交錯します一瞬、城へ向かう足が鈍る私・・・しかし、再び振り切るように城へと駆け出しますその時、城門の方で小さな爆発が起こります(どうやら味方が城門を突破したようですね・・・なら、上空からの攻撃プラス、この地上の混乱に乗じて私達は一気に城内へと突入しないと・・・!)私は脚の気を上げて速度を増し混乱する追っ手を振り切りますそして、周辺の敵を気弾と蹴りで倒しつつ私も城内へと入り込みました・・・
敵の注意がこちらに向く。まあ、そうだろう。ソランを囲み、襲い掛かる兵士が三人。少々危険だが・・・。一人目の攻撃を避け、二人目の攻撃を寸前で避け、三人目の攻撃を槍で受け流し、ポジションを変える。三人を視界に捉えれる位置を取った。「駆けろぉっ!」槍を振ると突風が吹き荒れる。殺傷能力はないが、敵を味方が展開しているほうへ吹き飛ばす。我らの役目は殲滅ではない。とにかく敵陣を引っ掻き回す事。さて、敵陣を混乱させるにはもうひと暴れか・・・。
次の狙いを定める前にプレッシャーを感じる。こちらに視線を向ける敵兵が一人。黒の剣を持つ長身の剣士。どうやら、今回の仕事の山場のようだな。その混沌さを更に増す戦場。乱戦の中での一対一の状況。この者を抑えねばなるまい。「・・・通らせてもらう!」再び槍を構え直した。
補給部隊と中継地で別れ、戦場へと向かえば。城の近辺では、既に両軍の激しい戦闘が開かれていた。一歩離れた物陰で、状況の確認を急いでいると。やがて天翼の軍勢が、城門を破壊して中へと雪崩れ込む。その混乱の中、僕も勢いに乗じて侵入を試みることにした。この際、特に警戒した相手は敵軍の人間の女。紫色の長い髪を乱しながら、味方を牽制して進む彼女。僕は透明化を維持しながら、息を殺してその後を追う。(…頃合を見計らって、一人ずつ。かな)今後のプランを大まかに描き、敵に紛れて城内へと入り込む。万が一に備えて、懐に収めた銃のグリップを握った。
三つの剣は、その力を発揮出来なかった。屈強な体にも関わらず、空しく風を受け、壁の向こうへと吹き飛ばされた。額当てが印象的なその男。空色の目。得られる情報は、槍と風。人中にあれば、その風も槍も取り回しが難しくなるだろう。『・・と・らせてもらぅ!』この喧騒の中では良く聞こえない。隣り合わせの脅威に、体を持って行かれる気さえする。次々と放たれた解放の矢は空を駆けて上空へ、弧を描いて展開の地へと。両手にしっかりと力を込め、ゆっくりと地に向けた剣先。真っ直ぐに矛先は此方に向いている蒼い槍。
踏み出す時。人のそれとも、鋼のそれとも違う音。後方で土と炎とが宙に舞う。やや後ろに引かれる様に地面が揺れた気がした。予想でしかないが、恐らくファディア城、敵のその攻めに苦戦しているのだろう。事実を振り返らずに、目の前の男の挙動を見ながら、一定の距離を保ち。円を描くように横に動く。水溜り。倒れた仲間に突き刺さった短剣。鎖された空間ではない、この円の中にも他の争いの円が交錯している。決して速くはない足。踏み込んだ際に靴に付いた水の飛沫と土塊を、相手目掛け蹴り飛ばし、追う様に詰め、下方より斜めに。振り上げるように斬れ込む。声も無く息遣いのみ。
大混乱の中、城の中に雪崩れ込んだ私は先んじる味方の援護をしながら、後に続きます「こういう時って、司令室みたいな所を制圧すればいいんでしょうか?でも城内の部屋の配置がわかりませんからとりあえず探し回るしかないですよね・・・」部隊はだんだんと離散しながら城内を探索していきます私も気がつけば人気の少なめな方へと動いていて周りにはあまり人影が無くなっていました「あれっ?部隊からはぐれちゃいましたか・・・?(^^;仕方ないですね・・・気をつけて先に進みましょうか」私は、まだ背後の異質な気配には気づかないままさらに城の奥へと足を進めるのでした・・・
城内へと進撃した敵部隊は、少しずつ散開していく。味方の方は今のところ、一人も現れない。(ここ…、最初から無人だったのかな)ここが制圧されれば、城周辺の味方に影響が及ぶだろう。思案に暮れていると、人間の女はやがて部隊から孤立した。そのまま歩を進める彼女を眺め、周囲の気配が薄れるのを待つ。そして頃合だと判断した時。懐に忍ばせた銃を、女の無防備な背中に向ける。だがこの時、銃身と上着の金具を接触して"カチン"と音が鳴ってしまう。(群れから逸れた羊は、喰われるのが道理)相棒の口癖を思い浮かべつつ、このままトリガーを引く。無情な弾丸は銃声と共に、敵の背を目掛けて飛んでいった。
城のさらに奥へと進んだ私ですがとうとう誰もいない所へ出てしまいます「う〜ん・・・どうやら見当違いの方向だったみたいですね(^^;とりあえず元の方向に戻りましょうか・・・」私がそんな事を呟きつつ戻ろうとしたその時背後に強烈な殺気を感じますそして同時に金属がカチンとぶつかる音が・・・!「誰っ!?」慌てて振り向いた私は乾いた発射音のした方に咄嗟に左腕の篭手を構えます次の瞬間大きな音と共に篭手に衝撃が加わり何かが弾き飛びます
「くっ!狙撃されたんですか?しかし、いったいどこから・・・!?」私は、自分の周りを見渡しましたがそれらしい人影は見当たりませんしかし、気の感覚が誰かが付近にいる事を感じさせます「とにかく相手を見つけないと・・・このままでは敵の的になるだけですからね」私は、体の気を活性化させて、感覚をさらに高め相手の命の気を探っていきますまた、同時に右腕の気も高め、気弾を生成しますそして・・・「隠れてないで出てきなさい!」私は叫ぶと同時に、何も無い空間・・・いえ・・・相手の気を確認できた場所に数発の気弾を打ち込みました・・・
(簡単にはいかないな)女は迫る弾丸を、左腕の篭手で弾く荒業を見せる。そして自身に言い聞かすかのように、一人で言葉を連ねている。その間、近くに僕が居るということを察したのだろうか。こちらを睨む女の右腕に、魔力とは異なる別の力が宿り始める。(…あれが、いわゆる気功って力かな)しばらく観察していると、女は気功を僕に向けて打ち出す。この程度の反撃は想定していたから、対策も考えてある。僕はその場に身を屈め、体勢を低くする。いくつもの気弾は僕の上を通り抜け、通路の壁にぶつかって消えた。
『隠れてないで出てきなさい!』気弾を放つ少し前に、女が言った言葉を思い浮かべる。人間が著した物語だと、このセリフで悪役は親切にも姿を現す。そして姿を曝け出した悪役は、いつも呆気なく倒されてるモノだ。僕は姿を消したまま、右手の鍵爪をぎゅんと伸ばす。銃は音の発生源、位置を特定されやすくなるからしばらく使わない。勢いよく地を蹴って駆け出す。さながら四足の獣の如く、低い位置からの奇襲を仕掛ける。狙うのは、左足の腱。すれ違い様に鍵爪を振るい、すぐに振り返って反撃に備える。
様々な音の混ざり合う戦場。いつどこから攻撃かくるかもわからない状況で、ソランは目の前の男に意識を集中する。お互いに間合いを探りあう。先に動いたのは剣士のほう。応戦しようと身構えるソラン。が、先に飛んできたのは水と土。咄嗟に手でそれを払う。この状況で目をやられるのは命取りだ。その隙を見計らって、剣が一気に跳ね上がる。槍で防ぐのは間に合わない。瞬時に上半身を後ろへ反らす。
ガキィン、と響く鈍い音。剣はソランの額当てを大きく弾き飛ばす。(やるな・・・!)一瞬遅れていれば首が飛んだか。ソランの額を伝う一筋の血。致命傷ではない。すぐさまバックステップを踏み槍を構える。この挙動は剣を受けてから一瞬。ほんの少し、相手の間合いから離れた。だが、それは槍の間合い。槍を握る手に力を込め、正面を狙う正直な突きを放った。
私の放った気弾は相手に当たる事も無く素通りして通路の壁にぶつかりますそして再び静寂が私を包みます(やはり、相手の方は姿を現しませんね・・・まあ、姿を消して背後から銃を撃つような方が素直に姿を晒すはずがありませんね・・・でも、私にはその手は通じませんよ・・・)私は目を閉じて、周辺の感覚をさらに高めます瞼の裏に相手の姿が影のように浮かび上がりその手足の動きまで忠実に再現されていきますそして、その影は低い体勢から私に向かって勢いよく地を蹴って接近してきます
(銃での攻撃を止めて今度は武器を持っての接近戦ですか・・・でも、真正面からの素直な攻撃は動きが少々速くても充分対処出来ますよでは、こちらも反撃させて貰いましょう・・・)私は、彼の腕が私の脚に振り下ろされた瞬間ふわりと飛び上がり攻撃を避けますそして、私はそのまま体を180度捻ると振り返った相手の体めがけて振り上げた右脚を蹴り込みました・・・
振るった鍵爪は空を切り、振り返れば敵の追撃。宙に飛び上がった女は、体を捻って蹴りを放ってくる。対処の早さに戸惑いつつも、腕を交差させて守備を固める。両腕にかかる衝撃に身を任せ、その場からさらに後退した。透明化の膜が、蹴られた左腕から徐々に剥がれていく。やがては全身を覆っていた膜が崩れ落ち、僕の姿を曝け出す。「有翼種の長も寛大なんだね。大嫌いな人間を配下に置くなんて」女の姿を見てから、ずっと思っていたことを口に出して。小首を傾げながら腕を組み、その顔をまじまじと見つめる。それからしばらく時が経った後、納得した様に手を叩いた。
「ああ…、だからここまで、死ぬ為に来たんだ」そう呟いた後、徐に背を向けて尻尾をゆらりと揺らす。親しいネコ族の間では、別れのアイサツ代わりに使われる動作だ。「ここにいる以上、キミ達はもうじき焼け死ぬワケだし。 他の仲間が見当たらない以上、僕の役目はこれでオシマイ」敵の死を、死因をも決め付けた上で歩を進める。少し歩いた先で、思い出したかのように振り返る。「どの道キミはもう逃げれないし。 出会った記念に遺言の一つぐらい、聞いておこうかな」再び隠した背の裏に、拳銃を忍ばせて問いをかける。敵の口から、疑問の声が上がるのを期待しながら。
私はうまく相手の攻撃を避けると、蹴りを相手へと蹴り込みます相手は蹴りを腕で防御をして、そのまま私との距離を取りました私が目を開けると目の前に徐々に相手の姿が浮かび上がってきますそこには猫族の姿をした男性が鍵爪を装備して立っていました彼は、こちらをまじまじと見つめながら死ぬだの何だのと訳の分からない事を話していきますそう言いながら彼からは今も強烈な殺気を感じていました(とりあえず銃への対処だけには注意しないと・・・まあ、簡単に撃たれるつもりはありませんけれどね)
「このままなら、私の遺言より貴方の謝罪の言葉を聴く事になると思いますよそれに私はこの後貴方を倒して堂々とここを出て行く事になるでしょうから遺言など必要ないですね!」私は彼を睨みつけて言い放つと彼に向かって走り出しますそして直前で飛び上がり彼の背後へと着地します「あらっ?こんな所に危ないものが・・・」私は背後に持つ銃を確認しながらその背中に向けて再び右脚を蹴り込みました・・・
返ってきた台詞といえば、実に強気な内容だった。僕を睨んだ女はこちらに駆け出し、直前で再び飛び上がる。それから僕の背後で地に下りて、背中に蹴りをくれた。当然ながら、素直に食らってやるほど鈍感ではない。女が蹴りの動作に入る前に、僕は前へと飛び出していた。ただ忍ばせた銃は運が悪く、蹴りを銃身に受けて餌食となる。驚いて後ろを見れば、銃は赤い粉塵を吐きながら堕ちていく。手中に残っていたのは、銃だったモノのグリップだけ。半身の行方を追ってみれば、火薬に塗れて女の足元に転がっていた。その様を見て、しゅんと身を竦ませる。目線は明後日のほうへと向けて、怯えているように見せた。
「うぐぐ…、銃が壊されちゃった…」右手に持った武器の残骸を、あとずさりながら放り投げる。くるくると廻りながら、それは女の足元にと落ちて。生まれたのは、強い光と激しい熱。残骸が床にぶつかり、弾け飛んだ火花に火薬が引火して。落下地点から小さな爆発が、その辺りに巻き起こった。女の感が避ければ、引火を察知して爆発を避けることも容易だろう。だが、目の前に燃え広がる炎を超えなければ、僕の所へは来れない。自分で生み出した炎に怯えながら、万が一の追撃に備える。炎に対するトラウマは、未だに癒えていなかった。
私の放った蹴りは、相手へは当たらなかったものの運良く銃を破壊する事には成功しますこれで相手の脅威を一つ取り除けましたね彼は予想以上にショックだったのか身を竦ませ怯えるような仕草で小声で呟きながら後ずさりしていきますその姿に、思わず私の緊張感が少し揺らぎました彼は銃の残骸を、後ずさりながら放り投げます私の視線が銃へと移り、そして落下地点に移ります「!!・・・いけないっ!!」私は彼の企みを察知して気の防御を展開しつつその場から飛び上がりますしかし、僅かに展開が遅れた為気の隙間から体に熱を浴び、爆風に吹き飛ばされそのまま城の壁に体を叩きつけられてしまいます
「ぐはっ!!・・・うううっ!」体を衝撃が貫き、思わず地面に倒れ込みます体の表面は一部火傷をしたようで僅かに肉が焦げる様な臭いもします「ううっ・・・ま、まさかあんな手に出るとは・・・でも、この位でやられたりはしませんよ・・・」私は痛む体を気で治しながら何とかその場を立ち上がりますしかし、私の視線の前には炎の壁が立ち塞がっています「こ、こんな炎の壁なんか、気の防御で何とか・・・」私は、一つ大きく深呼吸をすると体全体を気で覆い炎の中に突入しますそして、防ぎきれない熱に体を焦がされながらも何とか反対側へと抜け出ました
「ふぅ・・・はぁ・・・よ、よくも酷い目に合わせてくれましたね!逃がしはしませんよ!覚悟しなさい!」目の前で、何故か怯えたように立ち竦んでいる彼にこちらの体の疲弊を悟られないように私は相手を睨みつけ、強い口調で言い放ちました・・・
爆発の瞬間、その光と音に驚いて目を閉じていた。恐る恐ると目を開ければ、目前に赤々と燃え盛る炎の壁。その向こう側から、炎が混じった闘気を纏って敵が迫る。炎に焼かれた身形からして、ダメージは与えられたようだ。"酷い目に合った"らしい敵は、怒りの声を上げて僕を睨んでいる。その声に対して僕は、軽蔑するような笑みを見せ付けた。「キミこそ、覚悟は出来てるのかな。 今更"覚悟しろ"だなんて、愚問にも程がある」紡ぐ言葉は、敵のあらゆるモノを否定していく。「キミに言わせる覚悟は、甘くて生温いものなんだね。 その程度の火傷で酷い目なんて…、僕を馬鹿にしてるの?」
表情は笑顔のまま、心を抉る様な言葉を並べていき。広げた両手に風の魔力を込めて、それを天へと掲げた。「"私は必ず生きて帰れる"って思ってるのなら。 その願いの一部を改悪して、僕が叶えてあげる」その魔力は小さな竜巻となり、辺りのモノを吸い込もうとする。爆発で崩れた瓦礫の屑も、燃え盛る炎も例外じゃない。「忌わしき災禍よ、再び全てを喰い尽くせ」両手を前に突き出して、その力を解き放ってやれば。狭い回廊の中、瓦礫と炎を喰らって"災禍"は成長する。時が過ぎれば、目前の敵だって餌と化すだろうけど。 そこまで成長を遂げるには、まだ時間が足りない。
水の歩と土の駒。打った一手は泥の策。唯一。黒は彼方へと額当てを持っていく。抜群の体捌きを見せる空色の目。引いた反動を餌にして瞬時に攻撃を仕掛けてくる。貯えられた力が正面から一直線。放った両手を内に絞り、手を返す。剣先はやや下向きに流れ、伸びる槍に当てるように回すが、摩れる程度の軽減。足元に強引に力を入れ、その動作と同時に、対した状態から横に体を向けるが、青の直線は剣の障害にも衰えることなく走る。前脇腹を覆う黒い皮鎧の一辺を突き通す。楯に達し金属の振動が背に伝わる。当てた剣で、そのまま押し出すように槍を振り抜く。泥の残りと額当て。それらが地に着く画。
鋭く捉えられた傷。達したのは明確。激痛が襲う。だが、確かめる余裕はない。痛みが無くなるのは終わる刻。赤が大きい青の槍を伝うことだろう。剣を、体を、振り回しながら、やって来るであろう槍の突きを警戒。間合いを取るように離れ2歩。剣を地に突き刺し、勢いは良く。倒れている死体へと手を伸ばしながら、体勢は地と平行、横っ飛び。刺さった短剣を抜き投げつける。地面擦れ擦れを行き、槍の主の足元を狙う回転する短剣。表情は変わらず、言葉も発せず。顔には土の跡、口には砂利の味。投げたと同時に地に体を打ちつけ転がり立ち上がる準備。行方も分からず。剣は握ったまま。首を鳴らす。
私の放った言葉に嫌がらせのように相手は否定していきますその人を軽蔑した態度は挑発と分かっていても心の中から怒りが沸いて来ますそして、彼はさらに私を逆撫でするような行動に出ますここで彼の放った風の魔法らしきものはすべてのものを喰い尽す魔法のようですそんなものを解き放てば被害は私達だけでは済まない筈です(こんなものを成長させる訳にはいきません・・・!とにかく早く術者を叩かないと・・・!)私は意を決すると彼に向かって走り出しますそして、そのまま彼の左側に回り込み近距離からの気弾を発射します「私は、貴方をここで倒して、自分の力で運命を切り開きます!」
自らが放った竜巻を眺めながら、再び後退っていく。かつては一つの都を食い尽くそうとした、紅の竜巻。今回は室内であるためか、規模は小さく風力も弱い。向かいの敵は、その小さな風を左に避けて来る。目前まで迫った敵は、至近距離で気弾を放った。この攻撃には対応が遅れ、左肩にその気弾を受けた。その衝撃に突き飛ばされ、右側の壁に叩きつけられる。痛みに表情を歪めるが、減らず口は尚も止まらない。「覚悟を決めた一撃が…、この程度か…」背を壁に伝って、よろよろとその場に立ち上がりながら。痛みに襲われる左肩を、右手の爪を立てて鷲掴みにした。
「…キミ、敵を殺したことがないだろ」浮かべていた笑みを消し、獣の鋭い双眸で女を睨んで。唸る様な低い声を上げ、威嚇するように牙を剥いて。ごく普通の人生を歩んだ者なら、その多くが不快に思う問いを問うた。かく言う僕自身も、直接敵を殺めたことはない。けれど間接的にならば、数え切れないほどの数を殺してきた。昔は酷い罪悪感に襲われたけど、今ではそれが自信になっている。「鼠も獲れないキミ如きが、僕を倒す? 残念だけど、そんな世迷言に付き合ってる暇はないんだ」徐に左腕を上げ、手をぱっと広げて見せる。そこに物理的な結界の膜を張り、通路を分断した。
「少し前にも言ったけど、僕の役目はもう終わってるんだ。 今頃は僕の仲間が、城の入り口を塞いで火を放ってるからね」最初に"もうじき焼け死ぬ"と言ったのは、二行目の台詞が理由だ。ただしこれはただのブラフで、実際にそんなことをする時間はなかった。この嘘がバレても、敵はやがて竜巻に呑まれる運命だと思い込んでおく。「んじゃ、僕はそろそろ引き上げるとしますか。 サヨウナラ、せめて名前ぐらいは知っておきたかったよ」それから勝利を確信した笑みを浮かべて、再び後退りを始める。ひらひらと手を振って、別れを告げているその心中は。保険として張った結界が、いつ壊されるかと警戒していた。
私の気弾は相手の左肩に命中し相手はそのまま壁に叩きつけられますしかし、彼の皮肉な言葉は止まりません確かに私は人を殺した事は無いですそれは、私の主義でもあり誇りに思ってる事ですが彼に世迷言扱いされれば、やはりいい気はしません(まったく、この人は・・・どこまで人の気持ちを逆撫ですれば気が済むんでしょうね・・・)ふと、そんな事を私が考えてる間に彼は手を広げて何かを行なっていますそして、気がつくと彼は私との間に結界のような幕の壁を生成してしまいます
「しまったっ!!」私は慌てて駆け寄り結界を叩き、さらに蹴りあげましたがすでに、結界は透明な壁になって、彼との間を分断していましたしてやったりの表情の彼は仲間が入口に火を放ったと言います(ううっ!こ、このままでは本当に焼け死ぬかあの竜巻の餌食になってしまいます!何とかしないと・・・!)焦る私は、今度は何度も結界に体当たりをしますが結界の壁はびくともしません私の頭の中にふっと自分の死の情景が浮かび体の中を冷汗が滴り落ちていきます・・・「はぁっ!はぁっ!・・・だ、駄目!壊せない!・・・一体どうしたらいいの!」
振り返ると、背後では竜巻は先ほどより大きくなっています向こう側では、彼が私の慌てる様を笑いを堪えるように見つめながら徐々にこの場を逃げ出そうとしています「悔しい!こんな壁さえなければ!・・・・・・壁・・・(壁に触れる!!・・・これが物理的なものなら呪詛を使えば!!」私は、手袋に装備した氷の呪詛に体の気を集中します両手に大きな冷気の弾を形成した私はそれを壁に向かって叩きつけます冷気弾はそのまま壁に浸透していくようにそのまま全体を凍らせていきます
(呪詛の絶対冷気で壁は変質して脆くなってるはず・・・後は全力で突き抜けるのみです・・・!!)私は、体全体の気を高めて全力で左肩から壁に体当たりします遂に壁は衝撃で砕け散り私は倒れ込みながら相手の目の前に到達します「はあっ!!はあっ!!はあっ!!・・・・・・さ、さあ!もう逃がしはしませんよ!」大きく息を荒げ弾ませながら私は、彼を見上げて言い放ちました・・・
思えば、予想以上に時間をかけてしまった。壊れない結界を蹴飛ばす女を見ながら、まず思ったコトだ。この城に突入した敵は、彼女一人ではないというのに。けれど、彼女の相手はこれでおしまい。一先ず安堵して、別の獲物を求めて振り返ろうとした時。結界の妙な変化を感じ取って、その場で足を止めた。氷結化していく結界を見て、小さくため息をつく。その後間も無く、彼女の体当たりによって結界は砕かれた。そのまま床に倒れこんだ女は、尚も敵意溢れる目で僕を睨む。間近に迫る死を感じた様子で、心的に相当な疲労が見られる。にも関わらずこの女は、尚も僕へ"逃がしはしない"と言ってのけた。
地に屈しても尚、強気の姿勢を崩さない女に対し。僕は懐からスペアの銃を引き抜き、その銃口を向ける。「キミは確か、少し前にこう言ったよね。 "私の遺言より貴方の謝罪の言葉を聴く事になる"って」グリップを両手で握り締め、少しずつ魔力を流し込む。標準を女の頭蓋に合わせて、狙いを定めて。「ゴメンね、最初からこうするべきだった」トリガーに掛ける指に、力を込めた。「おやすみなさい、これでオシマイにするから」銃口から放たれた光弾は、女の眉間を目掛けて―。
槍は届いた。直撃ではないが、相手の脇腹のあたりを貫いた。だが、槍は剣に押し返される。それと同時にソランも引き、相手も間合いを取った。あのタイミングで受け流しに行くとは、相手もかなりの死線をくぐり抜けてきている者のようだ。少しでもこちらの突きに迷いがあればカウンター一閃だろう。今の一撃が、どこまで相手を追い詰めたかはわからない。この場を維持すべきか、他の援護に回るべきか。一瞬の思考の間、その一瞬に割り込む敵の行動。横に飛んだ。まだ戦力があるか。追撃をしようと踏み込む。しかし、敵の刃のほうが速かった。重心のかかった足に短剣が刺さり、その場に膝をついた。
あの状況でこれができるとは・・・戦士だな。ダメージがあるのは相手かもしれんが、タイマンは厳しい。このままこの男と戦うにはリスクが大きすぎる。「ヒューイっ!!」槍を地面に叩きつけると風が舞い、無理矢理ソランの身体を空へと押し上げる。そして、どこからか走ってきた愛馬がその着地地点にいた。「悪いな、この場での目的は果たした。背を向けさせてもらう」この一帯の敵陣の牽制。それが傭兵隊の仕事。今や乱戦状態。その男から離れるように、城を目指した。
結界を突破して、勢い余って倒れ込んだ私はあえて起き上がらないままに、彼を睨み付けました実は、出来れば倒れてる事で彼に油断をさせて次の攻撃を単調にさせられればとの考えでした目論見は半分は成功して彼は堂々とこちらに体を向けますただ唯一の誤算だったのは彼が予備の銃を隠し持っていた事ですそして、彼はその銃口を私の方へと向けます
(くっ!まだ銃を隠していたんですか!?でも、今回は見えてる分、指の動きまでしっかり確認出来ます何とか銃弾をかわして攻撃を仕掛けないと・・・!)私は、彼の手の動きに全神経を集中します次の瞬間、彼の指が引き金を引き乾いた音と共に光弾が発射されますそれと同時に、私は体を左に移動させ弾を寸前で避けるとそのまま彼に向かってダッシュし接近しますそして、彼の腹部めがけて右脚を蹴り込みました「残念でしたね・・・終わりにはまだ早いみたいですよ」
弾丸は目標を見失い、地に光を残して滅した。女は右側に素早く移動して、僕へと向かってくる。薄々予想は出来ていたけど、反応が追いつくワケではない。射撃後の反動を受けたまま、無防備な腹に鋭い蹴りが放たれた。「ぎ…ッ!? ぐぅ…!」中途半端な回避行動が災いして、後方へと吹っ飛ばされる。壁に背中を激しく打ち付け、尻餅をついたまま苦の唸りを上げた。それでも頭は下げず、蒼の双眸はこちらを見下ろす女を睨み続ける。『残念でしたね…終わりにはまだ早いみたいですよ』少しの余裕を取り戻した声に対して、鼻を鳴らして笑った。
「往生際が悪いよ…。どう足掻いても結果は同じだ…」敵を散々罵った口で、今更泣き言なんか言える訳がない。腹の痛みに息を荒げながら、今も尚憎むべき敵を演じ続けた。「結局は皆、風の牙に弄ばれて―」そこに座り込んだまま、右手でくいくいっと手招きをする。招いたのは彼女ではなく、その後ろで今も荒れ狂う竜巻だ。ある程度の成長を遂げた"災禍"は、女の背後へと迫って来る。近くなる風音に聞き入りながら、僕はゆっくりと目を閉じた。「その最後には…、骨の髄まで噛み砕かれるんだ…」
右脚は狙い通りに彼の腹部に蹴り込まれ彼は後方へと飛び、壁に背中を打ち付けますしかし、彼は苦しむような唸りを上げながらもまだ余裕を見せ、私を鼻で笑いました・・・「往生際が悪いよ…。どう足掻いても結果は同じだ… 結局は皆、風の牙に弄ばれて―」彼はそう言いながら、右手を手招きしますその時、背後へと風が流れ出し風音が増します慌てて私が振り向くと、先ほどの竜巻が大きさを増して私の背後へと迫って来ています「その最後には…、骨の髄まで噛み砕かれるんだ…」 そう言って彼は休むように目を閉じます
「ううっ!このままでは本当に噛み砕かれてしまいます!しかし、これはどうやったら止まるんですか?やはり、彼の意識を狩らないと術は止まらないんでしょうか?それとも、彼は竜巻と共に死ぬ気?・・・そんなはずは・・・」(とにかく、このままではいずれ竜巻にやられてしまいますなら、今出来る事を最後までやり抜くのみですね!)私は、彼へと向き直ると再び彼に向かって走り出しますそして、再び氷の呪詛に気を集中して両手にそれぞれ拳大の大きさの氷気弾を生成しますそして、その一発を相手に向かって発射しました・・・「貴方の望む結果など、私が絶対に書き換えてみせます!」
座ったまま深呼吸をして、呼吸を少しずつ整える。腹には左手で治癒の印を組み、その痛みを和らげていく。風音が迫るにつれて、近くなる敵の足音と独り言。獣の尖った耳はそれらを聞き分けて、ぴくりと動いた。その後でまた拾った音は、結界が壊れる時に聞いた音と似ている。確か、氷結の呪文だっただろうか。そう思って蒼の瞳を開いた時。冷たくて鋭い痛みと衝撃が、僕の右肩を駆け巡った。「……」声も無く、目を見開かせて。壊された結界のように凍り付く、自分の右肩を眺めた。
『貴方の望む結果など、私が絶対に書き換えてみせます!』氷の気弾を構えた敵の声。視線を声のした方へと向けて、口を尖らせた。肩から始まった氷結化は、徐々に腕のほうへと広がっていく。「人間が歴史を作り上げる時代は、もう必要ないだろ。 物語を描くのは、必ずしも人間でなければなけない。 そう考えてるのは、身勝手な正義を振り翳す人間達だけだ」蒼い冷酷な眼光で、敵の瑠璃色の眼を射抜かんばかりに睨む。「この物語は僕が描く。キミなんかに邪魔はさせない」竜巻を操作する右手の動きが鈍くなる。右手の氷結化が進む今も、竜巻は女に迫り来る。ただ風力は少し弱まり、速度も遅くなっていた。
氷気弾は相手の右肩に当たりそのまま徐々に右腕を氷結させていきますすると、どうやら右腕で操作していた竜巻の動きが鈍くなってきました「とりあえず右腕を凍らす狙いは当たったようです後は貴方の意識を絶てば、竜巻が止まりそうですねあ・・・ちなみに技の性質が少し違うのでさっきの壁のようにはなりませんから凍り付いても死ぬような事はありませんよですから安心して凍って下さいね」私は、再び竜巻の動きを警戒しつつ開いた片手に氷気弾を生成しながらまずは、相手が逃げられないようにもう片手の氷気弾を彼の脚をめがけて放ちました「残念ながら、貴方には脚本家は向いてないと思いますよ・・・」
右腕の次は、前に投げ出された左足。その部位も氷の気弾を受け、氷の膜に覆われていった。氷に身体機能を蝕まれているせいで、頭がクラクラする。女の長い台詞も、その殆どを聞き逃していた。『貴方には脚本家は向いてないと思いますよ…』唯一聞き取れた言葉に、耳をぴくりと動かして答える。「知ってるよ…、所詮は下手の横好きさ…。 この先の展開だって…、王道過ぎて面白くないかもね…」空いた左手で眼を覆い、顔を天に向ける。指の間から右目を覗かせ、自嘲気味に呟く。「大層な敵を演じるつもりはなかったけど…」
その眼光は、徐々に蒼から金色へと変化していく。それに比例して竜巻は消え失せ、意識も薄れていった。この後に紡がれた言葉は、既に"僕"の言葉ではない。「こっから先は、俗に言う第二形態ってヤツだな」この台詞の後、左手を下ろして金色の双眸をギラつかせる。内から炎の魔力を湧き起こし、身を縛る氷を消し飛ばした。「ったく…、大口叩いて結局は他人任せかよ」この身に自前の炎を纏わせながら、"オレ"はその場に立ち上がる。目前の女に獰猛な笑みを見せ、埃を払うように右肩を叩いた。「つーワケで、第二ラウンドの開幕だ。 チープな展開だが、まぁテキトーに楽しんでくれ」
二発目の氷気弾も当たり、徐々に凍り付いていく彼・・・これなら何とか・・・と思った次の瞬間彼から感じる気配ががらりと変わります彼の瞳色が蒼から金色に変わりそれに合わせて吸収されていくかの如く竜巻が消え失せていきますまるで別の人格が彼の体を乗っ取った感じですねそして、彼は体に炎を纏い、私の氷気を消し飛ばします「つーワケで、第二ラウンドの開幕だ。 チープな展開だが、まぁテキトーに楽しんでくれ」 獰猛な獣のような雰囲気の彼に、私は思わず苦笑いをします「まあ、確かにこんな話は良くありますけれどね・・・でも、女相手に実質1対2ですか・・・大人気ないですね〜(^^;」
しかし、私の心の方はその余裕の表情とは違い緊張度が増していきます(確かに第二形態と言うだけあって先ほどよりかなり攻撃力が上がってる感じですねとにかく相手の攻撃を出来るだけ喰らわないようにしないと・・・)私は大きく深呼吸をして心を静めますそして改めて覚悟を決めます(とにかく彼を倒すのみ!・・・ですね)私は、彼に向かって走り出しながら、数発の氷気弾を放ちますそして、直後に真横へ回り込むと彼に向かって気を纏った右脚を思い切り蹴り込みました
あまりにも唐突なこの展開。反応に困ったらしい女は苦笑して、オレも笑い返す。『まあ、確かにこんな話は良くありますけれどね… でも、女相手に実質1対2ですか…大人気ないですね〜(^^;』「今更女の子ぶっても手遅れだぜ? 子猫の胴体ドカドカ蹴っ飛ばしたその挙句に、 氷で動き縛って生殺し…、どこの雪の女王様だ?」実に大人気ない論を並べてから、悪戯っぽく舌を突き出す。懐から折り畳んだ三角帽子を取り、広げたソレを深々と被った。「それにアンタ、性別を理由に手加減してほしいワケじゃないだろ」尤も、戦場ではソレが普通なのだが。その戦場、オレの真正面で女は深呼吸を始めた。
口の中に火種でも放り込もうかと思った時。意を決したかのように、女はこちらへ氷気弾を放った。恐らくはけん制だろう。前方に炎を燃え上がらせ、気弾の進攻を抑える。気功の力は計れないが、術師の炎を貫けるとは考えない。女の行方を目で追えば、既にオレの真横に居る。気功を纏った右足で、例の如く蹴りを放ってきた。確かにコレなら、纏った炎を貫くことは出来るだろうが。「速さは認めるが、攻め手が単純」蹴りが胴を射抜く前に、女の斜め前に躍り出る。ガラ空きの頬へと、火を纏う右手を差し出した。「顔のキズは猫族の勲章だ、出会った記念にどうだ?」紅蓮の爪が、インクを滴らせたペンの様に迫る。
相手はこちらの氷気弾を炎の壁で防御しますそして、蹴りを受ける前に避けながら移動して炎の纏った爪を私の顔へと振り下ろします私は、慌てて左脚で後方に跳び何とか爪の攻撃を避けました「いくら性別を理由に手加減してほしくないからって顔に傷なんて入れられたら、女にとっては致命的ですよまったくえげつない攻撃をしますね・・・(^^;だいたい猫族だって、女性は顔の傷を勲章だなんて言わないだろうと思いますが・・・」
だんだんと自分の言葉まで悪くなっていくのをさすがに気分が悪いなあと思いながらも私は体勢を整えると再び彼に向かっていきます「攻め手が単純ですか?ではこのくらいは余裕で大丈夫ですよね?」私は彼の正面へと突っ込み、ぎりぎりの所で左に回り込み近距離からの気弾を放ちながら上へと跳び上がりますそして、彼の動きを確認しながら彼の頭上から右脚の踵を振り下ろしました・・・
焔の爪はやはり避けられ、距離を取られる。素早い敵ってのは、どうも仕留め難い。「顔にキズぐらいは覚悟の上だろ、嫌ならメットでも被ってこい。 ま、"表"に言わせりゃアンタの覚悟とやらは甘くて生温いらしいが」この口論もきっと、どちらかが倒れるまで続くことだろう。そう思えば、体制を立て直した女は再び向かってくる。『攻め手が単純ですか? ではこのくらいは余裕で大丈夫ですよね?』この台詞からして、真っ向勝負はまずないと予測する。その読みは当たって、女はオレから見て右に回り込む。目を離さずに女を追えば、先程の氷気弾を近距離で放ってきた。
この気弾は、やはりけん制。爪から出る炎で打ち落とせば、女は上空へと飛び上がった。(…氷気弾でのけん制の後は)刹那に振り落とされたのは、右足の踵。その場を下がることで眉間への直撃は避けたが、微かに左肩を掠めた。「単純っつーかアンタな…。 喋り過ぎて手の内明かしすぎなんだよ」重力の法則に従えば、女はこのまま地に下りることとなる。その落下地点に、天をも焦がす炎の壁を呼び起こした。空中で方向転換をする術が無ければ、その体は再び焼かれるワケだ。まぁ…、気功で身を覆ってある程度は防ぐだろうが。
相手は気弾を炎で相殺し、踵落しは寸前で回避しますそして、私の着地地点に炎の壁を生成します私は即座に腕より冷気弾を放って絶対零度の壁を生成して炎の壁を相殺して消し去りその地点へ着地し再び後方へと距離を取ります「貴方も割と単純な攻撃をしますね・・・予想の範囲内でしたので充分対応できましたよ」今回も相変わらず一言余計な言葉を呟きながら私は次の攻撃を考えます(う〜ん・・・普通の気弾では炎に相殺されるのでやはり直接殴るか蹴るかしか無さそうですね・・・そうなるとちょっと熱い目にあいそうですが多少は我慢する必要がありそうですね・・・(^^;)
「じゃあ、こういうのはどうですか?」私は両腕脚に冷気を集中して纏いますそして一気に相手にダッシュすると素早い動きで両の拳を続けさまに叩きつけていきますさらに、そこへ左脚を思い切り蹴り込みました(動きについてこられなければ相手の体に、拳か脚がめり込むだけですが・・・さて、どうでるでしょうね・・・?)
(炎術は冷気で防がれるか…)オレが起こした炎壁を、女は手に集中させた冷気で打ち消す。再び互いの間に距離が生まれた時、左手で素早く印を組んだ。余裕とも取れる女の言葉を聞き流し、印に魔力を込める。先程から見せている炎とは異なる、別の力を。『じゃあ、こういうのはどうですか?』氷の気を手足に纏わせた、敵の三度目になる突撃。両手で繰り出される連撃に対し、腕を交差させて急所を守る。薄く防御膜を張ってはいるが、その一撃は見た目通りに重い。だが今は印を崩さぬように、歯を食い縛ってその場に留まる。締めに繰り出されるのは、冷気を纏った左足での蹴撃。
この女、締め技は蹴りしかないのだろうか。どちらにせよ、コイツの威力は凄まじいものに違いない。だが下手に回避すれば、再び距離を取られての繰り返し。このループを終わらす為には…。(迎え撃つしかねぇよな…?)安全策を切り捨て、体勢を低くして身構え。胴を目掛けて迫る左足を、右の二の腕で受け止めた。「ぎぅッ…!」骨の髄まで響く衝撃に重なり、纏った冷気が腕を切り裂く。その衝撃に逆らうように、腕にめり込むその足を真横に振り払った。
相手に驚異的なバランス感覚でもなければ、これで体勢を崩せる。余った右足一本のみで、素早く後退などは出来ないハズだ。防御が疎かになった敵へと、前屈みのまま特攻する。ここで左手の印を崩して、満ちた魔力を解放させた。炎に代わり、雷を纏った拳を敵の足元へ向ける。狙い澄ましたのは、敵の胴の丁度真下に当たる床。「…蹴りの礼だ、受け取りなっ!」地に拳を突き立てると、周囲に高電圧が駆け巡る。地に立つモノを一瞬の電撃で縛る、雷術の一つだ。ダメージは当然だが、その痺れは瞬時の動きを封じる。拳を解くと、間髪も入れずに左手の爪を振り上げる。宙に逃げた敵への追い討ちも、抜かりはしない。
相手は、こちらの蹴りを右腕にまともに受けますそして、その衝撃を耐え切った後腕にめり込んだ脚を真横へと振り払いますその事で私の体勢が大きくよろけますそこへ、予想外の雷系の攻撃がきました「えっ!?・・・あううううっ!!」体勢を崩されていた事で電撃を避ける事も出来ず気で防御しきれなかった雷が体を貫きます衝撃で体が痺れ、一瞬私の動きが止まりましたそこへ、さらに左手の爪が体に向かってきました(しまったっ!避けられないっ!!)私は、咄嗟に体を捻りましたが間に合わず彼の爪が私の右脇腹に喰い込みます強烈な痛みが体を貫き、脇腹から血が滴り落ちます
「あああああああっ!!」あまりの痛みに思わず悲鳴を上げてしまう私・・・それでも、すぐに右手で相手の腕を掴み引き抜きますそして、逃がさないように腕を掴んだまま相手を睨みつけます「うううっ!よ、よくもやってくれましたね!!」私は、何とか痛みに耐えながら間髪入れずに再び彼の右脇腹めがけて思い切り左脚を蹴り込みました・・・すでに、先ほどより城の外の喧騒は収まっていますどうやら戦争そのものの決着は付いたようですしかし、今、私にその事を察知する余裕はありませんでした・・・
雷は敵の体を貫き、爪はその脇腹を抉る。目前で上げられる悲鳴に顔をしかめ、尖った耳を畳んだ。次の狙いを首に定めた時、左腕が掴まれた。逃がすまいとオレを睨む女の顔に、余裕はない。次いで繰り出される蹴りは、先と同じように右腕で食い止めた。電撃の痺れに、抉られた腹の痛み。これらの影響もあってか、先程の蹴りより威力は落ちていた。それでも右腕は痛みに揺さ振られるが、壊れるほどではない。(その首に牙を突き立ててやる…)唸り声を零しながら、口を大きく開けたその時。懐に仕舞っていたあるモノが、青白い光を放った。なんてタイミングの悪さだろう。
掴まれた左腕を強引に振り回し、女の手を振り払う。それから両手に雷を溜め、敵の胸部を突き飛ばした。後ろへ飛び退いて距離を作り、懐を探り出す。取り出した光の根源に対して、牙を剥き出しにして怒鳴った。「今は取り込み中だっ!」『では簡潔に言う』握り締めた石が微かに光る度、その声は響き渡る。声の主は、行きの馬車で乗り合わせた蜥蜴の傭兵だ。『仕事は黒星、回収は必要か?』断片的な言葉に首を傾げ、少し目を泳がせる。その少し後で意味を把握して、ため息交じりに返答を述べた。「…後で追いつくから、先帰ってて」
それだけを"共鳴石"なる石に告げて、再び懐に仕舞い込む。離れた位置から会話できる石ってのも、なかなか便利だ。早い話がこの戦、解放軍は負けたらしい。そんな負け戦の中で戦う意味は、今のオレには最早ない。向かいの女に目線を戻すと、両手を頭の後ろに組んで言った。「ここで退かせてもらうぜ、残業はしない主義なんだ」不敵な笑みを浮かべたまま、その場で悠々と振り返った。しっぽを揺らして別れを告げた後、思い出したように後ろを向く。「…追ってくるなら、覚悟を決めてもらうけどな」こうしている間、オレは終戦を告げる敵の援軍を待ち望んだ。オレの口から終戦を告げても、敵は信じないだろうから。
私の蹴りを相手は再び右腕で防御しますこちらは腕を折るつもりで蹴り込んだものの怪我の影響で威力も落ちていたようでどうやら相手は堪えきったようです相手は私が弱ったとみるやさらに噛み付こうと口を大きく開けて襲い掛かってきますこちらもそれに合わせて冷気弾を放とうとした時急に彼は私の腕を振り解いてさらに雷技で私の胸を突き飛ばします「きゃっ!!」私は咄嗟の事にバランスを崩し、そのまま仰向けに倒れ込みますしかし、彼は襲い掛かる事も無く後方へ距離を取ります
「!?」訳も分からず起き上がり彼の方を見ると何故か持っていた石と話しています・・・いえ、どうやら正確には特殊な石で誰かと話しているようですそして、怒ったりがっかりしたりした後、彼は意外な言葉を吐きます「ここで退かせてもらうぜ、残業はしない主義なんだ」「えっ・・・!?」「…追ってくるなら、覚悟を決めてもらうけどな」呆気に捕られる私を残し、捨て台詞を吐いて彼は逃げ出します「わ、私はとっくに覚悟は決めてます!待ちなさいっ!」私は彼を慌てて追いかけようとしますしかし、その時後方から複数の人の気配を感じます
(しまったっ!戦闘に気をとられて気づくのが遅れましたこの怪我の状態では、一人で大勢の敵の相手は無理です・・・どうすればいいの・・・)絶望感が私の心を支配します・・・しかし、近づいてきたのは敵では無く、同胞の援軍でしたそして、彼らから味方の勝利と戦争の終結の報を聞きます私は安堵し、そして敵の去った方向を見つめますがすでに逃げ去っていて姿は見えません(逃げられましたか・・・残念ですね今度あった時には、絶対あの口をギ〜ッてやってやらないと私の気持ちが収まらないですね)そんな言葉は心の中にしまいつつ私は傷口に治療の気を当てながら味方と共に城の外へと向かいます
「皆さんもご苦労様でした・・・そしてありがとうですとにかくまずは体の治療をして、次の戦いに備えましょう・・・」私は味方とお互いの労を労いますそして、彼らと別れると私は治療班の元へ向かう事にします「後は、だいぶ血も出てしまいましたし何か血になるような栄養を補給しないといけませんね・・・♪」私は、そんな事を呟きながらその場からゆっくりと歩き始めました・・・