まず最初に。公正なる森の王。慈愛深き海の女王。御二方に敬意と感謝を。豊かな森。深い海。自然を愛する二つの国。お互いの復興の為に足りない物を贈り合おう。民の為に、そして我等が生きる世界の為に。だが、ただ贈り合うだけじゃ楽しみが少ない。娯楽に飢えた者の一人が言い出した。此処は一つ、ゲームと行こうじゃないか。
▼旗取り合戦アクアマイト、エルフィネス両国の復興と活性化を目的とした交流。各陣営3本ずつ、計6本の旗を取り合って貰います。最終的な旗の数で、贈られる品の量等が変化します。贈り物は、アクアマイトからは、希石アクアマイトを少量、パール、貝殻、昆布等の海産物。エルフィネスからは、木材、エルフの製作した装飾品等となっております。▼開催期間11/21 0:00 〜 12/3 0:00▼参加方法原則的に、本陣か自陣からのスタートとなりますので各国の選手は本陣にお集まりください。本陣の場所に関しては後述します。
▼旗の取り合いに関して両国共、原則的に本陣or自陣からのスタートになります。その後の行動は自由。一人旗の奪取を目指すも良し、誰かとコンビを組むも良し。攪乱の為に暴れるも良し。とにかく、自陣が敵より多く旗を持っていれば勝ちです!・旗のカウント方法→相手の本陣から、旗を一本奪って持ち出す。→相手の旗数からは『1』引かれます。→でも、この時点では旗の数は2対3。1本は宙に浮いた状態です。→+1するには、自分の本陣まで持ち帰らないといけません。→当然奪われた旗を奪い返す事も可能です。・使用可能な武器/主催が用意した木製の物・魔法に関して/制限に引っ掛からなければ使用可能
★翼など、飛行手段をお持ちの方へお願い通常の移動手段としての使用は問題ありませんが、旗を持った状態での空中移動は、空を飛べない方の為にNGとなっています。★転移魔法が使える方へお願いこちらは旗の有無に拘わらず、原則禁止となっています。どうぞご協力をお願いします。
一番大事な項目です。ちゃんと読んでくださいね。▼制限これは戦争ではありません。・大規模な自然破壊に繋がる行為・行き過ぎた殺傷行為は禁止されます。犯罪者になっても主催は庇ってあげられません。上記の制限に加え、無敵、確定もルール違反となります。
▼違反者への対処・軽い場合は警告。・こらあかんぜよ。と思ったら即アウト。退場。違反者と同国の主催が対処します。ただし、苦情?等に関してはどっちの主催に言って貰っても構いません。言い易い方に言ってください。この他にも、お困りの事がありましたら主催に気軽にご相談ください。 雑談を+してお返事します。
今回の舞台となるフィールドを説明します。物凄い簡単に書くとこのようになります。(アクアマイト本陣)沖に浮かぶ船| 海〜 | 〜砂浜 |森(エルフィネス本陣)・海の移動手段として、アクアマイト本陣の船、 及びエルフィネス側の砂浜には小船が数隻ずつ用意してあります。・小船は3〜5人くらいまでは乗れるボートのような物です。
詳しいフィールド説明をします。まず、船。 アクアマイトの本陣となっております。沖に浮かぶその船は、大きな3本マストの船になっています。船首には美麗な人魚像が飾られて居ます。アクアマイト本陣には、旗が3本据えられており、それぞれの場所は、船首の人魚像の抱えた一本。3本マストの真ん中のマストの天辺にくくり付けられた物が一本。船の中の階段を下りて行った最深部の船倉にこっそり隠してあるのが一本です。次に海。えぇ、海です。以上。あ、泳げない人は気をつけて。
砂浜。砂浜の砂は実は足に絡んで走る邪魔をします。後、カニさんとかも居るかな。以上。次に森。 エルフィネスの本陣となっております。緑の濃い森。生き物も一杯居るでしょうが、まぁ、騒々しいので逃げてますかね。木々に覆われた奥には塔があります。その塔を目印にしてください。エルフィネス本陣には、旗が3本据えられており、それぞれの場所は、塔の出入り口に突き立っているのが一本。塔の中の小部屋に安置されているのが一本。塔の屋上に一本、風になびいています。
行動の際のレスタイトルに、[国名][フィールド名]を明記する例)【アクア/海】と言う感じですね。えぇ、何か抜けてるかもしれませんが、国内での話し合い等、色々な場所に書いてあるので、もし良かったらそちらも覗いてください。
説明が長くなりましたが、そろそろ開始が迫ってきました。が、もう少しだけお話します。1つ。相手に敬意を持って接してください。其れが如何しても出来そうに無い相手だったら主催へどうぞ。2つ。敢えて言うまでも無いとは思いますが、ロールプレイをしてください。3つ。終ったら笑顔で酒を酌み交わそう。4つ。神の手による嵐の時期が迫っていると情報が入っています。もし、期間中に嵐が起き、国がばらけた場合は其処で中止です。嵐が来たぞー皆逃げろー。とか言いますので、皆ちゃんと避難してください。5つ。思いつかないので開始しちゃって良いですか?では、開始します。楽しみましょう。
開始時間だ。空に大きな花火が上がる。時間だ。皆。準備は良いか?行く前に一つだけ皆に用がある。言伝が届いてる。とあるマーメイドの御方からだ。「皆さん、如何かお怪我をなさいませんよう」だ、そうだ。エルフの作る装飾品はきっとマーメイドの女達も喜んでくれるだろう。さぁ、行くぞ。気勢を上げて、真っ直ぐに。天に拳を突き上げて。
今大戦一回戦目で敗退し、暇していた所に訪れた交流戦の知らせ。暇潰しには丁度いいという事で参加した。「……楽しみだ」無表情のまま抑揚の無い声を発したのは、小柄で漆黒のクラシックドレスに身を包んだ少女。踵まで伸びたハイロングの銀髪がキラキラと輝いている。事前に配布された木剣を弄りながら、公国の本陣であるウナベスの塔入口付近で開始の合図を待っていた。…ベキッ!「………」軽く力を入れただけなのに真っ二つにへし折れた木剣を、金の瞳がジッと見つめている。「代わり……貰いに行こう」開始時間になった時、少女の傍らには折れた木剣の山が堆く積まれていた。先行きが不安である。
始まる直前、いや正確に言えば現在進行形だろうか。本部の設営、登録用紙の用意などに翻弄されていた。これならばこの方面でも手伝いを考えるのだったと少し後悔する。自分でどうにかしてしまおうとするのが、己の最大の欠点だ。「…今は、やる事をやろう」軽く頭を振り、顔を上げる。その時、空に花火が上がった。派手な音と共に、それは開始の時を告げる。「始まったか」
狼骨に覆われた顔を上げれば、空には開始を告げる大きな花火。今夜は新月。闇に紛れて砂浜に近付くには最適の…いそいそと準備をしながら、四つ足の獣はふと顔を上げる。でも、出発の前に。「オォォォ――…ン…!」思いっきり、遠吠え。エルフィネス公国の本陣までは結構距離があるようだけれど…きっと届くだろう。一頻り吠えてから、くるりと振り向く。「ルトさん、お待たせだっ 準備万端、先鋒切るとしよか!」声だけは晴れがましく、けれども動作はのそのそと。大獣はゆっくりと小舟に乗り込んでゆく。「他にイナイなら舟出すよーっ」
「…デケェ音…鳥が驚いてるじゃねぇか」搭の入口に向かう最中の白衣っぽい格好の天使は大空に轟く(旗取りの)開戦を知らせる爆音を快く思っていないようだ。「急ぎますかな…」と呟き飛翔する。『…オォォォ――…ン…!…』微かだが、ハッキリと聞こえたその声の方向を眺める…「…俺はこれの方が好きだな…」微笑し、そう呟いた天使は、搭に向かい滑るように飛んでいった…
心地好い咆哮を聴きながら、海に軽く会釈。ついでに教わった合言葉も添えておきましょうか。「公正なる森の王。慈愛深き海の女王。 ――御二方に敬意と感謝を。」・・普段ならチラ付きもしない台詞です。まぁ、この退屈が紛れるなら、喜んで嘘を作りましょう。さて。それじゃあ、便乗出来そうな舟でも探・・・ドンッ。「あ、ごめんなさ」がしゃっ。カラン、ガラララララッ。・・・・・・。落ちた。隠し持っていた武器が全部落ちちゃった。
しかも、ぶつかった相手は主催が用意した監視員さん。や、ちょ。いやだ。手に取らないで。そのナイフ本物。Σキャー!そっちは真剣!「あ。あぁっ。 アグロンさん!私も便乗させてくださいな!」逃げるように目に留まった小舟に乗り込み。お願いしますおねがいします。早く出発してください。監視員さんが気付く前に!私が退場になる前に!
花火とアグロンさんの遠吠え転送されてきた本陣は何か楽しげな雰囲気。皆、楽しみにしてたもんねvと微笑む「それはそうと…」猫耳にトカゲ尻尾、動きやすい格好でやってきたちっさいのは目的の方を探すべく船の周りをキョロキョロと見回す実は旗取りも楽しみにしていたのだけど…最大の目的はデューさんの背に乗ることだったり。とはいえ…これからお願いするのだから乗せて貰えるとは限らない、小船の場所も目で確認。「デューさん、何処かな〜?」
交流戦が始まったらしい。いやはや既に出遅れたのか本陣で一人たたずむ。・・・いや、一人沖を見てあんぐり口開きっぱなしの監視員がいる。監視員はこちらに気が付くがブルッと身震いし見てない振りをした。(・・・。わたしのせい?)寒そうなのであまり近付かないようにし、海を眺めてしばらく仲間を待とう。沖には既に小舟が一艘出発している。なんか楽しそうな雰囲気。
ざぱりとアクア本陣船の横に一頭のシャチが顔を出す。『やあやあ、やっと始まったね!もう出発した仲間はいるのかな?がんばって旗を集めて、アクアマイトが勝つといいなあ!』その様子は至極楽しそうだ。『今回は戦争じゃあなくってみんなで遊ぶんだもの、そりゃあ楽しまないと損ってものだよね!おや?』「デューさん、何処かな〜?」船の上から声がした、どうやら自分を探しているらしい。『誰か僕を探しているのかい?探しているのなら下を見てごらんよ』船の上に入るらしい相手にテレパシーを送りつつ、上からでも目立つように白いお腹を上にして尾びれで水面を叩いた。
「うーん、んーと…」船室の一角で小さな影が頭を抱えて蹲っている。教えられた事を二度三度と頭の中で繰り返す。「えと、ええと。急所とか、噛むのは、駄目。引っかくぐらいなら、いいかしら?」幾度も繰り返す。そうこうしている内に、夜空に始まりを告げる大輪の花が咲いた。「狽ミギャ!!あぁ、あれぇ?あれぇ…?!」始まった?!と思うと同時に今まで繰り返していた事を半分以上忘れてしまった。皆が部屋を出るのを視認し、慌てて自分も夜空の下へ転がり出る。
『オォォォ――…ン…!』大きな大きな獣の鳴き声。「!…ふふ。うふふふっ!」大丈夫、旗をとる事も、相手を傷つけてはいけない事も覚えている。ただ、旗をどこに持っていくのか、どこにあるのかを忘れてしまっただけ。「旗をいっぱい取って、昆布もいーっぱい、いただくのー!!」意気揚々と船縁へ走る。昆布が、自国ではなく相手国へ贈られるものだと気付きもしないで。
「これを奪い合うのか…」はためく旗を眺めながら、ぽつりと呟く。バタバタと旗は風に遊ばれている最中。突如大輪の花が空に咲き、けたたましい音が響いた。「狽ミぃっ!!?」思わず耳を塞ぎ、しゃがみ込む。「…は、花火…?開始の合図かな…」恐る恐る立ち上がり、階下へと向かう。ふと、思い出した様に旗を振り返ると笑う。「公正なる森の王。慈愛深き海の女王。御二方に敬意と感謝を…」敬礼してから階段を降りる。「ま、フロスト様一番だけどね」ぽつりと呟いた言葉は己を鼓舞する合言葉――。
シェキルが小船にバタバタと乗り込んできた。はしゃぎすぎだぞ。うむ。持ってきた大きな八角棒をぐるりとまわす。まぁ、良い。我も、なんぞわくわくしとる。さぁ、アグロン。行こう。出来うるならば陸に一番乗りだ。漕いでくれ。空いた左手で懐から酒瓶を引っ張り出す。口で栓を抜き、一口。そう、この酒の作り主も相手の国だった筈。会ったら酒瓶で殴ってやろう。ぁ? 飲んでないで漕ぐの手伝え?ぬ、ぬぅ。
『公正なる森の王と深き慈愛の海の女王 御二方へ敬意と感謝を……』―― 目を開ければ、既に其処は船上。遅れて転送された魔術師は、ゆっくりと辺りを見渡した。……様々な光景が見えてくる。海を眺めて佇む者や、キョロキョロと辺りで何かを探す者。海を覗き込めば海面を叩くシャチの姿に、既に陸へと向けて騒々しく漕ぎ出す小船の姿も。……さて、どうしたものか。まあ、考えるまでもなく。結局は、この喧騒で愉しむが祭というものだろう。緩やかに、魔術師は甲板を歩き始めた……。
慈悲深き海の女王と公正なる森の王。御二方に深い敬意と感謝を。「…ね」国と国の間で起きるのは血腥い争いだけ。そう思ってただけに今回の事はとても新鮮で、同時に喜ばしい事。いつもの戦地に向かう時とは違った高揚感と、期待を胸に現地に赴いていた。「取り合うのは命ではなく旗。 ふふふっ、気楽に参りましょう。 実戦ではまだ使えないものも色々試したいですし…。」本陣である塔に掲げられた旗を見上げ、別に誰に言う訳でもないのに呟く。うん、これじゃ危ない人みたいだね。
「!…搭だ…着いたのか」スルスルと滑るように飛んでいる天使が、森から突き出す搭を見つけ、到着した事を確認する。「…えーっと、合言葉は…―公正なる森の王と深き慈愛の海の女王…御二方に敬意と感謝を…―」ちょっと恥ずかしそうに教えられた合言葉を唱えてみる「せっかく考えてくれたんだ、言うだけ無駄じゃないだろう…」搭屋上にある旗に一礼して、入口に降り立つ辺りを見渡すと…割れた木刀の山を見つけた「(汗)…凄…よくこんな量折ったな…何か作れるな、小船でも作るか…」とぼやくと小船の作成を始めた物作りは彼の趣味らしい。
開始の花火が上がって直ぐ、築き上げたゴミ山を見捨て本陣である塔を出発。空間移動はルールで禁止。当面の目的地である砂浜を目指し、広大な森の中を居直線に疾走。移動中のみ空を飛んで良いとの事だが、何故か走っていた。それはもう只管に――そう言えば何か言って置けと、武器支給係の役員が言っていたのを思い出した。「公正なる…森の王と…」転がる大岩を飛び越え。「……深き慈愛の……海の女王」倒れた巨木を踏み台に、他の木の高枝へ跳躍。「…御二方に…敬意と……」そのまま木々の枝を飛び渡る「………感謝を」はためくドレスのスカートを其の侭に、森を進み続けた。
ほんの少し視線をずらせば船首の人魚像。綺麗だな!下を覗き込んだら既に小舟が出発してる。しまった、俺、ちょっと乗り遅れた!?俺も早く陸の方目指さないとな!っと、その前に。人魚像にまず敬礼。「公正なる森の王、慈愛深き海の女王、御二人に敬意と感謝を!」うん、満足!!陸への移動手段…実はデューさんに乗りたかったンだけど。野郎の俺は身を引くぞ。…乗れるチャンスはまだあるだろうしな!とりあえず、下にチラッと見えた誰も乗ってない小舟に向かってジャンプ。ギリギリ着地成功。よっしゃ!漕ぐぞーッ!
なにやら危険物らしきものをバラまいていたお嬢さんに早く早くと急かされて、勢いよく漕ぎ出した舟はとうに海の彼方…いやさ、陸近く。「シャチのおひとも来てたみたいだし、負けちゃぁられないよね!」ぐるんぐるんと回転する尻尾は、漕ぐ、を通り越してスクリュー的ですらある。潮騒の向こうには、こんもりとした森。「お…アレがそうかな? 一番乗り、頂きだよっ」気付けば砂浜はほど近く。「って、ルトさん一人でずるい! ワタシにも酒ー!」…それでも、舟が減速する様子はないようだ…
ここはエルフィネス西方の森林地帯。背の高い木々に混ざって顔を出している搭が、公国本陣である。その中でライブラリィは地図と睨みあいを続けていた。「ええっと、本陣が此処でアクアマイト勢はこの砂浜を確実に通る」反芻しながら、鋲を打っていく。「当然前線は海岸線になるわけだわな。そして砂浜は相手の視野の内」海岸線に線を引き、砂浜を斜線で塗り分ける。「するってーと、俺は森林地帯に抜けてくる奴等を追い払うようにトラップを仕掛けるのが上策だぁな」トラップ設置場所を打って行く。そしてようやく考えが纏まったのか、重い腰を上げて立ち上がる。「うし、決まった。ちと遅れたが出発するか」
「さてさて……」少し寒そうに肩を抱くようにしながら塔の入り口から気だるげに出てくるおばちゃん一人「とりあえず、まっすぐ歩けば良いのよね?方向さえ間違わなければたどり着けるはずよねっ!!」寒さ対策に手に持ったウィスキーを飲み干してからのんびりと歩く。
「公正なる森の王。慈愛深き海の女王。御二方に敬意と感謝を」 木剣を二本受け取ると、双月はそう呟いた。 既に何人かは塔を出発し、アクアマイトへと向かっている。 そんな中、双月は塔に残る事を選んだ。「足場が悪ければ、戦闘の際に不利ですしね」 地面についた足に力を入れ、地面の感触を確かめる。 双月が居るのは塔の入口――一本目の旗の目の前だった。 鍛え上げられた自身の肉体以外に頼るもののない双月にとって、小細工は不要というよりは小細工をする技術がないのであった。「さて、早く何方か参られませんでしょうか」 愉快そうに、双月は口の端を吊り上げた。
「おぉ、見事な花火だなぁ…たーまやー」塔の前で間延びした男の声が響く寒さに弱いのか赤いチャイナ服の上に服に合わせたような真っ赤なコートを羽織っている襟に付いた毛皮に顔を埋めぼんやり空を見上げていた「さぁてと…旗を取りに行くのはいいけど俺様泳げないし…寒いし動きたくないし旗を取りに来たのの妨害でいいかな」本陣から海へ向かう人々を見送りながら「くるくる髪の森の王。にっこり笑顔の海の女王。御二方に敬意と感謝を…だっけかあぁ、何だかウキウキしてきたな」
「あ。始まったみたいだね! わたしも急がないとーーっ!!」空に上がった花火を見て、慌てて駆け出す。早くしないと置いてかれちゃう!それに何よりも…今回は友人の盗賊青年にわたしの盾として活躍してもらう予定なのだ。「ジャーたん、何処にいるんだろー? まさか…わたしを置いて行っちゃったなんてこと…」約束もしていないのだから置いていくも何もないのだが、必死に探した甲斐あってか、小舟に飛び乗る盗賊青年を発見した。「ジャーたーーーーん! わたしも乗るーーーーーっ!!」思いっきり助走をつけて、小舟の上の青年に体当りする。もちろん小舟は激しく揺れ…というか転覆しそうだ。
(ふぅ…少し遅刻してしまったな…)ペンダントの様に首からかけている懐中時計を見ながら、男は心の中でそう呟いた。どうやら、この塔入口まで急いで来たらしく額には少しだけ汗が滲んでいる…(良かった…どうやらまだ大きな動きは無いみたいだ。 …よし! 折角の交流戦なんだし 素敵な出会いの為にも、ここは前線に行かないとね!)木製の弓矢を腰に携えると男は砂浜へ向かって走り出した。
頭に直接響くデューさんの声『探しているのなら下を見てごらんよ』と。そして海面で水を叩く音すぐさまでっかいイカダのような本陣船のへりから身を乗り出すようにして下を覗く白いお腹を上に見せ呼んでるデューさん「可愛い」(ぼそ大きいシャチのデューさんの背に乗るのはアクアに来てからのこっそり思っていた夢だったり「背中に乗せて貰っていいですか〜?」大きな声でデューさんに声をかけるシャチのデューさん、身長9m、体重6tもあって3人は乗せられるっとか…プロフチェック済みだvそんでもって、写真に握手で写りたかったっ(何とか関係無い事も考えつつ返事を待つ
ドタタタタッ…! バタンッ!最後の数段は足を踏み外したらしく、派手に転げ落ちた。「あたたた…」眼前に広がる森を眺め、目に浮かんだ涙を拭う。周りを見回すと、何やら作り物してる人…「フィレズさん、お疲れ様です…何作ってるんですか?」そろそろと邪魔しないように、そっと近付いて話し掛けた。
遠くなる船影に一息吐いた時、ルトラさんの声が聴こえた。あら。居たんですか。確かにはしゃぎ過ぎかもしれません。あんなミスをするなんて。船にバラ撒いて来た武器、高かったのですよね・・・。少し惜しいな。でも、成り行きでこの舟に乗り込んだのは正解でしたね。頼もしい船頭さんが付いてるおかげで、漕がなくて良いみたい。楽だわー。ほら。エルフィネス側の陣地もどんどん近付いて近付い て ・・・え?近付くどころか、舟はスピードそのままで陸に突っ込みそうな勢い。あぁ。お酒に気を取られてるんですね。二人のやり取りに納得――している場合か。「あああアグロンさん!前見て!前っ!」
…トントン…木材(木刀)をはめ合わせていると、後ろで何かが落ちる音が聞こえた。『…フィレズさん、お疲れ様です…何作ってるんですか?』と、後ろから声を掛けられた。天使は後ろを振り向き、声の主を探す。「…犬?(失礼)…ケルベロスか…えーっと…誰だ?…」制作の手を休める事なく、後ろを向いた状況で考え始める「あっ、そだそだ、ヴェルサイユさんだ、何を作ってるかって?」カッツン!…と最後の木片をはめ終わるとヴェルサイユの目の前に完成品を置く「…小船、完成!っと…これだよ。」天使はそう言うと、別に作っておいた武器(木製)を取り、立ち上がる。
天使は武器である[タ]の形をしたトンファー(タンファー?)をしげしげと眺めた後、高く飛翔した「…?…何かが凄い速度で来てるなぁ…」海を見て呟く「…ちょっと偵察…」砂浜に向かい飛行しはじめる
他人に羨ましがられながら呑む酒はまた一味違う。そう、これは優越感の味だ。酒瓶を右に左に、アグロンの視線もついてくる。面白い。だが、そろそろ陸が近づいてきた。・・・えらい速い。うむ。嫌な予感がヒシヒシとする。さて、そろそろ真面目にやるか。ごそりごそりと懐を漁り、一枚のシールを取り出す。丸い形のそのシールには、大きく×字が書かれている。名前は警告シール。うむ。黒服達から預かった警告用のシールだ。一応、我も持っておけと言う事だったのでな。・・・ぺたり。アグロンに向かってぎゃいぎゃい騒いでるシェキルの顔に貼り付ける。警告シール。ちなみに国に戻らないと剥がれない。
武器の持込みはダメだぞ。シェキル。あぁ、そろそろカウントダウンだ。文句は後で聞いてやろう。アグロンよ。その危なっかしいシール女は任せた。ん? 酒? ・・・酒か。旗の一本でも取れたら後で奢ってやろう。うむ。だからな。問答してる時間は無いんだ。ほら、見ろ。砂浜だ。もう止まれんだろう?じゃあ、そう言うことで。またな。二人とも。八角棒を右手、酒瓶を左手に、しっかと握りしめる。一度しゃがみ、反動をつけて、・・・大きく跳ぶ。相手のオフェンスはスルーだ。海で迎え撃ってもらう。ディフェンスを突破して、・・・目指すは旗だ。
「…森か、落とし穴でも掘ろうかな…」天使は森の中へ降りた(落とし穴は危ないから、看板で忠告しておこう…)穴をいくつか掘り、表面を周りの景色と同化させた後【落とし穴があります。足元にご注意下さい】と書いた看板を立てた「これでよし…さぁてと…目指すはアクアマイトの旗!」そう叫ぶと飛翔していった
休む事無く森の中を掛け続けたのと、塔からアクア領側の砂浜が近かった為1時間程度で移動できた。少女の移動速度が尋常じゃないだけだが…「……見えた……海だ」生茂る木々の葉の間から聞えてくる波の音。潮の香りも届いてきている。最後の木を飛び越え砂浜に着地。そして見渡す世界は茶色。そう目の前に広がるのは母なる広大な船。「…………船?」そう船だ。しかも何か物凄い勢いで少女に向かって突き進む船だ。とまる気配も無い「水陸……両用?」アクアの造船技術は其処まで発達していたのかと思っていたら、船から人影が飛び出した。
「……ルトさん」無表情に眺め、影の正体を確認して居る間も船は迫り続け遂には砂浜に到着し、惰性のみで突き進んだ。「……………」すっと片手を掲げる。ザザザザザザダッ!ズザザザザザザザァァァァァ……タイミングを合わせ掌を眼前まで来た船の先端にのせ止める。砂にブーツが取られ踏ん張りが利かず、豪快な轍を生成しながら後方へと十数メートル程押され……船を停止させた。「…………?」中を覗き込むと、バッテンシールを貼った女性と、もう1人男性が転がっていた。死んではいないようだから放って置いても大丈夫そうだ。この二人やルトさんを迎え撃つか、放置して相手本陣へ向かうかの二択だ。
『背中に乗せて貰っていいですか〜?』・・・何を私はボッ〜としていたのだろう^^;すぐ近くで猫耳の女性が、・・・あぁウィムさんが足元見て独り言?を言っているではないか!?(変な方ですねぇ〜^^;・・・あれっ!?下に誰かいるの??)彼女に近寄り一緒に海を見下ろすとオルカさん・・・デューさんがいる。(あぁ〜^^彼に乗って海で迷子になったっけ^^;ウィムさんは彼に乗せて貰うのね♪うふふ、私もお願いしようかしら。)「デューさ〜ん!?私も乗せて下さいな〜〜!?」言うが早いか大きな背中に向かって飛び込んだ!?
船縁へ向かいながら指を折々考える。「昆布はー、佃煮でしょう?昆布巻きでしょ?お鍋の、出汁にもなります。うふふ!」一人ニコニコと甲板を歩く様は、それはそれは不気味な事だろう。まともに前も見ていないのに、誰一人とてぶつからないのは不幸中の幸いなのかもしれない。「む、でも旗を取らなくちゃ昆布はもらえないのでした。アレですね、とらぬ狸の皮算用、ですね!……んん?」どんなに旗をとったところで望むものは手に入らないのだが、それを正す誰かが居るわけも無く、一人勘違いを極め続ける。そんな耳にパシャパシャと水を打つ音が届いた。
見上げると、そこには一人の女性と女の子。音はその向こうから聞こえてくる。「背中に乗せて貰っていいですか〜?」女の子はとても嬉しそうに海面に向かって話しかけている。なにか、いるのかな?駆け足で二人へ近づき、背伸びをして船縁から海を覗き込む。「うわ。うわぁー!すごい、凄い!おっきい!すごーい!」見たことも無い動物に感嘆の声を上げる。「の、乗るの?乗れるのー?!」興奮した様子で女の子とそこへ向かって飛び込んだ女性、海面に浮かぶシャチの姿とを交互に見やり、必死に背伸びをし、何とか全体を見ようと声を上げる。
「ジャーたーーーーん! わたしも乗るーーーーーっ!!」「!?」背中に結構な衝撃が。え、な、ちょっと待て何事だッッ!?しかも小舟が揺れ…慌てながらも振り返って全てに納得。一瞬、もの凄く冷静になれた。けど小舟に海水が入ってるのが目に映った瞬間。俺の思考回路はマジ停止。「何してンだぁッ!!?沈むッ!沈むって!陸に行く前に沈むって!あ、ああ、ほら!陸に行くぞ!俺が漕ぐからピカたんは何とか海水小舟から出してくれ!一人で飛んで逃げるなよ!?」…とは言ったものの。ピカたんは自分が飛べるって知らないンじゃないかって程。マジ飛ばないからな…。
最後の一言は逆に一人で逃げれるって気付かせただけかも。…。…よし、漕ごう。まだ小舟が浮いてる内に。少しでも陸に近付こう。「ピカたん、マジ頼んだぞー…。バケツも何も無いけど海水出してくれよー…。俺は死に場所はマジ高い所って決めてンだー…」少しずつ前進しながらも。小舟が傾いていくのがハッキリ分かるせいか。声に力が入らなかった。あ。っつーか、前進せずに一回本陣の船に戻れば良かったのか?もう結構船から遠くまで来ちまったよ。気付くの遅いって、俺!チクショウ…!自棄の力が働いたのか、小舟が進む速度つまり俺の行動速度が上がった気がした…。
「流石にまだ到着はしねぇかなぁ…ここに来るまでに妨害してる奴らも居るだろうし俺様しばらく暇かな」相変わらずぼんやりと塔の入り口で待つ言いつつ辺りを見回すと自分と同じく塔に残った者達が数人居た何人かの顔見知りや、様々な人が居るその中でも塔の前でしっかりと前を見つめる人を見つけた「あぁ、双月さんじゃんあんたも残留組なんだ?にしても寒いねー早く誰か来てくれたら、運動になるのになぁ」余程寒さに弱いのかコートの前をしっかり押さえながら話しかけるそれでもその顔は楽しそうに微笑んでいた
森の中、ひたすら砂浜へ向かって走る男。森生まれ、森育ちの為なのだろうか見ている者がいたなら「まるで、木々が男を避けているようだ」と錯覚する程の動きで、どんどん砂浜に近付いていく…(それにしても…相変わらず深い森だな… アクアから来た方達が、遭難したりしないといいけど…!?!?)とりとめの無い事を考えながら走っているとズザザザザァァァ…という轟音とともに、男の見ている景色が揺れる。(…随分と凄い音がしたけど、何が起こったのだろう…?)アクシデントなら救助に行かないと。そう考えた男は、音のした方向へ再び走り出した。
酒瓶を片手にひらりと飛び降りたルトさんを確認する暇もなく、突如として船体に走る振動。ついでに尻尾に絡む、水より重いざらざらしたソレ。「ちょっ…酒…じゃなっ うあわわわわ…!!」がたがたがたたがたががが…………ずさぁぁぁッ!…そんな感じで、砂浜に突っ込んだ小舟は止まり。「うひゃぁ…」思いの外少なかった衝撃に、四つ足の獣は怖ず怖ずと顔を上げる。目の前には、銀色の髪をしたキレイな女のひと。「シェキルさん…じゃ、ないね。えと、こんば…」挨拶しかけて、ふと思い出した。今は交流会真っ最中。ココはエルフィネスの本陣近く。と、いうことは。
「て…っ 敵だねおねーさんッ!?」慌てつつも、見た目には緩慢としか映らない動作で起きあがる。ええと、飛び降り際のルトさんは何て言ってたっけ?『…酒か。旗の一本でも取れたら後で奢ってやろう』となれば、やることは一つ。「…公正なる森の王と、深き慈愛の海の女王、御二方へ敬意と感謝、を、だっけ。」ぐるるるる、と唸り声を上げて、獣は大きな頭をもたげ。「アクアマイトが四つ足の獣、アグロン!酒…じゃない、旗の為に…シェキルさん、あと任せたー!」叫ぶが早く、小舟の床を蹴って飛び上がる。目の前のお嬢さんを飛び越えて……目指すはエルフィネスの森!
詰まらない小細工。術にて空気から水を練成。それを細い糸状に。出来た糸は両端をそれぞれ別々の、立ち並ぶの木々の根元に括り付ける。ちょうど、糸が木と木の間にピンと張るように。そんな小細工を、塔に面した森の入口付近の木々に幾つも仕込む。要は足を引っ掛けて転んでもらうための仕掛け。えぇ、本当に子供染みた罠。でもこういう地味なもの程、意外に効力を発揮したりする。水の糸は鋼糸より剛性が無い分、弾性に富んでいる。だから、こういうのにはうってつけ。「…そろそろ良いかな」十分と思える程仕込んだところで、近くの茂みに潜む。術の特性上、水の形状維持には限界距離があるから。
「背中に乗せて貰っていいですか〜?」上からの声、見上げた先には自分を覗き込む猫耳の少女。『やあウィム氏、もちろん良いよ!こっちに下りておいでよ!』仰向け体勢から元に戻り、上に向かって呼びかける。と、「デューさ〜ん!?私も乗せて下さいな〜〜!?」の声と共に上から何か、いや、誰かが落下してくる。『やや、危ないよ!』慌てて落下地点に入って受け止める。『その声はRey氏かい?いきなり飛び込んだら危ないよ、ギギギ』注意はするものの、口調はとても楽しそうだ。『ウィム氏と、Rey氏と、他に乗る人はいるのかな? いなければすぐにでも出発しないと出遅れてしまうよ!』
向かった先は、船の舳先。次々と浜へと向かう攻め手の仲間の姿を見送りながら、詠唱を開始……――― まずは幸先良く、盛大に歓迎を。我が意に呼応して炎の仔らが周囲に集まり始めた瞬間……背後からどつかれた。振り向けば……手にはハリセン、腕に監視委員の腕章をしたヒトの姿。「……何を投げ込むおつもりで?」「いえ、打ち上げ…」「火災になったらどうします!……戦争ではないんですから。流血沙汰は絶対に厳禁です!」「いえ、少々花火に添え……」「ダメです!」「………。」「…………。」「……はい。」――― 魔術師は術使用の警告を受けていた。
私も参加するのですーっでも来るの遅かったから皆もう行っちゃったかなぁ?転送部屋から出るなり魔族の少女は羽を広げて一気に海上へと飛び出したきゃーっっ高いのですーっよろめきながら甲板の高さから海面ギリギリまで舞い降りると、改めて辺りを見回すあれはデューさんとRayさんと・・・お顔見えないけどもうお二人いるですー一緒に飛んでついてくのはデューさん早いから無理なのです頑張って先の人たちに追いつくのですー一人自己完結すると黒い羽を大きく羽ばたかせて海面を移動し始めた目指すは飛ばなくてもすむ砂浜
中央広場に本陣への転送所があるのに自分の翼で行ってみようと試み迷子になってた鳥人がここに1人―(まったく…海の広さを舐めてたって事かねェ…もう始まっちゃってるじゃないか…)マストの傍に降り立つ。とりあえず翼は仕舞い旗の確認でもしようかと歩きはじめる。一つ…マストの旗は降りながら確認ができたあと二つ…と船首の方へ向うとハリセンで怒られてる女性を発見(おやおや…女性でも容赦無しか…しかもハリセンとは…ちょっと嫌だな…(苦笑)監視員に目をつけられないうちにと船倉の旗の確認へ向った
空が綺麗。波の音も心地好い。衝撃で転がった際にぶつけた頭は痛いけど。ついでにさっきチラッと見えた警告シール。あれが頬に貼り付いているのですか。――不格好な。もうこのまま寝ていようか。なんて思っていたら。ルトラさんだけじゃなく、アグロンさんの気配まで遠ざかって行くじゃありませんか。しかも何か『任せた』とか聴こえた?むくり。舟の中で身を起こしながら、何が起こったか反芻する。あぁ。やっぱり、そうですよねぇ。「・・・・・・おのれ男共。 二人揃って、倒れている か弱い乙女 を置き去りにしましたね・・。」えぇ! たっぷりと怨念を込めて呟いても、聴こえないでしょうけど!
『自分が無理矢理乗り込んだ』という事実は消え去って。後に残ったのは二人に対する理不尽な怒りのみ。これで旗を持ち帰って来なかったら、酷い目に遭わせて差し上げますからね。二人共。キッとエルフィネス本陣の方角を睨み付け、「――ん?」そこで初めて、少女の姿に気付く。『お姉さん』確か、アグロンさんは敵の事をそう呼んでいましたね。・・・辺りを窺っても他に人影は無い。と、なると――「貴女が助けてくださったのですか。ありがとう。 あんな荒業をやってのけるんだから、どんな筋骨隆々のお姉様かと思いました。」にっこり笑って。一応、御礼は言わないといけませんよね。
森を抜けた…と、砂浜にあるいくつかの船を見回し…「一隻の船だけ周りの船とは違うな…」砂浜に乗り上げた、ような格好をした船を眺める…それは何かを今、理解した「アクアの船か…」船尾辺りに倒れてるのと、バッテンシール付けたのと、船首辺りにいる銀髪の少女の計三名を目視確認「…急がなくては…」トンファーならぬタンファーを持った天使はアクアマイトめがけなるべく速く飛行する
立ち上がったフィレズさんの向こうに小さな船…。「…小船、完成!っと…これだよ。」「へぇ〜…器用ですね」感心して眺める。「…ちょっと偵察…」繁々と眺めてると、フィレズさんは徐にそう言って飛び去ってしまった。「…あっ」少しの間、飛び去った方を眺めていたけど、ふと約束を思い出し、立ち上げる。
「行かなきゃ…」軽く屈伸して足の筋を伸ばすと、上体を屈めて走り出す。走り出して直ぐに何かが引っ掛かった。森の入口から何か感じる…獣の本能が告げる…。足元から感じるその気配に気を配りつつ、跳躍して避ける。「味方の罠に掛かったら超間抜けじゃん」苦笑しながら、ただひたすら疾走する。目指すは砂浜に行ってる筈の同じ仲間――。
声を掛けてわくわくと返事を待っているといつの間にか近づいていたRayさんが横に立つ「私も乗せて下さいな〜〜!?」とか言いながら、あっという間に海に飛び込んで…「え?あっ!ずる〜い」目で追いながら、先を越された抗議の声をあげるすると頭にまたデューさんの声が…『やあウィム氏、もちろん良いよ!こっちに下りておいでよ!』「やったぁv」思わずバンザイしてしまう白い猫耳の子が脇に来てデューさんの姿にはしゃぐ。「紗緒さんだv会議室にいましたねv」
紗緒さんにも気付いたのかデューさんが続ける『他に乗る人はいるのかな? すぐにでも出発しないと出遅れてしまうよ!』 「乗っていいってv行こう♪」声を聞いて笑いかけると、紗緒さんの手を取りヘリに足を掛けてデューさんの背中に向かって船から飛び出す…衝撃が少ないようにっと空中で回転を加えて…大きな背に降りる(ぺたん座り「デューさんのスピードですぐに追いついちゃうですよv一番前ゲ〜ット♪」(ぐっ言いたい事言って、そこで気付く回転した時には、まだ手を繋いでいたような…「あれ?紗緒さんは?」
話し掛けられ、振り返るとそこには赤い髪の青年が一人。 髪だけではなく、ほぼ全身が赤で彩られてはいるが。「おや、緋炎殿。前線の方へ行かれるかと思っておりましたが」 微笑み返し、双月はそう答えた。 火の精霊だけに、やはり寒いのは苦手なのだろうかと思いつつ。「一番狙いやすい場所にあるのがこの旗ですから、すぐに誰か来ると思ったのですけれども……。まぁ、まだ始まったばかりですし、のんびりと待つしかありませんでしょうか」 受け取った木剣の、大剣を模した方を遊ばせて。「……少々、軽すぎて扱いにくいのが難点ですね」 そう呟いた。
ザッ。柔らかく、重い砂が落下の衝撃を受け止める。と、同時にそのまま駆ける。飛び降りた後、船がどうなるかなんぞは些事だ。きっと如何にかするだろう。我は旗を目指して切り込むのみ。蹴足が砂を跳ね上げる。重い。砂漠の砂の方が軽かったような気がする。足に絡むのは大差ないが。違いでもあるのだろうか?まぁ、今度調べてみよう。塔を目視、そのまま森へと突入する。さぁ、此処からが本番だ。
夢中になって背伸びをしているとお隣から「やったぁv」という嬉しそうな声。乗ってもいいよーって、いってくれたのかな?キョトリと顔を見上げると、女の子がこちらを向いた。「紗緒さんだv会議室にいましたねv」おねえさん、沙緒の事知ってる!「沙緒も、おねえさんの事知ってるの。えと、ウィムさん、なのです!」だよね?と笑うとおねえさんも笑う。なんだか嬉しくなってニコニコしていたらギュッと手をとってくれた。「乗っていいってv行こう♪」「…!うん。行こう、行こう!!v」引き上げてくれる手を借り、見よう見まねで同時に飛び出す。
眼下にはもう既に青い海が広がっている。おねえさんはそのまま身体を丸め、くるりっと宙で一回転した。だけれどその時、繋いでくれていた指がするっと解けてしまう。「あ、わ。うにゃあああぁ!」宙でばたばたと手を振り、何とか体勢を持ち直す。「は、はぁぁぁー…」危ない危ない。もう少しで背中から滑り落ちてしまうところだった。やはり自分は同種族の者達よりドンくさいようだ。少しばかり、ダイエットというものにも気を使うべきか。いつも空腹なわりには身が付いているし…そんな余計なコトに頭を巡らせながら、改めて尾寄りの背中に腰を下ろしなおした
いつもの調子で思わず体当りしちゃったけど、やっぱり鳥渡マズかったかなー?激しく揺れる船に沈むと騒いでるジャーたんを見て、ちょっとだけ反省。というか、こんなトコで沈まれたらホント困るしっ!「わたしは海水を何とかすればいいんだねー! って、ん?飛んで逃げる…?」自分が飛べるなんてことは、言われるまですっかり忘れていたのだけど…
何故かいつもより元気のなさげなジャーたんを見て、とりあえず必死に手で海水をすくいながら、にっこりと微笑んで元気付けようとする。「大丈夫だよーっ♪ ジャーたんは、わたしのことを守ってくれる盾だもん♪ それを置いていったりなんてしないよーっ? …いざとなったら、 わたしがジャーたん抱えて飛ぶしっ!」途中で疲れて落としちゃうかもだけどね…と、心の中でそっと付け加えたのは秘密♪まぁ。着地能力に長けた顔の持ち主だから、屹度落としても大丈夫…って、海の上じゃぁダメかぁ。
『デューさんのスピードですぐに追いついちゃうですよv一番前ゲ〜ット♪』(ぐっ私が乗り込んだ後、直にウィムさんが身軽に宙返りしながら乗り込む。(かっこいい♪さすが猫たん)着地後間もないのでふらついているところを後から乗り込まれ、少し背に身体が押されたため前につんのめって海に落ちそうになるのを腰を引いて一生懸命に堪えた。さらにウィムさんの後に白耳の女の子も乗り込む。控えめなのか、飛び乗った時バランスを崩したのが恥しかったのか彼女は尾っぽの最後尾に腰を下ろす。
「え〜っと・・・沙緒さん!?かわいいね^^ウィムさんとデューさんと四人一緒に頑張ろうね!?」(う〜ん、四人ってのは間違いなのか・・・1尾と2匹と1体が正解なのかな^^;なんにせよ楽しい交流会になりそう♪)私も二人の間となる中央辺りに腰を下ろす。「じぁ〜、デューさん宜しくお願いします!?」またまた、デューさんと海に迷った事を思いだし、行き先まで言わないようにした。辺りを見渡すと少し先を蒼秦さんが飛んで先を急いでいるのが見える。
『アクアマイトが四つ足の獣、アグロン!―――シェキルさん、あと任せたー!』小舟の中にいた獣はアグロンと名乗つつ起き上がり、其の侭少女の頭上を越えて森へと走り去った。「……」それを追う事も無く見送っていたら…『貴女が助けてくださったのですか。ありがとう』声がして振り返った場所にはバッテンシールの女性が復活していた。「……どう…いたしまして」『あんな荒業をやってのけるんだから、どんな筋骨隆々のお姉様かと思いました』そう言ってにっこり笑っている。走り去った獣――アグロンさんからの口ぶりからすれば、シェキルさんと言うらしい。
「私は……見ての通り……華奢だから」外見が10歳の少女は右腕を掲げてみせる。どうしてもシールへと目線が行ってしまうのをとめられず、相手の目と行ったり来たりしていた。「私は……アルヴェルヴィント=リゼルファルク=スレンヴィーテ……アリスでいい…長いから…名前」取敢えず自己紹介をする事にした。「……よろしく」スカート裾を持って、貴婦人の礼。相変わらず無表情のままだが…
行こう行こうと声がした。どうやらもう一人下りてくるらしい。(乗ったら3人で定員だから、すぐに出発かな)背中に連続して着地の感触。『やあ、全員乗ったね!それじゃあ出発だよ!しっかり捕まっておいでね、振り落とされないように気をつけて!』キュー!と元気良く声を上げる。『それじゃあ、しゅっぱーつ!』背中に3人のお客さんを乗せたシャチはエルフィネスに向かって勢い良く泳ぎだした。本陣の船がどんどん遠ざかる。『がんばって勝って、木材に装飾品をたくさん貰おうね!戦争じゃあないから、アクアマイトが勝てばアーリア様もきっと大喜びだよ!』
「暗い…」海の上(上空)はなんか異様に暗い天使はスウッと息を吸い、詠唱し始める《…天光の如き灯を…掲げたもう…》天使の周りに光が発生し始め、次第に収束、光の球体を生成した。辺り一面は朝の様に明るい「これでよし…」そして暫く進み、光が届きにくくなった頃に、もう一度同じ球体を生成した。どうやら、アクアマイトに着くまで同じ球体を生成するらしい。
波しぶきがかからない微妙な高度で飛んでいくと後ろから軽快な水しぶきの音が聞こえてきたあ、デューさん達ですーっやっぱり早いのですー「皆頑張って下さいですーっっ」必死に飛んでいるにもかかわらずあっさりと追い抜いていく1頭と三人に手をふってみせた私も頑張らないとですーっでも敵さん達って怖い人だったらどうしようかな、それに旗って私でも持てるのかなですー遠くになった波しぶきを追いかけて色々考えつつひたすら飛んでいく
私を守ってくれる『盾』か。とりあえず無事砂浜についたら生き物を盾にしちゃいけないと言ってみよう。俺の望む結果は得られない気がするけどな…!予想外に頑張って手で海水と戦うピカたんを乗せて必死な俺が漕ぐ船は何とか進みながら思いっきり沈んでいく。「神様、アーリア様、助けて…」腕も痛くなってきた。もう駄目だ…。俺が諦めた瞬間だった。空が何となく明るくなったかと思うと、背後から巨大な生き物の気配。「…アレか。死んで天へ行けという事か、神様」
冗ッ談じゃねえ!!こんな所で死ねるか、マジ!!「ピカたん、海水はもういい、落ちないようにしとけ!」腕の痛みが吹っ飛んだ。1mでも前へ!俺が行くのは前なんだ!上じゃないッッ!!…気が付けば、砂浜まであと10mくらいの位置。小舟は縦方向を向いてる。どうやって二人乗ってるんだと自分でもマジ不思議だ。「ココまで来れば後は……」ピカたんの方を向いてニヤリと笑い、「跳ぶぞ!」言うと同時に膝を曲げて少しだけ勢いをつけてジャンプ。(バシャーーン!!俺は砂浜まで後5mくらいの位置に落下した。…素直にピカたんに運んでもらえば良かった…。
『前線の方へ行かれるかと思っておりましたが』返された言葉に苦笑する「この時期の海は寒いからなそれに俺様泳げないからね、船の上なんて怖くて怖くて…双月さんは剣が得意なのか?」木剣を振る様子を眺め問いかけながらも意識は森の方へそろそろ、海から上がってくる者たちも居るだろう聞こえてきたのんびりとの言葉ににたりと笑う「…んー、のんびりとだけどもそろそろ来そうだな」森の方から聞こえる音誰かが走ってくる旗を目指し森の中に居る味方も居るがそれを突破するものもいるかもしれない「コートは脱いでおいたほうがいいかなぁ…お気に入りなんで汚れたら嫌だしな」
(…よし、あそこを抜ければ砂浜だ)砂埃が目に入らない様に、額の上に乗せてあったゴーグルを掛けると男は勢い良く砂浜に飛び出した。(…成程、音源の正体はこの船だったのか。 …うん? 誰かが森の中に入っていったみたいだけど… まずは状況の確認と、怪我人がいないか確かめないと)そう考えた男は、船の横で話をしている2人の方へ―知人のアリスさんと、眼鏡を掛けている可愛い女性の方へ駆けて行った…『アリスさん、凄い音がしましたが…何が起こったのですか? 怪我をされた方等は、いらっしゃいませんか…?』男は、静かな口調でそう話し掛けた。
本部で管理を行う事暫し。いざ始まって暫く経てば、此方は報告を受け待つだけしか仕事がない。正直、暇なのと体が少し疼いていた。「………」静かに外を見つめる。暫くの後、監視員が戻ってくると男の姿は消えており、書置きが1枚あるのみ。そこには―『後は任せた』とだけ、記されていた。「寒い時には、やはり体を動かすに限る」そうして。長い木の棒を持ち、男は本陣の塔へと姿を現した。
「ぅ〜ん……罠?」困った顔をしながら【落とし穴があります。足元にご注意下さい】と書かれた看板を見ている。さてさて、これはあっては意味がないのではと思いながらも微笑ましい行為なのであえてこのままにしておく。「さてさて、森は静かね……やっぱり海の方まで行かないと賑やかな事は始まってないのかしら?」そして、気が乗らない顔をしながらも海へと歩みを進めた。
砂浜に点々と残る足跡。真っ直ぐに森に向かってるコレは、間違いなくルトさんのあしあと。幸いにもさっきのお姉さんは追いかけてくる様子はない。というか置き去りにしたシェキルさんが恐くて振り返れない。(な…なにはともあれ旗…!)砂に足跡を残しながら、ルトさんが向かったルートとは別の方角から塔へ。草木を踏み分け踏み分け、森を進む。森のそこここに感じる、誰かの気配。このまま誰にも会わなきゃいいんだけど…さすがにそうもいかない、かな?「…でも 早く旗取らないと時間内に帰れなくなるよね…!」ざすざす。ばきぼき。四つ足の大獣は、藪や枯れ木をものともせずにのしのしと森を進む。
少女が右腕を掲げる。おや。気に障ったのかな。「はは。確かに細い。その腕で舟を受け止めたのですか? それとも、何か魔法を?」直球で探りなど入れつつ。ん?何か言いたげですね。ちらちらと視線が泳いで・・。「あぁ。」これですか。どうやら彼女は頬のシールが気になるらしい。自己紹介を聞きながら納得。うん。気にしないでと言いたい所ですけど、敢えて、と。「ご丁寧にどうも。私はシェキル。 因みにこのシールは、さっきの三つ編みさんイチ押しのお洒落ですv」大嘘を教えてみた。警告シールだという事は直ぐにばれるでしょうけどねー。ふふ。でも、ちょっぴり溜飲の下がる思いです。
そんなやり取りをしている所に、茂みから飛び出した人影。エルフィネスの方でしょうか?「はじめましてー。」にこにこ笑顔で言って、取り敢えず敵意の無い振り。さて、この後は如何しましょう。彼らはアクアマイト本陣へと向かうのでしょう。私は邪魔するべき?でもここで止めちゃったら、後方の皆さんが退屈しますよね・・・。そうですね。 よし。シェキルは皆さんを信じます。「えっと。助けて頂いてありがとうございました。 先を急ぎますので、私はこれで。」説明はアリスさんにお任せして、お二人に会釈。そのまま平然と森の方へと歩き始めた。見逃してくれると良いなー、なんて暢気に思いつつ。
暫く森の中を失踪していたが…徐々にスピードを落とし、遂には歩き出してしまった…。「…僕が居る此処はどこら辺??」どうやら道に迷いだしたらしい。キョロキョロと周りを見回しても、木、木、木――。「まずい…約束に間に合わないかもしれない…」などと少々冷や汗を掻きながら歩く。暫く歩くと、看板を発見。砂浜への道が書いてあるかも、などと淡い期待をしたものの…【落とし穴があります。足元にご注意下さい】…違ったらしい。落ちるのも嫌なので少し迂回しよう…。そろそろアクアマイトの誰かに会うかもしれない…。…そしたら道、教えてもらおう…。
監視員に叱られている最中……マストから降りてきたヒトが此方を一瞬見たのに気付いた。しかし、魔術師の助けを求める切実な視線は……厄介事に巻き込まれたくないと黙殺されたらしい。相手はそのまま船倉に向かってしまった。味方に仄かな殺意を抱k……が、即座に察知した監視員によって容赦の無い再度の仕置き。――― 兎も角。把握したのは己が基本的に戦力外という事実。何せ、術の大半は使えない上に白兵戦はからきし。……どうしたものやら。
密かにずれたシルクハットを直し、憂鬱気分で監視員と戯れていると……――― 空に浮かび上がる、眩い明かり。まだ遠方ではあるけれど、そろそろ相手方も海を渡り始めたようで……何かしらの手を打つ前に、もう迫って来てしまったらしい。……さて、本格的にどうしたものか。 思考とは裏腹に……魔術師はのんびりと口元に指を触れさせ、些か困ったように笑みの表情を浮かべた。
紗緒さんは後ろの方に陣取ったようだった背びれのすぐ後ろにRayさんデューさんの振り落とされないように気をつけて、という言葉に慌てるようにしっかりつかまるここぞとばかり上体を倒しひしっぎゅそこまでする必要がないのは分かっているけども…ついでに頬すり(ぁ元気にデューさんがキューっと声をあげるか、可愛いv『それじゃあ、しゅっぱーつ!』とデューさんが泳ぎだす本陣の船がどんどん遠ざかる「凄いvやっぱり早い♪」爽快っというしかないv空も海も青いその真ん中を風をきって進む「気持ちいいー♪」
前方にパタパタと飛び進む影が見えるいや…横に…じゃなく後ろに前方から後方に流れていくように見える蒼さんに手を振る「皆頑張って下さいですーっっ」と手を振り返えされる「蒼さんもがんばですよぅー!」と大声で答えてみるけど聞こえていただろうかわからない風にも波にも乗るようにデューさんは泳ぐ『がんばって勝って、木材に装飾品をたくさん貰おうね!戦争じゃあないから、アクアマイトが勝てばアーリア様もきっと大喜びだよ!』 デューさんの声が再び聞こえた時にはもう目的の森の影が見えてきていた
森の中をただ駆ける。森に入った当初は、周囲に気を配ってみたりしたのだが、なんもない。最初に緊張してしまった分、段々と集中力の糸がほどけて逆に眠く・・・じゃない。駄目だ。旗だ旗。ぶるぶると首を振って走る事に意識を戻す。既に塔が近い。結構楽に持って帰れそうな空気だな。そう、思ったときだった。グイ。足が何かにとられる。透明な、紐みたいなのが足を引っ掛けていた。だが、所詮は子供だま・・・ぶべっ。両手に物を持っていた為、見事に顔から地面に突っ込む。・・・痛い。
グリムさんと駆けて来たと同時に、入れ違いでシェキルさんは会釈をして森へと歩き出す。「……止めただけ……船を………居ないよ…怪我人は……」問いに対し簡潔に回答を返し、シェキルさんの後姿を眺めた。「…アクアの人」今回も見逃すつもりらしい。旗取り合戦は旗を取らなければ始まらないからだ。グリムさんが見逃すかどうかは知らないが…「……旗取り行くけれど……グリムさんは?」浪打際へ寄りそのまま海へと足を踏み入れ、海面に起ったままグリムさんへ今後の予定を問いかけた。飛ぶでも乗るでもなく歩いて向かうらしい。海の上を。
ひたすら水をすくっては舟の外への繰り返しで、もうどのぐらい経ったんだろー?海水が冷たすぎて手の感覚なんて既になく…絶対コレ風邪ひいちゃうよっ!それでも沈んだらもっと大変だと必死に頑張ってるのに、海水はちっとも減った気がしない。ジャーたんにもう無理だと訴えようとしたその時…「ピカたん、海水はもういい、落ちないようにしとけ!」どうやら海水はもういいらしい。心底安堵するが、落ちないように…って何だろう?
何やら不適な笑みを浮かべているジャーたんに不安なものを感じる。というかいきなり「跳ぶぞ!」と叫んでジャンプした。狽・えっ!!?飛ぶの!?驚きながらも何とかわたしも飛び上がる。ジャーたんの方はというと…盛大な水飛沫を上げて海に落下していた。「狽たしの盾が沈んじゃうーーーっ!!?」慌てて引き上げようとするが中々上手くいかない。誰か手伝ってくれる人はいないかなー?きょろきょろと辺りを見渡すと、蒼秦さんの姿が目に入った。「蒼秦さーーーーん♪ たーーすーーけーーてーー♪」気付いてくれることを祈りつつ、助けを求めてみた。
云々と考えに耽っていると、目の前に腰を下ろした女性がにこやかに話しかけてきてくれた。「うナ?!う、うん、そう。沙緒なのです。お姉さんの事も知ってるよ。Rayさん、だよね?」び、びっくりした…お腹のお肉つまんでるとこ見られたかと思ったです…!背中に乗せてくれたおさかなさんは、デューさんという名前なのか。砂浜に着いたら、ありがとうを言わなくちゃ。考え事をしている間にもどんどんと陸地は近づいてくる。そういえば今後の方針を決めてはいないが、二人はどうするのだろう?そう思い、二人に声をかけようとしたところへ、ドコからか声が響いてくる。
『がんばって勝って、木材に装飾品をたくさん貰おうね!戦争じゃあないから、アクアマイトが勝てばアーリア様もきっと大喜びだよ!』 木材に、装飾品?貰えるのは、昆布ではなかったのか…!!事実を知り、一人打ちひしがれる。だが落ち込んでもいられない。だって交流会は、もう始まってしまっているのだから。「おねえさん達は、砂浜に着いたら、どうするのーっ?」大きな声で呼びかけた。少しだけ涙声になっていたが、覚られはしなかっただろうか。気付かれていない事を願いながら、返事を待ってみる。
「この下は…船着き場か…」目的地に球体を生成し下の様子を把握「…少ないな、これなら大丈夫だろう」マストの旗を目指し、飛行し始めてから、ある一つの事を思い出す…そう言えば旗取ったら飛べないんだよなぁ…マストに到着。しばし思考…「…さぁ、どうしようかな?」天使は何かを思いついたようにニヤつく…下の方々には見えないだろうがね。
大きなオルカとその背に乗っている3人の女の子?一行は、気持ち良い風を受けて静かな海を快調に進んでゆく。(う〜ん、爽快だね〜♪)一行は、先ほどまで先を進んでいた蒼秦さんを、あっ、と言う間に抜いて行く。『皆頑張って下さぃ・・・』(・・・う〜ん、最後の方聞こえなかった^^;)のんびり飛んでゆく彼女へ軽く手を振り、前方へ振り返ると既に先に砂浜が見えてきた。
『がんばって勝って、木材に装飾品をたくさん貰おうね!戦争じゃあないから、アクアマイトが勝てばアーリア様もきっと大喜びだよ!』 デューさんのテレパシーだろう。彼の言葉と先に見えてくる次のステージ?にワクワクしてきた。『おねえさん達は、砂浜に着いたら、どうするのーっ?』後に座るしろ耳の沙緒さんからの声?(なにか元気が無い、の、かな?少し声が細く聞こえたが気のせいかな。おそらく海水が目に染みるのでしょう^^;)
「そうですね!?旗を頂くのみです!!で逃げるのです♪・・・あれっ??あそこの船が・・・沈んでる!?陸に近いのに??あれれ??ピカロさん??」ほんとは、沙緒さんにかっこよく答えて砂浜へダイブする体勢を整えようと身体を上げてみると砂浜手前で海難のよう。。。「まずは、救出のようですね。・・・で、誰だろう??」(正直、予想は出来る。。。)
ひたすら陸地を目指して飛んでいると不意に自分の名前を呼ぶ声がした「蒼秦さーーーーん♪ たーーすーーけーーてーー♪」「はいですーっ!」反射的に返事をしてから声の主を探すと少し先に沈みかけた船とピカロさんが目に入ったお船が沈んでるですっっお船の人も沈んだですー?「ピカロさんっお空飛べたのですー」とりあえず思ったことを聞きながら側まで近寄って行った
トラップの設置は慎重に行われた。自身の存在が周囲に感づかれる事の無いように、作業音を木々のざわめきに合わせて隠した。公国の森は深い。余程斥候技術に熟練した者でない限り見つかる心配はないだろう。今回トラップは2種類用意した。交流会の趣旨を踏まえて命に関わらないよう配慮してある。一つはバネ仕掛けのボールで、作動と同時に対象へ飛んでいくというもの。もう一つは痺れ薬を塗りつけた針である。これはボールを避けた際にチクリと刺さるように仕掛けた。設置されたトラップの位置を頭に思い浮かべながら、最終確認を終える。(さて、時間は貴重だ。さっさと移動しねぇと…っと、んん?)
前方に気配。目を凝らしてみると、ダークエンジェルの女性が草に紛れるように何かを仕掛けている事が分かる。そして仕込み終えたのか、茂みに身を隠す。(ありゃ、お仲間だな。トラップによる待ち伏せって所か)これは好都合と彼女に合図を送る。上手く連動させれば予想以上の効果を生むかもしれない。と、さらに気配。魔族の男が搭へ向かって疾走してくる。ルトである。小細工に興味は無いらしく、周囲に脇目も振らない。(この手際の良さは流石主催者と言った所か、はたまた猪なだけか)そんなライブラリィの考えに、答えるかのように盛大な音を立てて転倒するルト。思わず吹き出しそうになるライブラリィであった。
嗚呼。海水がマジ冷たい。「蒼秦さーーーーん♪ たーーすーーけーーてーー♪」「はいですーっ!」寒いせいか声も出さず大人しく助けられてたら、そんな会話が聞こえた。いくら女の子とはいえ、ピカたん。俺1人を5m運ぶのも難しいか!?俺はそんなに重たいのか!?それとも大人しくじっとしてると逆に助けにくいのか!?頭ン中で色々言ってみたけど、助かるならまぁいいかって結論で落ち着いた。…でも女の子2人に助けられる野郎って…この上なくカッコ悪い気がすンだけど…。両国の人が徐々に集まってきてる砂浜。助かった後、ココはすんなり通過出来るといいな。ブツブツ…ぶくぶく…。
『こちらこそ、初めまして』アリスさんの隣にいる女性に挨拶され、反射的にそう返す。どうやら先を急ぐ様で、俺とアリスさんに会釈するとすぐに森の方へ歩き出していく…(あの娘…多分アクアからの交流会参加者だな。 ううむ…少し危なっかしい感じがするし 森で迷ったりしないと良いけど…)『塔は向こうですからね!』アリスさんから、怪我人がいない事を聞いて安心した男は森の方向を指しながら声を掛けると、あっさりと見送った。
「……旗取り行くけれど……グリムさんは?」そう聞かれ、海面の上に立っているアリスさんに目を向ける。『アリスさん、気を遣って下さって有難う。 勿論、俺も行きますよ。 ただ…俺、既に素敵な女性と、旗盗りデートの約束をしているので 先に向かっていて下さいな!』そう返事をした後、男は少し思案し…『…という事なので、デートが盛り上がる為にも 俺達の見せ場も残しておいて下さいね…?』笑いながら、そう付け加えた。
報告書は来るまでに読み終えたので、ざっとした配置は頭の中にある。防衛人数に問題はなく、森の中には罠がある。(罠があるならば、徒歩は危険だな。味方の罠に嵌まる事ほど、間抜けなものもない)よし、と考えを決めると地を蹴りそのまま風の力で宙へ舞う。旗を手に取れば降りねばならないが、それまでならば一番安全かもしれない。「…いくぞっ」木々の上を抜け、一路目指すは海。いざ旗の奪取へ。
慌てた様子で、本陣の塔に駆けてくる女が一人。どうやら出掛ける準備で遅くなった様だ。女が息を整え周囲を見回すと、旗を守りに残っている者が何名か目に入った。彼女は口元に手をやり、少し考えを巡らす。「守りは人が足りているようですし、私は旗を取りに行きましょうか。間に合うと良いのですけれど」そう言うと、森へと向かった。
「おねえさん達は、砂浜に着いたら、どうするのーっ?」最後尾のお客さんが問いかける。その声色はどこと無く・・・涙声?『一番後ろの君、どうかしたのかい?ちょっと急ぎすぎてしまったかな、大丈夫かい?』そうこう言っている間に砂浜に到達。軽く砂浜に乗り上げ、降りやすいように体を少し傾ける。『エルフィネスの浜辺に到着だよ!みんな大丈夫だったかな?さてと、僕は旗を持って飛べないし、森の中は木が沢山で進めそうに無いからここでみんなを待っているよ。頑張って旗を取ってきてね、ギギギギギ』ぱたぱたと尾びれを振り、エールを送る。『それじゃあ、僕はここで出来る事をやろうかな!』
全員が降りたのを確認し、海に戻る。場所は砂浜から約5メートル程。そう、現在上空からの救出作戦が行われている場所だ。『やあ、いたいた!すぐに助けるからねジャジャ氏〜!』さっと下に入り込むと次の瞬間『それ!』勢い良く突き上げた。きっと、周りからは見事に決まった大技スカイロケットが見れた事だろう。救助者の安否はわからないが、多分、無事。多分・・・。
罠は張ったものの、そんなにすぐ人が来る訳では無く。茂みに潜んだままぼぉ〜っとしていたら、ふと塔から誰か出て来る。何か合図を送っているみたいだけど…。あっ、そういえば私の他にも罠を仕掛けた人が居るんだっけ。そんな事を考えていると、ふと、凄い勢いで何かの気配が近付いて来るのを感じた。あぁ、これは知ってる人。そして、次の瞬間には期待通りの良い音。思わずガッツポーズをとったのは言うまでもない。さて、久しぶりですから御挨拶をしませんと。茂みから這い出し、見事に地面に突っ伏しているルトさんに軽くお辞儀をする。勿論、満面の笑みを浮かべて。
「お久し振りです。 そして、いらっしゃいませ、ようこそエルフィネスへ。 せっかくですから、この場でごゆっくりおくつろぎ下さい。」顔を上げた後、両手の十指の指先それぞれに一本づつ水の糸を練成する。さて、それじゃ仕事をこなしましょうか。彼から余裕を奪う仕事を。この後控えている罠の事なんか考えていられないくらいに。
船倉に向う途中寒気が―(ぉお?やっぱ陽がささないから冷えるのか?)実は殺気を一瞬浴びてたからなのだが…着いた先は食料やら飲料やら…貯蔵庫に当たった模様そしてあるモノに目をつけた!「これって…ワイン樽じゃないかィ?」期待に胸躍らせ少し呑む…美味いッ!もう少し…とした所で肩を叩かれる振り向くとそこには監視員「何してるんですかっ!それは終わってからの―」「そうか…すまんすまん。いや、ちゃんと美味かったぞ?なんならお前サンも一杯d」本気で監視員が怒り始める。仕舞ったな…とりあえず旗は簡単に見つかる訳ではなさそうだ…外へ行くか…怒鳴り声を聞き流しながら思っていた
(…空を飛んではいけないのは空を飛べない者への配慮な訳だ…と、なると旗を上空へ飛ばす事もほぼ同等の行為となるはず…パス程度なら平気なのか?…いや、待てよ?)天使は旗を目の前にし、運搬作業を脳内でシュミレートしているらしいたまに考えが口から呟きとなり出ている「…これでいこう」天使は意を決し、旗を勢い良く掴むと、着地する「目指すは海!海中に潜る!」と宣言後、海めがけ猛ダッシュ!…ザバーーーーン!潜水で暫く進み、海面に顔をだす。「プハッ…第二行動に以降…」翼で水を掻き地道に進んでいくのであった…
こける瞬間、様々な事を考えた。手を突いて回転、こけずに走り去る等・・・でも、手に持った酒瓶が其れを許さなかった。酒を投げ捨てるくらいなら転ぶ!そして衝撃。ちょっと切なくなりながらもかけられた声に顔を上げると、満面の笑みが待っていた。・・・うぅ、なんて嬉しそうなんだ。あぁ、なんて厭な再会なんだ。よろよろと起き上がりながら、死守した酒を煽る様に呑み干す。戦いになったら割れてしまうからな。あぁ、おのれ。久しいな。蒼雷麗。以前の約束どおり、お前の名は忘れていないぞ。頬の泥を袖でぬぐい、八角棒をくるりと回す。酒瓶は捨てる。もう空だ。かなり痛かったぞ?お仕置きだ。蒼雷麗。
男の声に、思わず拍子抜けして振り返る。そうして見たのは、ご丁寧に方角まで指差している彼の姿。私を嵌める為の嘘、という訳では無さそう。止められてもこのまま押し通るつもりでしたから、都合は良いのですが。何か、こう――。暢気なのはあちらも同じという事?「親切にどうも。あなた方もお気を付けて。」心の中では仇を返しながら、取り敢えずそう言ってその場を後にした。暫く進んで。「飽きました。」ポツリと呟く。足を踏み入れてから、ずっとずっと同じ景色が続いています。自然と触れ合いたい方にはお勧めかもしれませんが、生憎と私にそんな風情は無いのです。あぁ、早く塔に着かないかしら。
木々の間から垣間見える建造物。エルフィネスの塔は、思いの外高さがあるようで。「むぅ… さすがにあれだけ高いと、よじ登るのは無理かァ」ぶつくさ呟きながらも、のしのしと進む…が。ふと獣の気配をみとめて立ち止まる。「…うん?」伺い見れば、そこには何やら途方に暮れているお姉さんの姿。どうしよう。迂回しようかな。でもその向こうに見えるのは塔、と旗、だよね?仕方ナイか。この際。軽い葛藤の後、のそりと茂みから姿を現す。「こんばんわ、ケルベロスのおひと。 良かったらソコ、通してくれるかなぁ?」ゆらりゆらり、と長い尻尾を揺らしつつ。実は結構、焦ってたりして。
いかん…明らかに同じ場所を回ってる…と思う…。「こんばんわ、ケルベロスのおひと。 良かったらソコ、通してくれるかなぁ?」声を掛けられ、振り返ると四つ足の獣…。「あ、こんちゃ…ちょっと道を尋ねたいんですけど…アクアの船ってどっちですか??」丁重に頭を下げ、お願いする。…ふと思い出す…。此処に居るってことは旗を取りに来た人なんだよね…。…邪魔した方がいいかな。…邪魔じゃないけど、とりあえずあの毛は撫でてみたい…!ちょっと期待の目を向けてみる。
オルカに乗る3名の一行は無事砂浜へ到着。『エルフィネスの浜辺に到着だよ!〜頑張って旗を取ってきてね、ギギギギギ』どうやらデューさんは、そこの救難者の救助に戻るようだ。「ありがとう!?旗取ったらまた戻ってくるからね♪」さて、先に森が見える。さすがエルフィネス。こんな立派な森は初めて見る。(う〜ん、迷いそう。でも先発隊はすでにここに入っているし・・・。もし、迷ったらどなたかに聞かないと・・・帰れなくなりそう^^;)
「皆さんは、どうされます?とりあえず私は塔へ向かいますので。」(こんな森一人じゃ怖い気もするけど・・・みんなも行動は自由がいいし、・・・沙緒さんは、元気が無いのかな。。。)白耳の彼女を見ると若干元気が無いように見えた。私は、あまり人に上手に接する事も出来ないのでとりあえず見ないふりして、一人森へ駆ける事にした。
「おねえさん達は、砂浜に着いたら、どうするのーっ?」浜も視界に入ったあたりで紗緒さんの声どうするも何も…別に策とか考えて無かったし…「旗を目掛けて突っ込むっ」(握り拳でファイティングポーズ(ぐぐっ浜へはすぐに到着、丁寧にデューさんがおろしてくれる「ありがとうーv帰りもよろしくですよっ」ぎゅぅとひと触りしてから離れると、デューさんエールを受け取り手を振るか、可愛い(´¬`)と、同じ浜辺ではあるが少し離れた所に人影を見つける一人は見覚えのある方だ思わず手を振って大声を上げる「アリスさーんv」
ぁ…アリスさんアクアじゃないんだからエルフィネスかそこで気付き慌てて走りだしながら言葉を続ける「アリスさんも頑張ってねーv」と「は、早く行こう」もう既に行ってしまったRayさんは良いとして紗緒さんに声を掛けてみるとはいえ足は止めない、気が変わってアリスさんがこっちに来たら旗どころじゃないかもしれない水の上、立ってたしっ!走りづらい浜を進むとすぐに森塔の位置を確認し中に入る森、結構深いな…隠れる所も一杯これは罠も…と思いつつ走っていると、目の端に看板が目に入る(ガクッずぼっ「落とし穴!?うにゃぁ〜!」
「アクアのふね?」てっきり邪魔されるものだと思っていたら、逆に聞き返されてキョトンとなる。何のコトはない、単に道に迷ったおひとだったらしい…?「船なら砂浜の先の海の向こうだから…ええと」どう説明しようか、と振り返る。そこには、ワタシが藪をかき分けて出来たけものみち。「…こんな風に、枝とか折れてる道辿ってけば着くと思うなっ」なんだかしげしげと全身を見られているような気がするけれど。き…気のせい、だよね?「というわけで、ワタシはコレで…」じわじわと、回り込むよぉにして塔に移動を始めた、その時。『うにゃぁ〜!』
驚いて振り返れば、塔入口の落とし穴に誰かがハマっている!確か見掛けたコトがあるあれは…ウィムさん?助けなきゃ!ケルベロスのお姉さんはこっちを見たまま固まってるけど…こ、この際気にしてられないよ!「待っててウィムさん、今行――うわぁッ!?」走り出した足下を、ぽっかりと落とし穴が迎える。幸い体格の大きさで、全部ハマるには至らなかったけれど…「イ…イタイ」穴に片足突っ込んだ姿は自分で言うのもなんだけれど…マヌケ。「せ…せめて旗だけでも…!」立ち上がろうと藻掻きつつ、長い尻尾で入口の旗を絡め取る。あとはウィムさんの救出と、ここからの脱出…!(じたばたじたばた)
大きい海原に、白い点がポツリ…「…うう…寒っ、寒中水泳(遠泳)は堪える…」(肉体の質量がほぼ無いので浮力は余裕で得られるが…今は冬…極・冷水だ…考えてなかった…)ガクガク震えつつ旗持ちの使命のため(陸地に上がるため)必死に泳ぐ(海は半分渡ったようだな、上の球体が目印なんだ…ククク…)ちょっと壊れ気味
「あら、覚えていただけたなんて光栄です。 私もルトさんの事はちゃんと覚えてます。」勿論、返す言葉も満面の笑みと共に。まあそのせいでルトさんは随分御立腹のご様子。うん、当然だよね。ただお仕置は勘弁してもらいたいところ。あの八角棒でどつかれるのは心底痛そうだし。だから、こう続ける。「それと…出来ない事は言わない方が宜しいかと…。」そこら中に張った糸の罠のお陰で地の利は私にある筈。間合いだってまだ少し離れてるし。うん、多分大丈夫。きっと…もしかしたら。はてさて、長い時間を掛けて練習を重ねてきた糸繰りの技。どこまで通用しますやら。
「うーーーみぃーーーっっ!!!!」賑やかになりつつある森を抜けて砂浜に着くなりとりあえず、一言叫んでみた。意味はまったくない。強いていうなら、遺伝子レベルの何かが叫べと言ったのだ。「それにしても、海よねぇ……って、どうして船の一艘やニ艘置いてないのかしら?」辺りをキョロキョロ見渡す限り、打ち捨てられた船がぽつねんとあるだけ……これではかなり辛い……私は泳げないのに……いや、もしも船があったとしても、船を他国まで漕いで行くようなナイス根性は持ち合わせていない。
「しょうがないっ!!移動手段だし、これぐらいは問題ないでしょうっ!!」懐から葉っぱを取り出すと、波打ち際に放り投げる。そして、その頼りなく波に呑まれかけている葉っぱに軽やかに飛び乗る。それを二回三回と繰り返し、海の上を渡っていく。「さてさて……もうそろそろ他の子達にちょっかいかけないとダメかなぁ?」そんな事を考えながら、前に歩いてたり、泳いでいたりする子達の後をおいかける。
うん、やっぱり旗優先、だよね!二人の頼もしい答えを聞き自分も頑張ろう、と頷いていると、また頭の中に声が響いてきた。『一番後ろの君、どうかしたのかい?ちょっと急ぎすぎてしまったかな、大丈夫かい?』この声は…おさかなさんの声なのだろうか。心配、させちゃったかな?「えへへ。大丈夫、怖くなんかなかったよ?ありがとう、デューさん。」優しいね、と呟き背中をぺたぺた、と撫でる。傾く感覚に前を向くと森が見えた。もう陸地に着いてしまったようだ。名残惜しい気もしたけれど、降りなくちゃ。デューさんとはここでお別れの様。また乗せてもらえたら、いいなぁ
「デューさん、またねー!!」離れていく背中に手を振っていると、盛大な水しぶきが上がる。「お、うおぉぉぉぉーーっ?!!」余りのパフォーマンスの凄さに、思わず拍手喝采。しているとウィムさんが「は、早く行こう」と声をかける。Rayさんはもう森の中へ行ってしまった。「うん、行こうっ」見失わないように慌てて追いかける。深い森。木の上を飛び移っていけば、早く移動できるかな。途端、ウィムさんが消えた。「え、えぇぇ?!」深そうな穴が開いている。この中に落ちてしまったのか。先の方にも、もう一人…アレは…「アグロンさ……旗ーーっ!!」
どうやら蒼秦さんはすぐに気付いてくれたみたいだ。蒼秦さんもあまり力はありそうにないけど、か弱い女の子でも二人がかりでやれば屹度大丈夫だよねっ!「わたしはジャーたんが思ってるよりも、 ずーーっとずーーーーっとか弱いんだからっ!!」とりあえず、何か言いたそうな顔のジャーたんに、自分のか弱さを主張していると、「ピカロさんっお空飛べたのですー」と言いながら蒼秦さんが到着した。「うん。わたしは飛べるんだけど、 ジャーたんが落ちちゃったんだよーっ」ブクブクと沈んでいるジャーたんを必死に引き上げながら説明する。「うわっ。やっぱ重…っ! 蒼秦さんは左にまわってくれるー?」
『――先に向かっていて下さいな!』どうやら誰か人待ちをしているらしく、グリムさんは此処に残るようだ。『――俺達の見せ場も残しておいて下さいね…?』「……わかった……じゃあ……またね」こくんと頷いて別れを告げ歩き出す。『アリスさーんv』ふと誰かに呼ばれ振り返るとかなり遠い所から知り合いのウィムさんが手を振って居たが、すぐさま―『アリスさんも頑張ってねーv』と反応するよりも早くウィムさんが一緒に居た人を引き連れて森の中へと行ってしまった。相変わらず元気な人だと想いつつ…「…そっちもね」と聞えないエールを送、改めて敵本陣を目指し海上を走り出した。
走り始めて直ぐ、横手の方で大きな動物と三つの人影を発見する。救出作業中のように見えたので加勢した方がいいのではないか?と思案したが、「でも……あれはアクアの人達……此処は……スルーでいいか」と言う自己完結な判定を下し、船を目指す事にした。暫く進むと、海面の直ぐ上に浮ぶ光る白球が現れる。「………?」アクア側の罠か何かなのかと警戒しつつ接近し、近くまで来た時…………がっ!突然何か硬い物を踏んだ感触がブーツから伝わってくる。海上で物を踏むなんて在りえないが、踏んでしまったのだからしょうがない。立止り踏んだ物体の正体を確かめようと海中を覗き込んだ。
思案している最中。…ザバーーーーン!不意にまるで何かが飛び込んだような音。マストを見上げれば、御旗は既に其処になし。暫く海面眺めれば……不意に白い点が浮かび上がる。翼で器用に水を掻き、泳ぎ去る誰か。いやはや、見事なものだ。上手上手……と、迂闊にも拍手してしまう程。……その手に旗さえなければ。海水は寒かろうと思うが、まあ頑張れ。などと、このまま応援するわけにもいくまい。
『アクア本陣より、旗を奪取されたり。 旗の持ち手は現在、寒中遠泳中…』風精の力を借りて、拡声。その叫びが彼方までも反響していく。これで両国問わず、誰にも彼にも伝わる事だろう。……何処まで届くか判らないが。―――不利な状況を何故伝えるのか?旗を取られた事実を仲間に把握させる為と、発破をかけて発奮させる結果へと繋げる為に。同時に……これであちらの攻め手や守り手にも旗の確保で人員を割かせる事に繋がるはず。……守り手が減れば此方も旗が確保し易い。心中で……中間状況の旗を切欠に浜辺と海でお祭り騒ぎになればなどと、不謹慎な事を考えているのは秘密だけれども。
きょとんした目を向けられた…。そんな変な質問しただろうか…?「…こんな風に、枝とか折れてる道辿ってけば着くと思うなっ」見ると、獣さんが通って来たらしい獣道が出来てる。成程…これを辿ればいいのか…。『うにゃぁ〜!』 突如として背後から上がった悲鳴に驚き固まる。獣さんが走って、彼女を助けに行った。…どうしよう…邪魔するべきか…それとも…しかし待ち人が居る。これ以上、モタモタもしてられない。…卑怯とは思いつつも、彼らをこのままにしてこの場を去る事にした。「道教えてくれてありがとう!今度その毛皮触らせてね!」そう言うと、アグロンさんが来た道を疾走する。
暫く、獣道を走っていくと徐々に足元の草に砂が増えてきた。どうやら砂浜が近くなってきたようだ…。『アクアマイト本陣より、旗を奪取されたり。 旗の持ち手は現在、寒中遠泳中…』唐突に声が空を駆けていった。…どうやら、誰かが旗を奪取したようだ。僕も急ごう…!砂浜に到達すると、キョロキョロと周りを見回す。「えっと…グリムさんは……」
「うわっ。やっぱ重…っ! 蒼秦さんは左にまわってくれるー?」「はいですーっえと、引っ張るから頑張ってねですーっ」言われたとおりに左側からジャジャさんの服を掴んだ万が一羽が海水に浸れば自分も沈んでしまうので必死になって引っ張っると、急に海底から黒い影がせりあがって海面が盛り上がった「海が膨らんだですーっ?!」またたくまに海面からジャジャさんとデューさんの姿が現れ勢い良く空中へ飛び上がったそれと同時に自分の体も浮き上がり、気がつくと背中から砂浜に落ちていた「ピカロさんとジャジャさんは大丈夫ですー?」ぐるぐる回る景色の気持ち悪さに堪えながらそれだけ言うとぱたりと力尽きた
仕置き。そうは言うたものの、実は一寸難しかった。蒼雷麗の実力は少しばかり知っている。なんせ一度は組んだ相方だ。しかも此処は森。炎を噴いたりする広範囲攻撃は使えない。燃え移るからな。ルール上拙い。目の前に森の出口が、塔のある広場があるのに、・・・その前に蒼雷麗が立ちはだかっている。ん?どっちみち火を吐くのは殺しかねない行為じゃないかだと?そんな馬鹿な。その程度で簡単に死ぬ奴なら苦労はない。こいつは強い。つまり、ルールの範囲内だ。・・・と、思う。自信はない。
八角棒を構え、思考を巡らしながらじわりじわりと間合いを詰める。其処に、蒼雷麗からの一言。「それと…出来ない事は言わない方が宜しいかと…。」・・・ぁ?ぶちん。そんな音が聞こえた。あぁ、わかってる。相手は何かを狙っている。こちらを挑発してるのだ。・・・だがな。我は挑発に弱いんだ。あぁ? だってむかつくじゃないか。知らん。潰す。嗚呼、さっきまでの思考が何処かに飛んでいった。もう帰ってこないな。さようなら。ボッ! 手に持った八角棒が炎に包まれた。メラメラと炎を上げる木製の棒。一気に間合いを詰め、その炎の棒を叩きつける。出来ないか如何か、その体に教えてやろう。
い、今。『やっぱ重ッ』て聞こえた…!!俺ってそンなマジ重かったのか!?ダイエット考えるべきか!?「蒼秦さんは左にまわってくれるー?」「はいですーっえと、引っ張るから頑張ってねですーっ」あまりのショックに2人の空飛ぶ女の子の会話や言葉は右から左状態だ。「海が膨らんだですーっ?!」へぇ…海が。そうなのか、膨らんだのか。へぇ…へ… … へッッ!!?気が付けば、俺の視界は青ばっかり。さっきまでの海の青じゃないな…これは…そ、空ッ!?うおぉ、マジ綺麗な青だなー…ところで俺、いつから飛べるようになったんだっけ。
気が付いたら、俺は陸の上に座り込んでた。何だったんだろ今の。夢か?幻か?蜃気楼か?天からのお迎えか?条件反射で動くようになってた身体のお陰で着地は上手くいった。…でも俺は現在、座り込んでる。…着地の1秒後には座り込んでた。何でって、飛んだ高さが凄かったからサ。着地の衝撃で足がマジ痛いンだ!!直ぐ治るけど。キョロキョロっと辺りを見ると海にはデューさんが。あ、そうか!さっきのはお迎えじゃなくてデューさんか!「デューさん、ありがとなーっ!」足は動かなくても口は動くからお礼は言えたぞ。後2人のお礼言いたい人は…1人行方不明でもう1人は気絶しちゃってるけどな…。
「デューさん、ありがとなーっ!」砂浜から声がする。どうやら無事だったようだ。いや、男性の方は無事だか少女が一人倒れている。『やや、勢いが強すぎてしまったかな?蒼秦氏、大丈夫かい?』声をかけるが気絶してしまっているらしく、返事が無い。『困ったな、どうしよう、大丈夫かな?』砂浜に乗り上げ、不安気に鼻先でつついてみる。『それに、ジャジャ氏も足は大丈夫なのかな?』助けたうち、動けない二人を心配していると、本部の船の方からかすかに声が聞こえた。
”アクア本陣より、旗を奪取されたり。 旗の持ち手は現在、寒中遠泳中…”『アクアマイトの旗が取られてしまったみたいだね、大変だ。取り返しに行きたいけれど、森に入ったみんなを待ちたいから砂浜からはあまり離れられないし・・・。この近くまで来たところで取り返すのが良いかな?』未だ倒れる少女に心配そうな視線を送りつつ、巨体を海中に戻す。海の中なら負けるつもりは無い。相手が水生種族なら仕方が無いが。『ねえ、もし取り返せなかったら、誰か取り返しておくれね。』さて、旗泥棒の接近をまつとしよう。
『ええ、また後で会いましょう』軽く手を振りながら、アリスさんを見送る。そうしていると、遠くの方から元気の良い女性の声が聞こえてきた。(へぇ…あの娘もアクアからの参加者みたいだ。 明るく活き活きとしていて、良い感じの娘だなぁ)頑張ってね、と心の中で呟きながら男は砂浜に用意されている小舟に近づき、腰を掛ける。(よし! ここでヴェルサイユさんを待たせて貰おうかな。 …って、どうやら到着したみたいだね)『ヴェルサイユさん、俺はここですよ!』男は笑いながら、大きく手を振り出した。
…!前に人影!…あれは確か…「おぉ〜い、アリスさ〜ん!」と発音したはずだった…ガスッ!爪先が脳天にクリーンヒットォォ!発音した言葉は水の泡と化した…しばしの沈黙後「ブブッバッブブ…(痛でぇよぉ…)」どうやらアリスさんも気付いたらしく足はどかしてくれた。…?…足?気になり見上げると、水面に立ってるではないか、これは凄い『アクア本陣より、旗を奪取されたり。 旗の持ち主は現在、寒中遠泳中…』アクアの本陣に居た誰かが気付いたか…魔術の類が得意と見える…
アナウンスを聞きしばし思考(目の前には味方…目的地に行くまでは、多少の敵…しかも旗を奪取されたという情報は伝わっていると考えられる…)ふっ、と口元がにやける「アリスさん、この旗、あなたが運んでくれますか? 俺は足が遅くて戦闘には長けていません。」ここで、一旦区切り「あなたは足が速い、戦闘は出来るかはわかりませんが、俺は守護にまわる事は出来ます。」旗をアリスさんの手に渡し。「一緒に組んでみませんか?」と一言旗さえ持っていなければ飛行は可能だ…
なんとか監視員をなだめ船倉から階段を上がっていると『アクア本陣より、旗を奪取されたり。 旗の持ち手は現在、寒中遠泳中…』(あっちゃぁ…もう来てたのか…外にあのまま居た方が正解だったんだねェ…今なら取りに間に合うか…?でも…確かここまで来るのにあの女性しか人を見なかった…ここを離れるのは得策じゃない気もする…)甲板に出て船内に入る入り口の前に立つ第二陣に備えてここで相手方を待つことにしよう…
塔までの道のりを大きく惑わす森、だと思っていた。しかし・・・『うにゃぁ〜!』だの数名の影がそっちに移動したりと(実際はかなりでかい影が一体と身軽そうな影が見えたりと)森の中は結構バタバタとして静けさって感じが全く無い。。。(・・・とりあえず、アクシデントは避けないと。・・・あれっ!?・・・あそこに見えるのは〜。。。)別の方には、黒装束の女性と火がついてる棒を持っている男が対峙してるのが見える。(・・・ルトさん?・・・う〜ん、巻き込まれたくない^^;)その時、『アクア本陣より、旗を奪取されたり。 旗の持ち主は現在、寒中遠泳中…』(なおさら頑張らないと・・・)
人目に付かないように急ぎ足で塔へ駆ける。・・・が、足に何か触れた!?(罠かっ!?・・・へっ!?球??)ギューン、ボコッ!!見事に頭をヒット。「やられた〜〜!?」取り合えず罠にかかったからには、痛くないけど叫んでおこう〜。しかし、球だからって油断が生じた。クリーンヒットさせたれた頭は、身体からパキッっと取れてしまい、そのまま身体を離れて転がってしまった。
(あっ〜、目が回る・・・気がする。戻すの大変なのにぃ〜)転がり茂みに落ちた頭の目の前には、茂みに潜み隠れている男がいた。「はじめまして!?ちょっと戻すの手伝って下さい^^;」視界の遠くでは頭の無い私の身体がどっかに向かって会釈している。
森を抜け、砂浜と海が見える位置へと辿り着く。空から見下ろせば、幾つかの人影も見えた。その時、突然声が聞こえる。『アクア本陣より、旗を奪取されたり。 旗の持ち手は現在、寒中遠泳中…』「早くも1つ奪取か。しかし、寒中遊泳とは頑張るな…」うかうかはしていられない。援護に回るにしても、旗を奪取に行くにしても。先へ進まなければ。「…行こう」
ようやく塔の近くまで来てみれば、何やら既にひと悶着起きているよう。木陰からそうっと覗いて様子を探る。あらあら。落とし穴に嵌まっているのはウィムさんでしょうか。アグロンさんも?あら。旗を持っているじゃありませんか。後は確か・・・「あぁ。焼き芋の子。」口にしたのは、取り敢えず自分の中に有った少女の印象。名前は覚えていない。――見張りの兵は?状況を良く探ろうと目を凝らした時、微かに風精が騒いだ。悪い報せですね。ふむ。「のんびりしている暇は無さそう。」木陰から飛び出して、一気に塔へと駆けて行く。焼き芋の子の隣を通って、その際『旗をお願いしますね。』と呟きを残す。
他に仕掛けられているかもしれない落とし穴を警戒して、大きく跳ぶ。けど、流石に全部を渡る跳躍力はありませんから、足場代わりにアグロンさんを踏み付け、もう一度跳んで塔の方へと。ごめんなさい、と小さく呟いたその顔には笑み。滅茶苦茶楽しそうに笑っていた。さて、内部には何が待ち受けているかな―っと。そうですね。何事か思い付き、塔に入って直ぐしゃがみ込む。掌を床にぴったりと。「このくらいで良いかな。」立ち上がった足元には、薄く張った氷。子供じみた悪戯だ。取り敢えず誰かすっ転ぶと良い。「敵でも味方でもね♪」不覚にも楽しくなって来た心を隠さずに。満足気に階段へと急いだ。
だんだんと森が騒がしくなり塔の入り口付近も賑やかになってきた結局はコートを着たままの男は旗の前に立つ双月の横で仁王立ちをしたまま呟いた「誰か罠にかかったみたいだなこれは助けるべきか否かだが…って…おぉっ?!」突然伸びてきた尻尾が旗に絡まる守りが居る目の前で旗を取ろうとするとは尻尾は罠にかかった獣のものらしい「…この尻尾は、踏んでもいいものだろうか?」片足を上げて思案するとその獣を踏み付け塔の内部に入り込もうとするものがいた「ったく、まずはこいつどうにかすっか…残りは、塔から出てきたら殴ろう、うんそれがいい」
旗を取るか、二人を助けるか。迷っているその横を眼鏡をかけた女性が駆け抜ける。『旗をお願いしますね。』そう聞こえた。女性は落とし穴にはまってウンウン言ってるアグロンさんの背中を足場にして塔の中へ消えていく。あのおねえさんが跳べるのだもの。沙緒だって、跳べます!船での事を思い返して不安になる心をいきり立たせる。防寒用に着ていたポンチョをズボリと脱ぎ、脇へ抱える。「ご、ごめんな、さーーいっ!!」出来る限り後ろに下がって、えいやっとばかりに前に飛び出す。むぎゅりッ!!アグロンさんの背中に無事着地、成功。
アグロンさんにもう一度、「ごめんね。コレ、沙緒持ってくね?」と言い尻尾からスルリと旗を抜き取る「うー…にゃぁっ!!」脇に抱えていた上着を塔の入り口に立っていた二人に思い切り投げつける。目隠し代わりにでもなってくれればいい。そう思いながら旗の持ち手部分をガッス!と突き立てる。刺さった!なら…いける!!「とぉーーっ!」旗を軸にして、もう一度跳ぶ。勿論、旗も引き抜いて前へ。ぐえっという声が聞こえた気がした。き、気にしない!着地と同時に抱えて飛び出す。二人が、追いかけて、きませんように…!あの体格差。沙緒じゃ確実に勝てないよう…!
ええと、こっちの足を踏ん張って、こっちの足を引き上げて…で、こっちの足を持ち上げ……うわぁッ!?じたばたしているワタシの背中を、誰かが思いっきり踏んづけて飛んでいく。見覚えのある眼鏡。とバッテンマーク。「シェキルさ…ぐえぇ!?」驚いて声上げたところで、更にもう一人。さすがに耐えきれずに、脱出しかけてた穴にも一度ハマりなおし…更に更に。「あァっ! ワタシの酒、じゃない旗…!!」尻尾からするりと抜き取られた旗。うぅッ、なんだかとことんツイてない気がするよワタシ…!あ、でも、トロいワタシが旗持つよりは良かったのかな…?もがき直しながら思考する。
幸い、今の子が投げた上着が上手いコト目隠しに………なってるんだろうか。じたばたしながらこそりと塔入り口を伺い見る。旗持ってたの、気付いてなければイイんだけど。ええと、カモフラージュにその辺の枝を拾って尻尾で持って…でもって、向こうから見えないように隠して、と。や、やっぱりバレちゃうかなぁ…?小細工をしつつも、何とか落とし穴から抜け出す。尻尾は隠したまま。あとは…そうだ、ウィムさんを助けないと!
踏んだ物体の正体はフィレズさんだった。何か言っているがバブバブと泡を生成するばかりでまったく聞取る事が出来ない。『アクア本陣より、旗を奪取されたり。 旗の持ち主は現在、寒中遠泳中』突然聞えた声。この遠泳中と言うのは確実に目の前に居るフィレズさんの事で間違いないようだが、『寒中遠泳をする有翼種など早々お目にかかれる物ではないのだろうか?』と想いながらフィレズさんを見つめた。無表情で。そんな事を考えていたらフィレズさんから共同戦線のお誘いを貰った。「……良いよ」残る旗の奪取は他の人に任せ、今はこの旗を持ち帰る事を最優先とし、承諾した。
差し出された旗を受け取り、ふと思う。ルールでは、旗を持たなければ飛行可能と言う事らしいので、現時点で旗を持たないフィレズさん飛行して帰還すると言う事が可能。しかし、真冬の海に長時間浸かっていたのなら外気に触れた途端の体温変化やら水を吸った羽により、水中よりも寒くて重いのではないか?はてさて、どう言う反応を取るだろうと期待しつつフィレズさんが浮上するのを待った。やはり無表情で……。
『………良いよ』案外すんなりと承諾を得られた。これで飛行する事が出来る。「ありがとう、そんじゃ、帰還しますか」(……先ほどからまじまじとアリスさんに観察されてる気が…するんだけど…)妙に無表情な顔を見つつ海から上がる…「う゛っ…」つ…翼が重い…水を吸ってる?! しまった…予期せぬ事態に驚きつつ、羽ばたいて一応飛行可能なまでに乾かす事には成功した「あ゛〜焦ってしまった、スマン」勢いよく海から飛び出す。普通なら、急激な体温変化があるはずだが…
「アリスさんは海の上を走れるのか…俺はその速度に合わすから、本陣めがけ走って下さいね。」寒がる様子も無く帰還方法について説明する。「森の中には俺の掘った落とし穴ありますから気をつけてください。看板がありますから一目で解りま…ヘックション!…あ゛〜すいません。…なんか寒いですね…」どうやら耐えてるだけの様だ「あの光る球体に沿って行けば迷いませんから、俺が生成した物ですから間違いはありません。」そう言うと飛行体勢を整える「さっ…早急に帰還しますか、アリスさん。」
蒼秦さんと必死にジャーたんを引き上げよーとしてると、「海が膨らんだですーっ?!」という蒼秦さんの声とともに、ホントに海が膨らんだ。「狽・えっ!? 海が膨らむって…え?え?」何が起こったのかまったく理解できなくて、とりあえず必死にジャーたんにしがみつこうとしたけど、見事に失敗して吹っ飛ばされた。(ぼしゃっ顔面から海に落ちる。海と言ってももうホント砂浜まであと僅かで、普通に足もつくし、泳ぐより歩いた方が楽な場所だ。
「ぷはぁっ。 …あーあー。もー服がびしょびしょだよーっ」鳥渡泣きそうになりながらも、何とか起き上がって、バシャバシャとジャーたんの居る砂浜に向かって歩き出す。途中で蒼秦さんに心配そうな視線を送るデューさんの姿が目に入り、やーっとさっき何が起こったのか理解できた。「そっかぁ。デューさんが助けてくれたのかぁ。」蒼秦さんは気絶しちゃってるみたいだけど…「ジャーたーーーーんっ!無事ーーーっ?」砂浜に辿り付いたわたしは、とりあえず、いつも通りに叫びながら体当りをしてみた。
思い出した事が二つ。一つ、ルトさんは私を軽々と蹴り飛ばす事が出来る程の膂力がある事。二つ、そして、非常に沸点が低いという事。…あぁ、私は踏んではいけないものを踏んでしまったみたい。炎を纏う八角棒を目にすれば、嫌が応にも沸き起こる恐怖心。ていうか目が怖い。ただ、どんなに怖くてもまだ間がある。相手が間を詰めて来てもその分離れれば…。そう考えてはいても、いざ迫り来るルトさんを前にするとその威圧感に圧倒され、振り下ろしの一撃に対して出来たのは、寸でのところでの後方への跳躍による回避。途中、眼前の空気を焼きながら灼熱が赤い綺麗な軌道を描き、通り過ぎる。
その一瞬、死の危険さえ感じた。けど…「どうしました? その程度では遅過ぎて掠りもしませんよ。」口から出すのは心とは反した強気な言葉。そのまま指先の水糸を伸ばしつつ、更に後方へ。大丈夫。ルトさんを止めるのは困難の極みだけど、今は後の罠に嵌めれば良いだけ。だからこのまま…しかし次の瞬間、無情にもその希望は後方の騒音と共に消し飛んでしまう。誰かが、ライブラリィさんの罠を発動させてしまったのだから。あぁ…ヤバい。本当にヤバい!時とともに、塔の入口付近も慌ただしくなっていく。だけど私にはそれを気にする余裕は無い。だって、捕まったらお仕置どころじゃ済みそうにないから。
『ヴェルサイユさん、俺はここですよ!』大きな声がしてたので、そちらを見てみてるとグリムさんが笑顔で手を振っていた。「お待たせしましたー」小走りで近付き、こちらも笑顔で返す。グリムさんが腰掛ける船は二人なら充分幅もあり、安定して進めそうだった……漕ぐのはお任せしていいのだろうか…??ていうか、耳の中に水入ったらヤダなぁ…まぁ、四の五の言ってられないか…「では旗を目指してGoです!」
落とし穴に落ちたのは分かる落ちる瞬間看板が見えた…足は止まらなかったけど【落とし穴があります。足元にご注意下さい】そこそこ深い「でも…これなら出られそう」上を見上げ穴の高さを確認する後ろから来てた紗緒さんは目の前で落ちた私を見れば引っかからないだろうけど…「うわぁッ!?」ん?何か聞こえた…ん〜…アグロンさん??ぁ…ちょっと振動紗緒さんじゃなくアグロンさんが引っかかった?「とにかく出ますか」爪を使ってザクッザクッと落とし穴の壁を登り始める背の方の壁に尾尻を延ばし途中で落ちる事なく上へ
顔を出すと目の前にアグロンさんの顔が…「うわぁっ」ビックリした…(ドキドキどうやらアグロンさんは下まで落ちなかったようで…そうか穴のサイズが合わなかったのねv自力で落とし穴から這い出しアグロンさんの尾に気付く「ぁーv旗取ったんだぁ?凄いv私も取りに…」(ナデナデ言いつつ撫でながら視線を前へ塔の入り口が見えたのは良いけどなんだか頭に布を被って人が仁王立ち他にも…激しく動く物に虐められてる葉の音ボコッドサッと衝突音…かなり騒々しい「ぅわぁ…最前線って感じ、のんびりしてたらヤバイ?」
デューさんの声と体に触れる感覚で少しの間遠のいていた意識が戻ってきたえと、何してたんだっけ気持ち良いからこのまま寝てよかなですー状況をすっかり忘れて砂の感触に浸っているとすぐ近くを砂音と声が通り過ぎた「ジャーたーーーーんっ!無事ーーーっ?」ジャジャさんらしき何かのつぶれた様な声と同時に全部思い出し飛び起きる『ねえ、もし取り返せなかったら、誰か取り返しておくれね。』遠く聞こえた声に辺りを見渡すと海面にも砂浜にもいくつかの人影が見えた「デューさんありがとですーっえと、皆だいじょぶですー?これからどうするですー?」羽が濡れていないを確認してゆっくりと立ち上がる
蒼秦サンをつついてるデューさん、マジ和む。いやいや、海は今日も平和だな!『それに、ジャジャ氏も足は大丈夫なのかな?』痺れも痛みももう大分取れたし全然平気。…と答えようとした所で何か聞こえた。アクアの旗が1本取られたらしい。海に戻って行くデューさんを見送って数秒後に「うわぁ、マジやばいじゃンか!!」という事実を理解する俺の頭。「とにかくこれからどうしよ……」「ジャーたーーーーんっ!無事ーーーっ?」「ごぶぁッ!?」……俺は無事だったぞピカたん。今はちょっと無事じゃないけど。「あぁ、ピカたんもちゃんと無事みたいだな」よろよろ立ち上がりながらとりあえず安心。
ふと見ると、蒼秦サンが復活してた。いや、良かった良かった。このまま起きなかったら顔の上にヒトデを乗せようと思ってた所だ。声に出しては言わないけど。「えと、皆だいじょぶですー?これからどうするですー?」そう問いかけてきた蒼秦サンに「平気平気。死にかけるのが日常だからな」と、自分で言ってちょっと泣けた。…にしても、これからか。(個人的にはあの塔のてっぺんに滅茶苦茶乗りたい…)森の向こうに見える塔。アレを見てるとウズウズする。高い所はマジ魅力的だ。いや、さっき空飛んだばっかりなンだけどな。「とりあえず森の入り口まで様子見に行くか?」ココで罠張り活動でもいいけどな。
期待しながら見ていたフィレズさん。一瞬動きが止まったように見えたが、すぐさま浮上し期間説明を始める。やせ我慢がありありと見て取れたが少女が望むような慌てっぷりは視れずちょっと残念に思ってしまう。「……球体」説明された逸れは最初に見つけた白球。これを追えば迷わないらしい。「……わかった」少女についてくるという旨をきき、回れ右をするとバトンと化した旗を右手に確り持って水面を走り出した。「たぶん……浜辺近くで……何人か待ち伏せとか……してると思う……気をつけて」此処に来る前に行われていた、救出作業を思い出してフィレズさんに注意を促した。
風と共に広がる声がアクア側の旗を公国サイドの誰かが取った事を教えてくれた。でも、ちょっとオマチ?「旗の持ち手は現在、寒中遠泳中 って、この海の中をっ!?上歩いてるだけでも十二分に寒々とした潮風がやばいぐらいなのに……誰かしら?そんなビックリな事した子っ!!顔を拝んで……いたっ!?」寒そうに空中を飛ぶ色白な天使と無表情なまま海上を走る吸血鬼。種族や様子がまったく違う二人でも、旗を持って走ってくるという事は、ちゃんと協力行動をしてるんなと理解。
「いやぁっ!!種族を超えた協力関係って良いなっ!!おばさん、そういうの大好きっ!!」嬉々とした顔つきで、海上に木の葉をばら撒きながら、ひょいひょいと近づいていく。「やっほーっ!!旗を取ってこれたみたいねっ!!このまま、調子良く塔まで戻るのよっ!!って、……、体調は悪そうね?」おそらくは聞えてきた寒中水泳をしてきたと思われるフィレちゃんに薬を瓶ごと投げ渡す。「それじゃあ、おばちゃんは船へ遊びに行ってくるから、男の子なフィルちゃんは、ちゃんと可愛いアリスちゃんのナイトさんをするんだぞっ!!」そういって、スキップをするように先ほどまでよりも早い速度でアクアへと向かった。
こら、避けるな。後ろに下がる蒼雷麗を睨みつける。何かを狙っているのはわかる。そして捕まりたくないのもわかる。だがな、それはお前の事情だ。我には関係ない。だから逃げるんじゃない。そんな事を言いながらもずいっと前に踏み出すが、更に下がる蒼雷麗。・・・むぅ。イライラが溜まってきた感じだ。だが、突如後方で大きな物音。蒼雷麗の注意が僅かにそちらに逸れた。何だ?
だが、いずれにせよ此れは好機だ。ひょい、と地面に投げ捨てていた空瓶を棒で空中に弾き上げる。ブンッ!空中の瓶目掛けて振るわれた炎の棒は、空瓶を破片へと、・・・否。無数の硝子の礫へとその姿を変えさせた。当然、飛び行く先には蒼雷麗。避けるか如何かは関係ない。当たらなくても我が追撃するからだ。覚悟せよ。蒼雷麗。お前を捕まえる。間合いを一気に詰め、炎の棒を振るう。
説明した内容は伝わった様だアリスさんの話によると砂浜付近は今、とんでもない事らしい。「了解。注意する…よ?」走り始めた少女を見て呆然としてしまう。…兎に角速いのだ、この速さは尋常じゃない「…全速力でも追いつけるか…ちと心配…」と、呟きたかったが、あれやこれや言ってる間に置いてかれそうなので、少女の後を追う、全速力で。飛行していれば温まるだろうと思っていたが、そうもいかないらしい。
震えつつも飛行していると…目の前に人影葉っぱを散らしながら近づいてくる……紙吹雪?…いや…葉吹雪?とか考えていると瓶を投げ渡された中身を聞こうとすると、既にその場には居らず船めがけ歩いていった…海の上を…「飲み物…だよな?…飲むべきか?…貰ったんだから飲むべきだよな…」自問自答をした後、グイッと飲み干す「…脈が速まった気が…して…。あっ…あったけえ…」これで動き易くなったぞそういえば…渡された時に、『可愛いアリスちゃんのナイトをするんだぞ』とか言ってたな…「あなたのお陰で実行に移せますよ…」温まった体で、再び守護対象の少女の後を追う
――静かだ。「うそー・・・。防衛さん、追い掛けてこないのー・・・?」折角つるりん床を用意したのに、じゃなくて。自分が通って来た廊下を、寂しいとばかりに振り返ってみる。先程見た限りでは、外にも二人居たはず。あれだけバレバレの行動を取ったのですから、普通に見付かっていますよ ね?むむ・・。 私一人くらい捨て置いても平気な数が、塔内に控えているとか?そう思って探っても、『敵』らしき気配は見付からない。静かです。えぇ。とっても静かですよ。「ぇー・・・」見込み外れも良い所の事態にぷーーっと頬を膨らませて思案すること暫し。まぁ良いか、という結論に達した。
命の危険がある訳じゃなし、全員が彼女らに向かったとしても大丈夫でしょう。追って来ないなら好都合。私は私に出来る事をするまでです。そう。本陣に持ち帰らなければ、旗数は増えません。けれど――取られた旗数は減るのです。「最上階の旗は、好きそうな人が居ますから後回しにして・・・と。 もうひとつは塔内の小部屋に。 じゃあ、ここから行ってみましょうか!」バターン!勢い良く開かれた扉の奥に、御目当ての品は無い。此処はハズレ。それじゃあ、次はあっちですね。私がすべき事。旗の奪取を目指して。開け放した扉はそのままに、目に付く部屋に片っ端から向かいますよー。
ウィムさんにナデナデされてちょっとゴキゲンなワタシ。でも、尻尾にあるのは旗に見せかけた木の枝だけどねっ。わからないように、相変わらず先っちょの方は隠しつつ。ウィムさんの視線を追って塔の入り口を見やると、そこには何やら布のカタマリ………かたまり?いや、なんかもがいてる?一瞬思考が混乱しかけて、そういえば沙緒さんが目隠し仕掛けてくれたのだっけ、と思い出す。ってコトは。「わ、ウィムさん、突破するなら今のうちだよっ! このまま二本目の旗も奪取だ!」言うが早く、塔の入り口に向かって土を蹴る。上手く見張りのお二人の気を逸らせればイイんだけど…!
助けた(?)3人はどうやらみんな無事なようだ。安心した表情で浜辺を一度見やり、再び海へ目を向ける。旗を持った相手は飛べない以上必ず海を通ってくるはずだからと海上、海中ともにその存在を探す。『見つけた、きっとあれだ!』視線の先には、空を飛んでこちらに向かってくる人影と海面を走ってこちらへ向かってくる人影。旗を持っているのはルール上、海面を走っている方だ。『それじゃあ、頑張ってみようかな、キュイ!』全速力で向かってくる人影に向かって泳ぐ。相手の足も遅くないので距離はすぐに縮まった。旗を持っている(であろう)人影は、どうやら少女のようだ。見えないようにさっと深く潜る。
『旗かえしてー!!』少女の目の前でいきなり、巨大なシャチがブリーチング。水しぶきと共に、口に含んでいた海水を勢い良く吹きかける。夏ならきっと子どもが大喜びだ。夏なら。『ねえねえニンゲンさん、その旗返しておくれよ!ね、いいでしょう?』「お願い」しながら前と尾のひれをぱたぱたと動かす。そのたびに水しぶきが海面を踊る。こんなことで相手がおとなしく旗を差し出すわけは無いだろうが、当のシャチはとてもとても楽しそうだ。
海の道のりの4/1か5/1程度まで来た所で海中より猛スピードで迫ってくる魚影を目視確認。攻撃意思がある模様…「アリスさんのナイトとしての役目を果たす時!」と恥ずかしい言葉を叫びつつ少女の前に移動し防御体勢に移る…ビシャーーッ……は?…何?コレ…水鉄砲?水鉄砲喰らった天使は鳩が豆鉄砲喰らった様な顔をしつつ、水をかけた生物に視線を移す…途端に表情が柔らかくなる(…うわぁ、おっきな魚が嬉しそうにバシャバシャやってるー…なんかとっても…) …憎たらしい…にこやかな表情をした天使に小さい殺意が芽生えた…
ジャーたんの無事も確認出来て、体当りも出来て、上機嫌でにっこりと微笑む。蒼秦さんの方も気付いたみたいでホントに良かった♪この後どうするのかと問いかけられ、一瞬。ちょっと悩むが、わたしが答えるより先に、「とりあえず森の入り口まで様子見に行くか?」と、ジャーたんが提案してきた。森の入り口…ジャーたんのことだから塔に登るとか言い出すと思ってたから鳥渡意外。「塔に登らなくてもいいのー? …まぁ、どっちにしてもとりあえず移動だねっ!」
一瞬、罠の方に気を取られたほんの一瞬の隙。それを見逃してくれる筈もなく。迫り来るのは無数の硝子の礫。避けるには反応するのが遅過ぎた。咄嗟にとれたのは最低限の防御行動。姿勢を低くしつつ、腕で顔や胴を保護するだけ。そのため、頬や肩やなど露出していた部分は何ヵ所も、場所によっては服ごと皮膚を裂かれてしまう。でもそれを気にしている暇は無い。これは単なる目眩ましだから。そしてその予想通り、ルトさんは追撃を加えんと間を詰めて…
僅かな隙を突いての連続攻撃、お見事ですルトさん。ですけど、まだ素直に捕まって差し上げる訳には参りません。正念場大きく息を吸う。息は胆で気に変え、全身に巡らせる。更に両手首を軽く振り、指先より伸ばした水糸を手に巻き付ける。「発っ!!」そして発声と同時、迫り来る八角棒に拳も以て打ち合いにいく。勿論、体格差、そこから来る膂力の差はあるのは分かってる。でも練気によって一瞬だけならその差を埋める事は出来る筈。─ズンッ棒と拳がぶつかり合う瞬間、鈍重な衝撃が全身を駆け巡る。痛いけど、何か心地良い。
ガツゥン。棒と拳のぶつかり合った衝撃が脳天まで走る。じん、と重い痺れ。心地よい感覚。だが、余韻に浸る間は無かった。蒼雷麗が攻撃してきたから? 否。我の得物の八角棒が火の粉を上げながら崩れ落ちたからだ。燃える薪が脆い様に、炎で燃やされた八角棒に先ほどの衝撃は少々荷が重かったらしい。もっと高温で熱したら炭みたいに硬くなったんだろうか?今度試してみようと思う。・・・はっ!?其れどころでは無かった。拙い。燃える。崩れ落ちた八角棒は地面に落ちて未だに燃えている。むしろ既に薪。中空なら兎も角、地面に落とすのは流石に拙い。バサリと上着を脱ぎ、棒の上に被せ・・・踏む踏む踏む。
・・・消火終了。一寸息が切れる。我の目に映るはくっきりと靴跡の形に泥の付きまくった上着。きっと逆面は灰だの何だので真っ黒だ。元々黒いがな。・・・寒い。さて、如何するか?改めて蒼雷麗を見る。喧嘩祭りの要素を意識したこの祭り、だが・・・服を切ったのは悪かった。すまぬ。謝ろう。うむ。・・・その、何だ。落ちてる我の服ならつこうて良いぞ?・・・あぁ、睨むな。冗談だ。さて、続けるか?我は結構すっきりしたんだが。重心を軽く落とし、拳を握り、問う。
このガキんちょどもは目の前でうごうごされたら嫌でも目につくってのに見えてないつもりなのだろうか…上から降ってきた布に火を吹きかけ燃やしつつ何やらコントのように踏んだり踏まれたりしてる様を見ていると上を跳ぶ何かと今のうちですとの声が聞こえた「あぁん?今の内じゃねぇんだよ布なんぞで俺様を出し抜けると思ってんのかぁ?甘いぜガキどもー!!」
どっせいとの掛け声とともに旗を取り飛び出そうとする獣耳の少女の足を掴むと落とし穴の前に居る獣と少女に向かって思い切り投げつけた「あ、今投げたの旗持ってた…待てー!旗返せー!!」自分で投げたくせに追いかけるこの男かなりマヌケなようだ
「では、旗を目指してGoです」そう言われ、ヴェルサイユさんと共に船に乗り込む。おそらく急いで来てくれたのだろう横目で彼女を眺めると、頬にうっすらと輝く筋が見えた。(あれ? 随分と海面を気にしているようだけど… 海に落ちないかと思って不安なのかな…?)『…では姫君、旗までのエスコートは、安心して俺に任せを!』海への関心を逸らす為、穏やか且つ心持ち大きな声で語り掛ける。『それでは早速…』突然の振動で慌てさせない様に、海への恐怖感を沸き上がらせない様に、男は左腕で彼女を抱きながら、右腕で魔力を練り―『旗盗りデートといきましょうか!』砂浜に向けて、突風を放った―
少女達が移動を開始して直ぐ、見知った顔が遣ってきた。しこめさんだ。葉を舞い散らせ、何か喜びながらフィレズさんに便を渡し、そのまますれ違ってアクア側の自陣を目指していった。「……ナイト?」何か言っていたが良く聞えなかったらしい。更に走る事数分。フィレズさんは渡された瓶の中身を飲み干していた。薬かお酒か謎の液体か、見る見る顔色が良くなり飛行速度が増していく。その時、前方より何か巨大な物が海中より高速で接近してくる。『旗かえしてー!!』脳に直接語りかけられる言葉と共に水中から現れた巨体は、口から勢い良く水を吐き出した。
「…!」反射的に急制動を掛け横に跳ぼうとした時……『アリスさんのナイトとしての役目を果たす時!』と謎の台詞と共に少女と巨体の間に割って入ったフィレズさん目掛け、大量の水が襲い掛かった。『ねえねえニンゲンさん、その旗返しておくれよ!ね、いいでしょう?』その張本人と言えば、前ヒレでバシャバシャと水をフィレズさんに掛けながら旗を催促している。「……残念だけど…ここにはいない……人間なんて」無事だった少女は無表情で巨体を見ている。どうやら正体はさっきの哺乳類…海豚目鯱科の鯱の様だ。「それに……これも……渡すわけには……いかないんだ」明確な拒否の意思を伝えた。
即興の叫びの後、甲板で暫し咳き込む。――― さておき。御旗は遥か彼方の海の上。手を伸ばすには遠すぎる…攻め手の誰かに托す他ない。或いは翼ある人に。一応、風精らの働きに期待するとしよう。……気紛れなのが微妙だが。あとやるべき事はと考えて、手持ちで洒落で済みそうな術は何かあったかとぼんやりと思案しながら宙に方陣を描き出そうと…「……おや、お戻りかな?」
ヒトの気配に振り返り、眼前で旗を取られた割には暢気に魔術師は声を掛ける。「残るは船内の何処かと、 船首の人魚像だけな訳だけれど……良案はないかな?」船内から階段を上がってくる姿が見えた。――― 同時に潮に混じって仄かに漂う酒の香り。「……一人で愉しんで来たのかね? 私も誘ってくれれば良いものを……全くつれないな。」魔術師は何やら羨ましそうに呟いた。
森に向かって走り出したつもり、だったのに。いつの間にか足を捕まれて宙ぶらりん。旗、取られる!取られるまいと抱える腕に力を込めぎゅうと目をつぶると妙な浮遊感が全身を襲う「え、う、わぁーーー?!」飛んでる。跳ぶ、じゃなくて飛んでるー!目の前には前に向かってきてるアグロンさんと、穴から出てきたウィムさん。ぶ、ぶつかって、たまるか…!
宙で身を丸め、ぐるっと一回転。「うっ、ぎゃ!」着地に少し失敗、地面の上でも、二回転。う、うぉぉ…、気持ち悪…!で、でも旗は持ったまんま。ならやっぱり…「待たな、いー!」身を屈めてまだ開かれていない藪の中に頭から突っ込んでいく。障害物が多く、視界の狭い森の中なら、身の小さなこちらが有利…な筈。なら後は、木の間を抜けるように、とにかく走る、走るー!
ガキ!?ガキって誰の事!?私は20才も超えて立派に大人なんですから!とか頭の中で言いながら口をパクパクツボな攻撃に頭が対応できなかったらしい…「ひどーい…っていうか、アグロンさんバレてたよぅ!?」その辺に落ちてた木の棒をダミーにっというのはバレちゃってて…更にはガキとか言ってくれちゃうちょっとむっっとしてすこーし冷静になれた気が…
布は焼かれ…ボロボロと墨屑が落ちる紗緒さんは足を掴まれこちらへ放り投げられ、危ないっと思った所をくるっと回転して私達を飛び越えた所で着地した「ぉ〜」(パチパチ拍手した所で勢い余ってゴロゴロ…っと思わず拍手を止め、見守る思い出したように赤い人が言う「待てー!旗返せー!!」「待たな、いー!」紗緒さんが旗を手に走り出すそして、赤い人が追いかけ…っていや…素通りはいくらなんでも?私もただ突っ立てちゃダメでしょ?引っ掛けて転ばそうと良いタイミングでちょいっと足を出す
階段を上がりきった先に先ほどもいた女性の姿…空に何かやっていた様だが…何をしようとしてるのだろうと思ってた所で声をかけられる。『残るは船内の何処かと、 船首の人魚像だけな訳だけれど……良案はないかな?』「船内というか船倉にあるみたいだねェ…見つけにくい奥らしいから入り口付近で張ればいいかなァと思って出てきたんだが…二本で2人…かたよる訳にもいかんしなァ…」いい手ねェ…と考えてたら…『……一人で愉しんで…』呟く声が部分的に聞こえる…おや…しまった…しかしイケる口なのか…ふふ…呑み合う仲間が出来そうなのも嬉しいねェ
「いや…それで監視員に怒られた所さ…祝勝会か慰労会になるかわからんがそれ用のなのにってなァ…これが終わったら存分に楽しもうや…なァ」ふと海の方を見る…第二陣はどんなタイプだろうか…すぐ見える旗は間違いなく人魚像の方。探さなければいけない旗より正面にわかりやすくある旗に来るのが普通だろう…どうやら彼女は白兵戦向きでは無いようだ…そういうタイプが来るならば防御してる場所を変わって出るのも手だが…さて…どういう方がこられるかな…
砂浜を超え、青く広がる海の上へ飛んでいく。季節が夏ならば、水面ギリギリを飛ぶのも良いかもしれないが。「冬の海はさすがに堪えるな」その時、端目に勢い良く飛び出していく船が映る。「あれは…グリムロック殿にヴェルサイユ嬢か」本陣に居る守備の数の詳細が分からぬが、二方向から攻めれば隙は必ず出来るはず。「機は逃せんな…後は、自陣の仲間達を信じるのみだ」ぐん、と速度を上げ目指すはアクアマイト本陣。
キラキラと光を反射して輝く海はとっても綺麗でいいなぁ…久し振りの海だ…はっ…しまった…つい久し振りの海に心をもってかれた…『…では姫君、旗までのエスコートは、安心して俺に任せを!それでは早速…』「姫って柄じゃないで…す?!」急に回された左腕にちょっと驚いたのも束の間…『旗盗りデートといきましょうか!』高らかに言われた言葉と共に、突風が船体を持ち上げて疾走し出す。
「わぁお!」船首を軽く浮き立たせて海面を走るように滑っていく船に思わず歓声を上げる。こ、これはちょっと面白いぞ!!わくわくした気持ちでふと横を見るとプロシオンさんが飛んでいる姿を発見。さて…あとはアクアの船にどうやって乗り込んで、船首の旗を奪取するか…だなぁ…。
遅れて登場!じゃじゃじゃじゃーん!だ!ち、遅刻じゃないぞ!ちゃんと理由があるんだぞ!旗のある部屋に続く通路。通せんぼするようにテーブル、椅子を置いて。白い布を乗せて。一輪挿しの花瓶と、クッキーと、ティーセット。場に不釣合いな品をどんどん並べてく。そういやハロウィンパーティーでもこんな事をした。………俺、戦士のはず。いや!フルフル、と首を振り。『取り敢えず馴れ合いなさい。和ませて、相手の覇気を削ぐのです。』それが俺に課せられた使命。これも、戦いだ!どきどきなんだぞ!!お茶の淹れ方。さっきまで練習してた。完璧になったんだ。だから早く誰か来い。
盛大に引っ掛けた水は空を飛んでいた男性が割り込み受け止めたた。目の前の女性を守ったらしい。わあ、と目を丸くして男性を見、『すごいね、お姫様を守る王子様みたいだね!かっこいい!』頭を小さく上下に振りながらそう言った。そんなやり取りをしていると、少女の方が呟いた。「……残念だけど…ここにはいない……人間なんて」『あぁ、ニンゲンさんじゃあなかったんだね。ニンゲンさんもそれにそっくりな種族もみんな同じに見えてしまうからわからなかったんだ、ごめんよ。あ、もしかして君もニンゲンさんじゃあないのかな?よく見たら羽がはえているものね。』間違っていたらしいので素直に謝っておく。
しかし、どうやら相手は旗を返す気は無いらしい。言葉だけで返してくれるとは思っていなかったが。『やっぱり駄目か、仕方ないね、ギギギギギwそれじゃあ頑張って取り返させてもらおうかな!』旗を持った少女とその少女を守る男性の行く手をさえぎるようなかたちで対峙する。どこに動いても反応できるように気をつけながら。『旗を返してくれなくっちゃあ、君たちはここで通せんぼだよ!』
「塔に登らなくてもいいのー? …まぁ、どっちにしてもとりあえず移動だねっ!」俺はバッとピカたんに向き直った。「マジ行っていいのか!?」もの凄く目が輝いてる気がする。「あー…でも駄目だ!」(俺より強いかもしれないとは言え)女の子2人置き去りにして1人で塔に走って行くなんて俺には出来ない!!…と思いつつ走りそうになるのを、頭を抱えて必死に抑制。「森の入り口だ、入り口までな!」海でも旗の攻防戦が始まってるし。そう遠くへは行かない方がいいかもしれないよな!女の子2人を置き去りにして俺は森の入り口に向かった。いや、このくらいの距離なら置き去りにしてもいいだろ!?
森の中や森の向こうからは色んな音や声が聞こえた。どうすっかなぁー…。個人的にはあの塔のてっぺん…以下略だ。とりあえず。俺は一番近くにあった木によじ登る。その木のてっぺんまで登って森の上に顔を出す。嗚呼、憧れの塔がマジ良く見える…って違う!「塔に行くなら森の中を歩いて行くより森の上を飛んで行った方が良さそうだな」木の上を飛び移って移動するくらい楽勝だしな。「罠を張るなら歩く方がいいか」空中に罠は…少なくとも俺には無理だし。「ま、何でもいいか!旗が増やせれば!」結局こういう結論。だって色々考えるとマジ頭痛くなるんだよなぁ…。
「とりあえず森の入り口まで様子見に行くか?」「塔に登らなくてもいいのー? …まぁ、どっちにしてもとりあえず移動だねっ!」 相談しているジャジャさんとピカロさんに声をかける「ちょっといたずら思いついたから先に行っててもらってよいですー?後から追いかけるですーv」答えを聞かないまま両手を斜め上に向かって伸ばした広げた手の周りに透明な玉がいくつも出現する自分が唯一使える魔法、飴の生成召喚おやつにも攻撃へのけん制用にもなる便利な魔法だが近距離で少量ずつしか生成できないのが難点だったりする
今回は食べるわけではないので無色透明な水飴を生成した両手を大きく振ってそれを砂浜にできだけ広く飛び散らせる「水飴だから上歩くとべたべたとお砂がいっぱいついて歩き難くなるですーお水ですぐ取れるから良いよね?」自分の位置から海沿いに二、三メートル位の幅できらめく物が見えるのを確認するとふわりと浮き上がり木の上にいるジャジャさんと塔を眺めてから、まだ近くに居るピカロさんに楽しげに話し掛けた「森は地面が見えないから木の上飛んでも怖くないのですー一気に塔まで行っちゃうですー?」
「……さて」 そう、小さく呟いて。 塔に進入したのは、今のところ一人。 追いかけても良かったが、それよりは塔の内部の人間に任せようと見逃した。 塔の内部に誰か残っていたかどうかは覚えていなかったが。「ゲームは、楽しみませんとね」 楽しそうに微笑んで、双月は緋炎が走っていった方向に目をやる。 付近には四人。内、三人はアクアマイト勢。 四つ足の獣と、猫耳と、猫耳。 特に猫っぽい――恐らくはワーキャットであろう少女が旗を持ち、藪の中へと逃げていく。 その状況になり、ようやく、双月は動く。 腰に小剣を、肩に大剣を差して。両方とも、木製ではあったが。
双月は跳躍し、手近な木の枝の上に降り立った。「緋炎殿、そちらのお二方のお相手はお任せ致しますね。私は旗を追いかけますゆえ」 もう一人の猫耳とすれ違おうとしていた緋炎にそう言い、枝から枝へ、軽々と飛び移っていく。 がさがさとゆれる藪を、木の上から目で追いかけ。「……曲がりなりにも森の民である私にとって、此処は庭と同義。逃がしは致しませんよ」 いつまでも藪の中を走る事は無いだろうと踏んだ双月は、狙いを藪の出口へと定めた。 砂浜までは行かせない。 そう心に決めて、ワーキャットの少女が藪を飛び出すのを待つ。
「戦うか…走り去るか…」目の前で戦闘意識を剥き出しにした…シャチ…を見つつ思考する「走り去った方がいい気がするなぁ…アリスさん、行くよ!」後ろを振り向き、そう言うと一緒に走りだす…俺は飛行だけどね…シャチを跨ぎいくらか移動したところで後ろを向く…《天光の如き光を…》そう詠唱する。光が収束し…光球が出来…ない。…収束し終えると光は消えた。掌をシャチの目の前に掲げると続きの詠唱を開始する…《天光よ…我が掌より閃け!》一瞬、手のひらから閃光がほとばしる「これで暫くは視覚麻痺だな…」そう呟くと少女の後を追う…(長く持たないが、砂浜に上がれば大丈夫だろ…)
「バレてたよぅ!?」ウィムさんの声に、はたと我に返る。えぇぇと確か、紗緒さんがこっちに投げられて、びっくりして硬直して…?じゃなくて、その前に旗誤魔化そうとしてたんだっけ?「ッて、バレてた? あ、ヤッパリ?」尻尾で絡めてた木の枝をぽぉんと放り出し、炎のおひとに向き直る。ガキ呼ばわりされて、黙ってるワケにもいかないねぇ。紗緒さんのためにも、意地でも足止めしないと。「ぐるる…」身体を低く、前足で土を掻き。「…がァッ!」ウィムさんの横を擦り抜けて、炎のおひと目掛けて突進する。足払いと体当たり。さすがに両方は避けられない…はず。どっちかは当たって…ッ!
自分で投げたくせに旗を持った猫を追いかけようとするとくるりと回転し上手く、とも言えないがくるくる回転するとしっかりと着地をした「うーん、10点!」敵ながら天晴れなどと言いながら落とし穴の前に居た二人を追い越そうともう一歩を踏み出すと木の上から双月の声が『そちらのお二方のお相手はお任せ致しますね。』「おっしゃー!任せとけーぶべしっ」上を見ながら手を振ると追い過ごそうとした少女の足に足をつまずかせ顔面から思い切りよく地面にダイブしたなんてお約束な…
「痛いっ!これは痛い!ちょっ、お前これ俺様が鼻が低い人だったからよかったけどもしこれで鼻が高い美男子だったら鼻血もんだぜ?!」痛さのせいか地面に転がりつつわけのわからないことを口走る本人の言うとおり鼻は無事らしいが、額は真っ赤になっていた「イタター結構ハードなゲームだよなこれって…」額を擦りつつ目の前の二人を見てしばし考える「そういや、交流会だってのに自己紹介してなかったな俺はエルフィネスの緋炎だよろしくなー」にへらっと微笑み手を振るも頭の中ではこの後どうやって旗を守るか思案する
普段まったく動かす事をしない四肢を酷使する事数分間、小指程度の大きさでしかなかった船が目の前にそびえ立つようにうかんでいる。かすかに聞えてくる声をもとに何か情報が得られないかなと考えたりもするが、わずかに漂ってきた酒の匂いで作戦をあっさりと変える。どうせ無駄に派手に海を渡ってきたんだから、向こうも気がついてるでしょうっ!!そう開き直ると、疲れてきた足に鞭を入れて、看板まで飛び移る。「はいっと、お薬屋さんですっ!!家庭用置き薬を持ってきました、判子下さいっ!!」そして、出来うる限りの営業スマイルと自分の姿を利用した作戦に出てみる。
「それは愉しみだね……実に。」終ったら存分に…というその言葉に魔術師はかすかに微笑む。……術の詠唱を再開。心なしか陽気な様子。その手にはいつの間にかモップのようなもの。否、モップを何処からか≪転送≫してきたらしい。更に詠唱が二重に続き。ヒトの手によらず、モップが独りでに船縁を疾駆する。瞬く間に一周し、更には女神像を磨きだした。……横着者御用達の、≪掃除≫の術の応用。それに併用して、掃除箇所を条件に起動させた≪すべすべ≫の術。本来は肌を艶やかにする由緒正しき魔術。しかし、今回は本来の用途ではない。
……これで船縁は「つやつや」不用意に手をかけ、足を乗せればつるりと滑る事だろう。旗を抱えた女神像も同様。まあ、飛び越えられると全く無意味なのだが……。更に追加の詠唱で、もう一仕掛け。像の前、船首近辺の海水を紅く染める。……≪赤い絵の具≫此方もまた非実用的な色付けの術の派生。海水に色がつくだけで、特に何もないのだが……相手が警戒して迂回すれば御の字。いわゆる『ブラフ』の一環。…と、不意に甲板へ来客が。「御機嫌よう……咳止めなどをお持ちかな?」魔術師は平然とそう一言呟いて、暫し咳き込んだ。
「はっ、はっ、は、はぁっ…!」走る。走る。行く手遮る葉枝を押しのけ兎に角、走る。前に進みながら、考える。さっきの真っ赤なおにいさんは、口から火を吹いて目隠しを払って除けた。とてもじゃないけど人間業じゃあ、ない。火の精霊か、竜の血を引く、眷族か。どちらにせよもう一人の、大柄な女性でなければいいと切に願う。あの人は、まずい。体格は元より、彼女は闇エルフ、だった。エルフは森の民。木々の声を聞き、自然と共にある者。自分にも半分とはいえ、彼女達と同じ血が流れてはいるがそれでもここは、あの人達の領地内。敵わない、かも、しれない。
不安が頭を巡る。「追っかけてきてるのが、あのおにいさんなら… それに、森を、抜ければ…なんとか、なるかも…!」ザンッと全身を叩きつけるように藪から飛び出す。目の前に、居たのは「う、うそぉぉぉ、ん…!」今一番会いたくなかった女性が、そこに居た。まずい。まずい、まずい…!どうしよう。旗。お願いしますって、言われた、のに。そうだ、頑張るって決めた。だから。「旗、あげま、せん!」大きく叫んで、唯一持っていた旗を広げ、視界を遮るように大きく振る。気休めにもならない先行。でも、何もやらないよりはきっとマシ―!
(ヴェルサイユさん、大丈夫かな…?)衝撃も収まり、意識を船の運転から腕の中の彼女に移す。すると…男の予想に反して、彼女は視線を船の外に向けながらときおり歓声を上げているのに気付いた。海面を気にしていたのは不安からでは無く、期待からだったらしい。(む…格好の悪い勘違いをしていたなぁ… とは言え、こんな笑顔を見られるなんて…これは嬉しい誤算だね)気を削がない様、彼女からそっと手を離し、周囲を見渡す。辺りには、空を飛んでいるプロシオンさん、大きな鯱と睨めっこしているアリスさんとフィレズさん…そして、アクア側の本陣であろう巨大な船が見えた。
(お…船首の人魚像の所に旗があるみたいだ。 けど、あの周辺の海が真っ赤じゃないか! あれだと弓矢で射落としても近付けなさそうだし…よし!)『ヴェルサイユさん、俺達はあの船首にある旗を奪いましょう。 船首周辺の海が真っ赤ですから、甲板経由で行きましょうか!』そう伝え、魔力を調整しながら、小舟を巨船の横に着けた。
通せん坊をするシャチを尻目に、フィレズさんの合図で一気に走り出す。左右に迂回しても直ぐに遮られるだろうから、残るは上のみ。登場した時の様なジャンプで防がれれば隙を突き下を抜けるまでだ。ジャンプをするにしても一度潜水しなければ飛距離は稼げないはず……だったら、それより上を行けばいい。ぐっと沈み込み、足のバネを利用して跳躍。勢いを付けすぎてフィレズさんより上に行ってしまったがすぐさま着水して走り出した。三十六計逃げるが勝ちだ。その間にフィレズさんがシャチに目晦ましをして少女の後を追いかけてきた。
確か超音波か何かを出して障害物や獲物を察知するとか聞いたことがあるので通用するかどうかは解らないが、しないよりかはマシだろう。そう言えばシャチは「クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科シャチ属シャチ」だかなんだかという事を今更ながら思い出す。さっきの見解は訂正しなければならないようだ。などと考えていたらグリムさんとヴェルサイユさんを乗せた小船が横を通り過ぎていった。彼らに残りの旗奪取をたくし、砂浜目指して海上を駆け抜ける。もしかしたら、砂浜に居た人たちは森に入ったかもしれない。
焼け崩れた八角棒。そのまま地に落ちる火。「あっ…」地面に着火。それを必死になって消そうとするルトさん。その程度の火でしたら、私が水で…とは言うに言えず。でも、ルトさんの頑張りと服の犠牲の甲斐があって無事鎮火。「へ?…服ですか?」突然謝られた事に驚きつつ、改めて確認。ただ、脇腹や太股などの数ヵ所が軽く切れているだけで問題はなさそう。元々、動き易さを重視して服の生地を選んだ訳だし、この程度は予想範囲内。「ふふっ、全然大丈夫です」そして、その後のルトさんの続けるかという問い掛け。私は少し考え、首を横に振った。
「…止めておきましょう。このまま続けたら私は多分旗の事を忘れてしまいますから。」事実先程の打ち合いの瞬間、私の頭の中は旗の事なんか完全に消えていたし。どうも、強い相手と戦うと、こう…それで頭が一杯になるのが私の悪いところ。一呼吸、その後少し悩み…「ここはお通しします。 糸遊びだけのつもりが、拳を出してしまいましたから。 元々、私の挑発が原因ですし。」やや苦笑を浮かべながら、どうぞ、と塔への道を空ける。
ふと、視線を上げた先にオルカさんの姿を発見。「あ、オルカさぁ〜ん…」手を振るも、高速で走る船の上……見えてたかは定かではない…。ふと視界が真っ赤になる。ぎょっとして海を見ると、真っ赤になった海面が――。「…あ、赤潮発生中…??」の割には赤すぎるような…気もするが…。『船首周辺の海が真っ赤ですから、甲板経由で行きましょうか!』「そうですね…どうやって登ろう…んー…」
船に梯子など掛かってるわけもなく、どうやったあの高さまで登ろう…。「…そうだ!」くるりと振り返ると、グリムさんの持ってた弓矢を一本手に取る。「これ、いただきます」そう言って、思いっきり船の側面に向かって思いっきり投げつけた。弓矢は真っ直ぐに飛び側面にカッと音をたてて突き刺さった。軽く屈伸してから、思いっきり跳躍をし、弓矢を中継にして更に飛び上がり縁に飛び移る。跳躍した直後に、弓矢は過負荷に耐えきれずポキッと音をたてて折れた。「…っしゃ、後は女神像まで…って、ぅきゃぁ?!」かけられた魔法に足を取られ、そして豪快に顔面から甲板へ突っ込んだ。
彼女…白灼氏…の罠作りを感心しながら見る「見事にピカピカだねェ…アタシの部屋もやって欲しいぐらいだね…あ…でも畳の場合はちゃんとそれ用の掃除道具なんだろうか…」そんな所に元気の良い薬屋の声が飛び込んで来た船の置き薬屋とは確かにありそうな職業だ白灼氏と薬屋の会話をしているのを眺めているとその視線の先に小船が見えた上がって来る前に…そう思っていたのに相手の行動のが早かった弓矢が甲板に突き刺さったと思ったら元気良く少女が乗り込み…滑った「おやまァ…お嬢さん大丈夫かィ?」翼を出し魔法のかかってない場所まで救助するまァ…もちろん旗から遠ざける意味もあるのだけれど
「ギィッ!!」目の前で白い光がほとばしる。突き刺さるようなその光に思わず目を瞑った瞬間、対峙していた二人が自分をすり抜けていく。このまま逃げるつもりらしい、が。『目が見えないくらい、ぜんぜんハンデにはならないよ!』目を閉じたまま、それでもしっかりと目標に向かってまっすぐ泳ぐ。そして前を走る少女のスカートの裾をぱくりと咥えた。『それにしてもすごいジャンプ力だねえ。それに目があけられないのはとってもつらいよ。君たちつよいんだね。いやあ、これが戦争じゃあなくて本当によかったよ、ギギギ』楽しそうに笑ってから、少女が沈まない程度に体を海中に沈め後ろ向きに泳ぎだした。
「わ〜いv」見事に足に掛かってすっ転んでくれた赤い人思わず手を叩いて喜ぶ入り口に立っていたもう一人は上を飛ぶように抜けて行く…何やら相談する余裕さえあったたり…沙緒さん大丈夫かなぁ?助けに向かった方が良いだろか?迷う…枝から枝へ飛び移りながら進む影を見送りつつ…私も出来そうだけど早いな…沙緒さん頑張れっ(ぐっとか考えてると転げた赤い人が鼻がどうとか言いだすしゃがみ込んで見ると確かに鼻は無事「ぷっ本当だvおでこが赤い」(クスクスっと、いけない私がやったんだっけ笑うの、が…我慢
手を振りながら赤い人が名乗る緋炎さん…これからは赤い人じゃなく緋炎さんと呼べますねvにっこり笑うとこちらも「アクアにいるウィムと申しますよvよろしくですよぅ」トカゲ尾尻をパタタっとさせつつ同じ様に手を振る「確かにハードかもですねぇ…でも楽しいです♪おでこ大丈夫ですか?…ぁ、それからガキじゃないですっ」言いつつ考える…旗は後2本塔に…ちらっと緋炎さんを見て、どうせなら派手に落とし穴にすっ転んでくれたら楽だったのになぁ…突き落としてみる?とか考える空振りしちゃったアグロンさん撫でつつ
シャチから逃走していると、いきなり目の前の少女の姿が消える「なに?!なにが起こった!?……………シャチぃ!!」後ろを見た瞬間ズルズルとシャチに引かれている少女を発見した。この時、なにかひらめいたらしい。とっさに少女のもとへ移動し服の端をくわえているシャチの口を全力でこじ開ける。「うっ…以外開かねぇ…ふぎいぃぃ!」ちょっと開いた口の隙間から服を抜くとシャチの背ビレを掴む「ちぃっとの間は空中に居ても平気か?シャーチーさん」ケケケと笑うと背ビレを掴んだ状態から遠心力を利用しぐるぐると回転させる。
その後はハンマー投げの要領でシャチをアクア本陣側へ投げ飛ばす「はぁ…はぁ…はぁー…どうだ…これなら…距離での…ハンデが…出来たぞ…」シャチは海面ギリギリを吹っ飛んでいった。暫く飛んだところで着水した。(くそっ…もっと上に飛ばしたかったが、体力的に無理があったか…)「アリスさん、大丈夫ですか?…早く、帰還するためにも全速力でお願いしますね。」天使の体力はそう長く持ちそうにない…
「マジ行っていいのか!?」と目を輝かせるジャーたん。ホントに高いトコが好きなんだねーっ。そんなに嬉しそうな顔をされたら、思わず連れて行ってあげたくなっちゃうよ。何故かダメだという結論に達したみたいだけど…如何してだろう?不思議に思いながらも、森の入り口へと移動するジャーたんの後を追おうとすると…「ちょっといたずら思いついたから先に行っててもらってよいですー?後から追いかけるですーv」蒼秦さんが何か良いことを思いついたみたいだ。ジャーたんの後を追うことも忘れて興味津々で眺めていると…無色透明の玉がいくつも出現した。
「へぇー。そんなことも出来るんだねーっ」飴。美味しそーだなーとか思いつつ思わず拍手。蒼秦さんが何をするのかも見届けたし、わたしはジャーたんの後を…そう思って走り出そうとすると、蒼秦さんに話しかけられた。「森は地面が見えないから木の上飛んでも怖くないのですー一気に塔まで行っちゃうですー?」「んー。 確かにそれは楽そうだけど…」ちらっとジャーたんの方を見て、「ジャーたーーーんっ! わたしと蒼秦さんは飛んで塔まで行こーかと思うんだけど、 ジャーたんはどーするー?」大きな声で話しかけながら、ジャーたんが登っている木の方へ歩み寄った。
――――がくんっ!……ずず……ずずず……突然何に捉まれる衝撃と共に後に引かれて行く少女。チラッと後を視れば先ほどのシャチがスカート裾を引っ張りながら後退泳ぎをしている。「やっぱり……追い付かれた」いっその事スカート脱いでしまおうとか思ったが知人達に散々注意されている手前脱ぐ事は出来ない。武力行使はルール上禁止されているので攻撃も駄目だ。ズルズル引き摺られながら考えていたら、不意に訪れた浮遊感。よろめきつつ振り返ってみればフィレズさんがシャチを投げ飛ばしていた。
『アリスさん、大丈夫ですか?…早く、帰還するためにも全速力でお願いしますね。』ぜぇぜぇと肩で息をして辛そうなフィレズさんからの全速力のリクエスト。「……わかった」頷きつつ旗を持っていない方の手でフィレズさんの腕を掴む。「じゃあ………飛ばすから……抜いた方がいい……力」返事を待たず、ぐぐっと足に力を込めると今までよりも早く走り出す。フィレズさんを置いてきぼりにする事が無い今、遠慮という物のが一切無い。程なくして砂浜が見えてきた。
ふむ。そうか。あっさりと引き下がられると実は少し寂しい。我は我侭なんだよ。握った拳を開き、手をひらひらさせる。煙草を吸う為に懐をさぐろうとして、上着はぽいした事を思い出す。薄い黒のシャツ一枚は寒い。くそう。寒い季節だ。だが、蒼雷麗が怒って無くてほっとした。ぐしゃぐしゃになった上着を拾い、煙草を取り出して口に咥える。んむ、通してもらうぞ。すまんな。蒼雷麗はこの後如何するんだ?
(見事なものだなぁ…)あっさりと登って行ったヴェルサイユさんを眺め、男は感心する。あの身軽さなら、簡単に旗を奪えるだろう…そう考えている所へ「ぅきゃあ?!」という悲鳴と、鈍い音がほぼ同時に響いた。(! 一体何が…? …とにかく、あちら側から急いで乗り込もう!)両手で魔力を練り、突風を放ち、その反動で飛び上がる。左後ろを見ると、倒れているヴェルサイユさんとそれを介抱している女性の姿があった。(あの女性は…もしかして…って、うわっ!?)2人に気を取られていた男は、船縁に勢い良く着地後、見事に滑り…別の2人―しこめさんと、魔術師に向かって突っ込んでいった―
「うぁっと…油断も隙もありゃしねぇなぁーいいね、格好いいじゃん」風が通る音が聞こえたどうやら大きな獣が自分に飛び掛ってきていたようだった転んだお陰で避けられたらしい「ん、ウィムさんかよろしくなーははは、俺様こう見えてもかなり年くった爺さんだからな周りみんなガキに見えちまうんだ気に触ってたなら悪かったな」ずれたメガネを直しコートについた埃を払いつつ笑みを絶やさないまま応える額はまだ赤いままだ「さて、まぁたどんどん人が増えてきそうだなあんた等もまだ旗狙ってるわけだし…まだまだ妨害させてもらうぜー」にっと笑うとコートを翻し塔の入り口の前に立った
「あらあら、風邪ですかね?」月夜の似合いそうな雰囲気を漂わせた子がせきをしながら、こちらに話し掛けてくる。何故か船舶のお掃除をしたかと思うと、海に色をつけたりと忙しい子だ。(罠作りだとは露とも思わず……(何))「冬の風邪は長引くと大変よ?それに海の上は冷えるわねぇ……」首を傾げて、ついでに、作戦を実行に移す良いタイミングだと考える。「ほらほら、お嬢ちゃんっ!!こんな甲板に居たら体調も悪くなるから、どこか暖かい所にでも行きましょうねっ!!ホットレモンでも作ったげますっ!!」とてとてっと何の警戒もなく近づくと、何の遠慮もなく灼ちゃんの手を取る。
ただし、その微笑みは、優しいおばちゃんというよりも、どちらかというと、悪戯好きのおばちゃんのものになっていた。「ぁ、ちなみに、おばちゃんは、しこめっていう名前の、ごくごく普通な何の怪しさもないお薬屋さんだぞっ!!」そういって、くすりっと笑い、そのまま船の中へ手を引いて入っていく。その後ろに元気にグリちゃんが滑り込んできてるとは思いもせずに……
「ジャーたーーーんっ! わたしと蒼秦さんは飛んで塔まで行こーかと思うんだけど、 ジャーたんはどーするー?」飛ぶ…か。いいなぁ。有翼種…。俺も飛びたい。マジ飛びたい。ってそうじゃねぇって!…そうだな。一緒に木の上移動して塔に行こ… …か?何気なく振り返ると。海が良く見えた。その海でデューさんがちょっと投げられてる。「えぇ…!?え、…えぇぇえぇッ!?」な、マジ何だコレ、白昼夢!?「マジす、すげぇ…」開いた口が塞がらない。そんな状態でいたら森のドコかから声が。『旗………せん!』どうやら近くに旗があるらしいな。海の方からも1本こっちに来てるし。
「俺は2人よりゆっくり塔に行ってみる」森の中の方も、海から来てる方も気になる。「いいか!飛べない俺が言うンだ!飛べるのはスゴイ!早い!便利!羨ましい!有効活用しろよ!」最後の方、ちょっと涙声になった。そこまで飛べるのが羨ましいか、俺。と自己ツッコミ。ぐす、と言いながら森に入る。(…あ、でもやっぱ1人って結構不安だ…)跳ねたり走ったり方向も適当にウロウロしてたら道に迷った。…適当に 歩きすぎた!く、くそ。2人がまだ森の上に居ると信じ…狽チてまたあの2人の…「助けが要るのかぁぁッ!?」森中に聞こえそうな大声で自問自答。答がハイなら俺、情けなくないか…?
額と鼻が痛い…少々すりむいたのかもしれない…。「おやまァ…お嬢さん大丈夫かィ?」そう言って助けてくれた人は…しっかりと旗から遠い所へ連れてってくれた。「あ、ありがとうございますお姉さん…」打ち付けた額を摩りながら、頭を下げる。「エルフィネスのヴェルサイユです。宜しく」にっこり笑って自己紹介する。「お船、傷つけてごめんなさい」再度、深々と頭を下げた。ちらっ、と振り返るとグリムさんが登ってきて…転んだのを目撃…。しかもそのまま滑っていってしまった…。どうしようか一瞬考える。旗を取りに行きたいけど、助けてくれたお姉さんを放置するのもな…。
小船で向かう彼らに軽く手を振り。船が近くになるにつれ、大きく横に逸れて海面ギリギリまで高度を落とす。誰かが居れば、此方の姿は一目瞭然だ。見つかっていれば意味はないが、そうでない場合を考えて行動に移す。グリムロック殿とヴェルサイユ嬢が向かった方とは逆の側面に近づき、ぴたりとその背を船を貼り付けた。魔法を使って浮いている以上、中々難しいが出来る限り気配を消そうと試みる。そうして甲板に居る人の気配と声だけで、様子を探る事にした。船倉への入り口の場所を確認出来る距離より手前で大きく逸れ高度も落としたためにその位置が掴めぬのが正直辛いが、潜るに正面からは少々分も悪い。
「…ぅきゃぁ?!」「お…さん大…かィ?」「ほらほら、お嬢ちゃんっ!!こんな甲板に居たら体調も悪くなるから、どこか暖かい所にでも行きましょうねっ!!ホットレモンでも作ったげますっ!!」(…しこめさんの声が大きめで助かった)他の状況はよくわからぬが、しこめさんが誰かを…恐らくは相手側の人だろうが中へ連れていこうとしているらしい。(声の数と内容からすれば…少なく見積もって2人…か?)しこめさんの声が聞こえなくなったら甲板へ上がってみようと思い、静かに息を潜めた。
「お船、傷つけてごめんなさい」挨拶した後、礼儀正しく謝るお嬢サン「おや…ご丁寧にvアタシはアクアに雇われてる李玲ってモンだよゥ。よろしくねェ」可愛いねェv…と微笑みつつ「船は別にアタシの持ち物じゃないし、これぐらいの傷で沈む訳じゃない…構わないだろうよゥ。それより…ちょっと擦りむいちゃったかィ?女の子だもの…気になるよなァ…ああ!そうだ!丁度薬屋がね…」そう言いながら薬屋の居る方向へ振り向くとまた新たな登場人物が勢い良く薬屋と白灼氏の方へ滑っていく…!「白灼氏ッ!」ぶつかる!と名前を呼ぶので精一杯だった―
「…ぐッ!」突進した勢いそのままに急ブレーキ。そのままダム、と地を蹴って方向転換。ウィムさんの隣へすたっと着地する。「緋炎サン、ていうのだね。 ワタシはアグロン。よろしくだっ。」格好良くコートを翻して塔の前に立つ緋炎さんを目で追いながら、こっそり考える。長いコト足止めされてるわけにもいかない。避けたって止められたって、とりあえず、塔の中に入てしまえばイイんだから。「防衛されたら… 突破するっきゃない、よねぇ。」ほんの少し身をかがめて、再度突進体勢を取る。「ウィムさん、いくよッ!」囁くように呟くとワタシは緋炎さん目掛け、力一杯土を蹴った。
遅くなった言い訳を考える間もなく狭い通路にいる。揺れる揺れる…などと、船が苦手な自分を思い出し呪いながら突っ立っている。ふ、と聞き覚えの無い声が上の方から届き、耳が眠りから覚まされると同時に、はっ。覚えの無い声は大きく、届いているはずだが耳は受け付けようとしない。つい一人言が出てしまったのも自ら気づかぬままに旗の位置を確認しようと血の気の引いた頭を左右に振る。「だから早く誰か来い。」oO(ん?)今度は聞き覚えのある声。見覚えのある後姿。何処かで嗅いだ事がある匂い。「って、ガガガガルさんっ!!・・・あれ?」見事に覇気を削がれた。
(…あれっ?俺、引っ張られてるなんか速〜い。わ〜い、飛んでる〜)と思考が多少おかしくなりつつアリスさんに引っ張られて運ばれてるのを確認する「あ…スマン、引っ張ってくれて、ありがとう。」と言い翼を開く風を受け滑空のような体勢になる「…そういえば…あのシャチ…重かったなぁ…そんなに翔んで無かったり…」とか呟きつつ体にかかる極度の疲労でぐったりしながら引っ張られながら滑空する
藪を飛び出た少女は双月を目にすると、この世の終わりだとでも言わんばかりの声を上げた。 表情の色は疲労から驚愕、そして恐怖へ。「さて――」「旗、あげま、せん!」 口を開きかけた双月を遮り、旗を広げ、大きく振りながら少女は声高に叫んだ。 しばらくきょとんとしていた双月は、くすくすと笑い始めた。「元気がいいのは良い事です。元より、簡単に渡して頂こうなどとは思っておりません」 腰と肩の木剣には手をつけず。「申し遅れました、私はフタツキと申します。……お名前をお伺い出来ますでしょうか?」 少女とは対照的に落ち着いた様子で。双月は、そう問い掛けた。
年くった爺さん…そうなんだ見かけでは分からないものねぇ…と納得(何処からか突っ込みが聞こえた気がしたけど気にしない「じゃぁ、緋炎爺と呼ぶという事で手を打ちましょう」わざとらしくポンと手を叩き、にこーっと笑って後を2・3歩ついて行く当然抗議が来ることも予想してるけど…埃を払いながら定位置へ…コートを翻しこちらを向いて立つ様子をなんとなく観察してしまうコートかぁ…カッコイイかもv終わったら新しいコートを新調してみようか?などと考えつつ隣にいるアグロンさんの声を聞く
「防衛されたら… 突破するっきゃない、よねぇ。」「うんうんv」再度突進体勢を取るアグロンさん、真似するように低い体勢を取る「ウィムさん、いくよッ!」「はいっ」掛け声を合図に飛び出すアグロンさんはおっきいから少しでも当たればぐらっとでもするだろうしすばしっこいのが取り得の私が隙間から飛び込む!避けたら避けたで入り口はがら空きそのまま突っ込めるよね!頭の中のシュミレーションは2パターンだけど…さて?年の功とか発揮する?ワクワクと鬼ごっこでもする気分で緋炎さんに飛び掛った
薬屋の出現で、海から甲板側へ意識が逸れる。眼に映ったのは更なる来客。……派手に転んだようだが。李玲氏が助けに向かったのが、眼前の人越しに微かに見えた。記憶が確かならば、あれは……『ほらほら……体調も悪くなるから、 どこか暖かい所にでも……』――― ぉ。何処か愛嬌のある笑みと共に、気付けば薬屋が眼前。記憶を辿る間も無く、間合いも皆無。「それ程ご心配には及びませんよ、持病のようなもので…」しかし、更に続く流れるような話と勢いに呑まれ抗弁の余裕も無く、腕を引かれていく。些か困った事に押し切られそうな……『白灼氏ッ!』……不意に響く、焦り混じりの声。
続く客人は勢いよく現れた途端、船縁で転げて、此方へと勢いよく滑って来たのだと気付いた。……同時に、術の気配がもう一つ。しかし、「しこめ」と名乗ったこの薬屋は此方を見ていて気づいていない。衝突を術で防ぐにも、片手が塞がっては間に合わない。「しこめさん、少々失敬を…お許し下さいな。」やんわり一言詫びながらも、肩から身体を引き寄せる。片腕で両の脚を後ろから一気に掬い、抱き上げた。――― 次の瞬間、床を蹴った静かに硬い音。魔術師はそのまま跳躍し、回避を試みた。
「!!」ピクリ。届いた物音に反応して、耳が跳ねる。…来た!!どきどき。どきどき。さっきよりずっと鼓動が早くなる。緊張。思い出す。俺は今、お客様をおもてなしする執事サン。ビシッと決めた燕尾服。首に巻いてもらったリボン。がんばれ、言われたこと。「だ、ダイジョウブだ。だいじょ」『って、ガガガガルさんっ!!・・・あれ?』「うわあ!!?」誰だ!!すっかり「上」に意識やってたからびび、び、ビックリしたんだぞ!……お?「нiуёко!!コンテスト以来だ!お前も防衛か?」知ってる顔。それだけでパァッと笑顔になり、そちらへ駆け寄る。
この後どうするか・・・・・・全く考えてなかった。とりあえず、周囲の気配を探って判断しようとしてすぐ、意外な事に気付いてしまう。塔に気配が一つしかない。しかも、その気配は慌ただしくて動いている。何か一定の行動を繰り返してるみたい…。そこから、それがアクアマイト側の者の気配で、旗のある小部屋を探してる事が伺えた。他に誰も居ない事から、私自身が防衛に行くしかなさそう。部屋の位置も分かるし、そこに短時間で行く手段もある。ただ、ルトさんにその事は言うに言えない。道を空けた直後だし。だから、苦笑を浮かべたまま「秘密です」と答えた。
ダッパーン!!派手な水しぶきを上げて着水。慌てて浮上してぷしゅうと一呼吸。なんだかさっきより本陣の船が近いような気がする。それに、背びれのつけねがやたらと痛い。振り回されている間、自分の体重が全て持たれていた背びれにかかっていたのだから当然だが。『えーっと、もしかして僕投げられたのかい?』呆けた顔でつぶやく。振り向いて確認すると、さっきの少女は浜辺に向かって走っているようだ。飛んでいる方は、クリック音が届かないので解らないが。逃げていく少女たちをシャチはすぐに追いかけなかった。
『背びれを持って振り回すなんて、自慢の背びれが千切れたらどうしてくれるんだろう。あのニンゲンさんたちと遊んでもつまらないや。それに、また痛い思いをするのもごめんだね。そういえば、そろそろみんな帰ってくる頃かな?』体の向きを浜辺に向け、まっすぐに泳ぐ。途中さっきの二人を追い抜かした気がしないでもないが、とりあえず見なかったことにした。目を閉じてるので実際に見えないのだが。みんなをおろした浜辺に着くと、そろりと目を開く。日の光がまぶしいがもう大丈夫のようだ。『あれ?誰もいないなあ。エルフィネスはとても上手く旗を隠しているみたいだね。早く旗を持って帰ってこないかな?』
返事を待ってると、いきなり振り返ったジャーたんが大声をあげた。何かあったのかな?と振り返ってみると、デューさんが投げ飛ばされていた。………すっごい怪力。世の中には凄い人が沢山居るんだねー。わたしもせめてジャーたんを投げ飛ばすぐらいの力が欲しいな…とかそんな事を考えていると、「俺は2人よりゆっくり塔に行ってみる」とのジャーたんの声。一緒には行けないんだー…と鳥渡がっかり。でも涙声で飛べるのはスゴイとか訴えられたし、ここまで言われたら飛ばないって言うのも…ねぇ?
悩んでいるうちにジャーたんが立ち去ってしまったことに気付き、後ろ髪を引かれながらも、蒼秦さんの手を掴んでゆっくりと飛び上がる。「ジャーたんもあー言ってるし…一緒に行こっかー?」暫くノロノロと…ジャーたんの事が気になるからかあまりスピードが出せないまま飛んでいると、「助けが要るのかぁぁッ!?」というジャーたんの声が森に響き渡った。「…や、やっぱりわたし行ってくるーーーっ!」蒼秦さんの手を離すと、一目散に声のした方へと向かう。「ジャーたーーん!何処ーっ!? いるなら返事してーーーーっ!!」
勢い込んで振った旗。どうだとばかりに振り切ったその向こうで、彼女はクスクスと…わ、笑われて、いる…?!「わー、笑っちゃ、駄目です。沙緒、真剣ですよう!」プクリと頬を膨らませ、意志の強さを示そうとする。逆に赤く染まった頬を強調させる結果になってしまっているが、当の本人は気付かないまだ暫くの間クスクスと笑っていたが彼女は居ずまいを正し、しっかりとこちらを見つめて名前を告げた。「…フタツキ、さん。 えと、シャオ、なのです。初めまして、ですよ。双月さん」息を整え、ペコリとご挨拶。少し詰まってしまったが、変な事は言ってない筈だ。うん。
(まずい…このままだと2人にぶつかる)そう思った瞬間、男の後ろから『白灼氏ッ!』という声が響き前方の魔術師が振り返った。魔術師は、素早くしこめさんを抱き上げると、華麗に宙を舞い、男との激突を避ける。(ふぅ…良かっ…!?)一難去ってまた一難、男の眼前にマストが迫る!ドシン…という大きな鈍い音が、船上に木霊した―
(痛っ…!)左手で、頭を押さえながら立ち上がると前方にしこめさんと、白灼さんと呼ばれていた魔術師その奥にはヴェルサイユさんと、何処かで会った…ような気がする女性…そして旗が見えた。(さて…どう旗を取ったものか…よし!)男は、ヴェルサイユさんを見つめると一瞬視線を旗に向け、再び彼女に戻す。その後、アクアの2人の方に顔を向けながら『御2人共、初めまして。 公国からの参加者、グリムロックと申します。 折角出会えたのですし、まずは自己紹介でも如何でしょうか…?』普段よりも遅いテンポで、そう話し掛けた。
あ。叫んでちょっと冷静になった。そのお陰か、微妙な作戦が浮かんだ。さっき砂浜が光ってたアレ。チラッとしか聞こえなかったけど蒼秦サンの能力なンだよな。…だとするとー…。「……」…実行出来るかどうかも分かンねえけど。 一 応 地面に書いとこう。書き終えて数秒、マジよーく考えれば。木の上に登れば塔と海の方向分かるから道も分かるンだ。…よし。よじよじと再び木の上に顔を出すと。「ん?」「ジャーたーーん!何処ーっ!? いるなら返事してーーーーっ!!」ピカたん発見。少し…割りと向こうには蒼秦サンらしき人影も見えた。
「ココだー」全然無事だから気の抜けた声で返事をする。「ピカたん、ちょっとあの辺りの地面見といてくれー!蒼秦サンにも出来れば伝えといてくれー!」叫びながらさっき微妙なのを書いた辺りを指さす。「俺は旗取りに行ってくるからー!」言い終わると同時に木から下りて、目指すは海の方向。狙う旗はアクアの旗。よっしゃ、マジ頑張ろう!奪還出来る自信は…あンまり無い、いや!有る!有るぞ、マジ!!
二人につられて海を見るとデューさんが飛ばされているのが見えたデューさんが大変なのですーっ大丈夫かなぁ海面に着水するのを見て振り返るとジャジャさんが後半泣きかけな声で言った「俺は2人よりゆっくり塔に行ってみる」「いいか!飛べない俺が言うンだ!飛べるのはスゴイ!早い!便利!羨ましい!有効活用しろよ!」ジャジャさん泣いたですー?私悪い事しちゃったかなぁジャジャさんが森の中に行くのを見ているとピカロさんに手を引っ張られた「ジャーたんもあー言ってるし…一緒に行こっかー?」「はいですーえと・・・」小さい声でごめんなさいと言うと一緒に森の上を移動しはじめる
皆で行けると思ったのにジャジャさんだけ仲間はずれしちゃったのですー後悔しながらゆっくりと飛んでいるとジャジャさんの声が森の中に響いた「助けが要るのかぁぁッ!?」その声にピカロさんが繋いでいた手を放した「…や、やっぱりわたし行ってくるーーーっ!」「ま、待ってですーっ私も行くですーっっ」どんどん距離を離されるものの必死でついて行くともっと遠くからジャジャさんの声も聞こえた「俺は旗取りに行ってくるからー!」
もう沖といってもいい位の深さ海は砂浜まであと少しの距離を示していた。引っ張っていたフィレズさんが翼を広げ滑空体制に入っているが、一考に気にせず突き進んだ。途中投げ飛ばされたシャチに追い抜かれたが妨害する気配が無いので放置。「……到着」だっとジャンプして海から砂浜へとズザザザと滑りながら着地した。「……私は……森の中を行く……どうする?」フィレズさんに上空をいって先に塔に向かってもらうか、はたまた森の中を進むのかを問いつつ森に向かって歩き出し……………べしゃ。蒼秦さんの仕掛けたトラップに引っかかり、大量の砂が靴に纏わりつき、其の侭砂浜に転倒した。
「おやおや?」気が付けば、抱きかかえられて宙に待っている。押し切って船の中まで入り込んでしまおう、という、シンプル イズ ザ ベストな作戦が元気良く飛び込んできた子によって、あっさりと流れる。いや、疲れた手足にはこの抱えて貰えてる状態は楽なのだけど……
「持病かぁ……、根本的な体質改善から必要なのかなぁ?」せっかくなので、そのままで首を傾げながらお嬢ちゃんの風邪を治す事を考えてみる。後は、飛び込んできたり海にはまりかけたりした子達に薬でも配ってやるか、それとも、本来の目的通りに旗を目指すかを考えてみる。「とりあえず、おばちゃんはしこめね?お薬屋って事にしてるわよっ!!」自己紹介なんてされたので、自己紹介を返してみる。もちろん、密かに国名は言ってなかったりする。
む、・・・内緒か。ぬぅ。・・・ふんだ。良い。聞かぬ。良し、行くぞ。旗を奪って外套代わりにしよう。寒いしな。塔の屋上に旗があったはず。よじ登るか。じゃあ、終ったらまた話そうな。蒼雷麗。もう、あまり時間も残っておらぬし、急がねば。上着の埃と泥をはたいて落とし、袖を腹に巻きつけ歩き出す。さぁ、やっと塔だ。偉く長かったな。全然一等じゃないぞ。
『……到着』そういうと跳躍して砂浜に着地する俺は引っ張られたままだが「凄い着地の仕方だね…」羽ばたきゆっくりと降りつつ着地していく『……私は……森の中を行く……どうする?』どうする?…海でも足手まとい的な感じだったのを思い出していると……べしゃ……なにやら不快な音砂に物が落ちる音下を見るとアリスさんが転倒している「大丈夫?」まだ浮かんだままでアリスさんの手をとり、起こす。
起こし終わり、海岸線をちらっと見るいかにもヌメヌメしたような感触が伝わってくる光の反射の仕方アリスさんはあれに掛ったらしい。「森の中を行くのか…俺の作った落とし穴あるし、地面には気をつけて走ってね。」特に地面を強く発音した。「俺は森の上を飛ぶ。そこからキミの援護をする。」天使は飛翔の準備を整えてからもう一言付け加えた「それなら敵からは俺の存在は確認しにくいだろうからね…それじゃ、行くよ」飛翔し森の上を飛び始める
ぶつかるぞッ!そう思っていたら意外にも逞しかった白灼氏は薬屋の女性を抱え跳ぶ(おやまァ…実は白兵戦もいける魔術師だったかしら…抱え上げて跳ぶとはなかなかやるねェ)心の中で感嘆しつつ男の行方を見守るとマストに…!ドシン…ッ(ぅわー…思いっきりいったね…大丈夫か…?)しかし丈夫な御仁だったらしく痛そうに顔をしかめつつ言う『御2人共、初めまして。 公国からの参加者、グリムロックと申します。 折角出会えたのですし、まずは自己紹介でも如何でしょうか…?』ふふ…戦場とは違って普通に和やかに自己紹介できるのが一寸嬉しいよなァ
『とりあえず、おばちゃんはしこめね?お薬屋って事にしてるわよっ!!』薬屋の女性がそう名乗る。妙齢の御仁に見えたが……やはりこの世界は見た目では計れないという事か…「いらっしゃい…って言っていいのかな?アタシはアクアに雇われてる李玲ってモンだよゥ。よろしくねェ…」微笑みつつ答える…がしかし―「ねェ…薬屋サン…そういう事にしてるってのは…いつもは違うのかな…?」何となく気付いてきたが…ここは敢えて…「副業的な職業なのかな…?とりあえず危険回避のためにまた後日置き薬の確認に来たらどうだろう?」にこやかに言ってみる―
「おや…ご丁寧にvアタシはアクアに雇われてる李玲ってモンだよゥ。よろしくねェ」そう言って微笑み返ししてくれた。良かった…怒ってないみたい。「ああ!そうだ!丁度薬屋がね…白灼氏ッ!」額を摩ってたのを見られ、そう言い掛けてくれたが突然に焦った声に変わった。グリムさんは勢い良く滑っていき…マストにぶつかった…!ふと、グリムさんと目があった…一瞬視線が旗に戻り、再度僕の顔を見る…。「?」『御2人共、初めまして。 公国からの参加者、グリムロックと申します。』いつもより遅いテンポの話し方にちょっと不思議に思う…。
…あぁ、そっか。手をポムと叩き、ちらっと隣りの李玲さんを見る。幸い、しこめさんの自己紹介も続き、僕から意識が離れてる…。ジリジリと少しずつ動き、意識がこっちに向かないのを確認しつつ、一気に船首の旗目指して駆け出した。跳躍で女神像に飛び移り、旗を取る。「…えと、これ頂きますー。違う形であったら、またお話してくださ…っ?!」そして再度、魔術によって滑り、真っ赤な海へ真っ逆様に落ちた。
ワタシはアグロン』よろしくという言葉に笑みを絶やさないまま手を振るそこへ何か考え込んでいたウィムさんの声が響く『じゃぁ、緋炎爺と呼ぶという事で』「ぶふっ!あはははは!爺だって言って爺だって呼んできたのはアンタが初めてだよ!あー可笑しい、アンタ、ガキじゃねぇとか言ってるが十分ガキくせぇぜ?」ケタケタと笑い余程可笑しかったのか腹を抱えながら目尻に溜まった涙を拭う
「くくっ、爺だけどアンタよりはお肌ピチピチよ〜ん」獣が突進体制を取るのを見るとふざけた態度を崩さないまま地面にしっかりと足を付け構える『ウィムさん、いくよッ!』「ふぅん、力ずくかぁ…いいねぇ、緋炎爺の得意技だぜーどんと来いやぁー!」楽しそうに言うと片手を翳しドンッ!と音と共に突進してきたアグロンさんを止めもう片方の手から炎を出すと隙を狙おうとするウィムさんを威嚇する「緋炎爺さんはね、脳みそ弱いけど力自慢なのよ〜ん…それから、アタイに触れると火傷すっぞ」ペロッと舌を出すとジワジワと相手が火傷しない程度の熱を手に込めた
軽い音と共に、魔術師が降り立つ。小さな跳躍によって衝突は辛うじて免れたらしい。滑り行く者は眼前を勢いよく通り過ぎ、続けて鈍い音が辺りに響いた。抱えたヒトをゆっくりと静かに降ろす。『持病かぁ……、根本的な体質改善から……』心配から生じたであろうその言葉に魔術師は曖昧に微笑む。魔術を生業とする者の代償。魔性に関わった以上、逃れる事もまた叶わない。
この場に姿を現さない誰かがいる時点で私の知るあのヒトが今如何なる立場か明らかだった。だから、一見和やかに始まったその自己紹介の最中、密やかに動き出すあのヒトを見逃す事はなく、もう一人の足止めしたそうな視線をやんわり無視して名乗りもそこそこに詠唱、歩みを進める。「此度のアクアマイト、守り手の魔術師。 白灼とお見知りおきを……。」それでも残念ながら……その背に、旗には如何にも間に合わない。『…えと、これ頂きますー。……っ?!』奪取の台詞を聴く破目になる。しかし、二本目まで易々と手放す訳にはいくまい。先の術は発動を遅延、再度の詠唱を……
「笑われました…っていうか子供じゃない〜」言いながら飛び掛る(でも爺さんOKかぁ足を踏ん張り構える緋炎爺さんにアグロンさんがまずドンっと体当たり…が、止められた!?しかも片手!?凄っと小さく呟くそして間を空かずして私の番っもう片方の手では炎の威嚇やっぱり?って気もしたり…全身ほぼ真っ赤いかにも炎系な人っていう格好ですからね「炎は好きですよ?(うっとり私も扱いますし…」ごめんなさいvそれくらいじゃ威嚇にならないですvそう心の中で謝るとスピードを落とさず近づく
「緋炎爺さんはね、力自慢なのよ〜ん…それから、アタイに触れると火傷すっぞ」「火傷くらいは我慢できます」そう言う緋炎爺さんに返事しながらにこっと笑う突き出された炎の手を素早く両手で取り、包み込むジジっと少し音が聞こえたような…でも、気にしない「火傷しないようですよ?熱いけど…」と、ぴょんっと飛び上がり耳元で囁いてあげる狙ったのはその踏ん張った足の隙間ダンスのように手を取ってそれを支点に股の下を抜けようと足から滑り込む緋炎爺さんバカ力だし…ひっぱり返される前に手を放さなくては…
「………」砂浜に突っ伏したまま動かずに居るとフィレズさんに手を取られ起こされた。「……」少女は足先から頭まで前面が全て砂塗れで服も顔もドロドロになっている。もしこのまま海へ入り砂を落としたら、今度は海水でベトベトに成ると言う悪循環。その間にフィレズさんは幾らかの助言を送り森上空へ飛び立っていた。気持ち悪いが服は先の理由で脱げない。海水にもはやり入れない。「……仕方ない」少し遠回りをして川か湖畔によってから塔に戻ろうと考え、森の入口に繁る木の枝に飛び移った。付近に数人の気配がある。きっとあのトラップを仕掛けた張本人が居るに違いない。「……見つけて…やる」
(…そろそろ、か?)様子を伺いつつも、少しずつ動き始める。その時、船首の女神像に飛び移る影が見えた。(あれはヴェルサイユ嬢…そうか、上手く――)いったのかと思ったところで。バランスを崩したのか、彼女は真っ逆様に落ちていく。下に広がるのは、真っ赤に濡れた海。行動的には、彼女に注目が集まっているであろう今がチャンスだったかもしれない。密かに行けば、潜りこむまでは可能だったかもしれない。
だが。(さすがに見捨ててまで行ける程、出来てはいない)抑えていた風の力を全開にし、落下する彼女の下へ急ぐ。そうして。「…無事か?ヴェルサイユ嬢」何とか、海面に落ちる手前で彼女を抱きかかえる形で受け止めた。
「えぇ、また後で」そうルトさんに返し、見送る。そして「さて、では私も参りましょうか」とりあえず手近で一番高い木へ跳躍。そのまま枝から枝へと、木の天辺へ。到着したら次は水の糸を作った要領で鉤縄を作成。それを二、三度ひゅんひゅんと振り回した後、全力で塔の屋上目掛けて放り投げる。縄を軽く引き、引っ掛かったのを確認。そのまま足場にしていた枝を強く蹴る。視線の先には塔の窓。更にその先は旗が安置されている小部屋の扉。そこを目指して一直線に空を駆ける。何か、格好だけじゃなくてやってる事まで忍者っぽくなってきた…。
「ココだー」声は割りと近くでした。木の上に上っているジャーたんを発見!体当りしたかったけど、流石にココでやったらダメだろーと我慢していると、「ピカたん、ちょっとあの辺りの地面見といてくれー!蒼秦サンにも出来れば伝えといてくれー!」と、何かが書いてある地面を指差すジャーたん。「ん? あそこに書いてあるのを見とけばいいんだねーっ♪」
「俺は旗取りに行ってくるからー!」と言うジャーたんを見送って、言われた通りに地面に書いてあることを読んでみる。ふむふむー。蒼秦さんにも…見てもらわなくちゃだけど…そろそろ着いたかな?ココにいても分からないだろーし、上空に移動して、「蒼秦さーーーん」と呼びながら大きく手を振り、「そこに書いてあることを読んで欲しいんだってー」先程まで見ていた地面を指差し近づいて来た蒼秦さんに説明する。
『нiуёко!!コンテスト以来だ!お前も防衛か?』一瞬敵に間違われたかと冷や汗。しかし、oO(燕尾服にこんなに温かい笑顔で近寄られれば敵であっても受け容れてしまいそうだ。)なんて思いながら近寄ってきた友人に親しみを感じつつ「お久しぶりです! ええ、私も頼まれまして。 それにしても、ガルさんてば燕尾服なんて着ちゃって・・・」改めて内装と匂いとを辿っていくと、そこには秘密の花園。ではなく、パーティセット。前には燕尾服のガルさん。何とな〜く理解。そのままテーブルの方を向き「何か手伝いましょうか? なければお客さんのフリして旗守ってますが」満面の笑みでそう言った。
とにかく海の方へ一直線に、地面を走ったり木に飛び乗ったりしながら向かってると。「あ」再度地面に降りようとした所で目の前に女の人が現れた。目の前…つまり相手も木の上だ。この人は確か旗を持ってる人…。「お、お嬢さん。一人ですか」何かナンパしてるみたいな台詞が出た。もう一人の人は飛べる…つまり空の上?早くもさっき書いた作戦は実行出来なさそうな雰囲気に。こうなったら正々堂々やるしかない!!「は、ははははは!ここで会ったが何とやら!とりあえず初めまして!アクアのヒーロー、ジャジャだ!よろしく!」ビシッと女の人を指さして「その旗、マジ返してもら……」
ふと気が付いた。彼女、何であんなにドロドロなんだろうか。もしかして砂浜で罠にかかってコケた…?「……」黙って顔の大きさくらいの丸い水の塊を作って、ふよーん、とか音がしそうな感じで彼女に投げた。「あの、とりあえず、顔だけでも洗っていいぞ。拭く物は無いけどサ」流石に全身洗える程の量の水は出せない。魔法はマジ苦手なンだ…。ピカたんと蒼秦サン、こっち来てくれるかな…なんて思いつつ。俺は足下の木の枝に腰掛けた。ん?…こンな事してる場合だったっけか…!?
「ジャジャさん見つけたですー?」森の中へ急降下したのを見て大慌てで降りた場所を探していると再びピカロさんは上空へ戻ってきて「蒼秦さーーーん」と呼びながら大きく手を振って場所を教えてくれた「そこに書いてあることを読んで欲しいんだってー」「そこですー?」言われるままに指差された場所を見ると何かが書いてある「そなのですー。ピカロさんがんばろですーっ」地面に向かって一人頷くとピカロさんに手を振ってから地面の文字を他の人が見られない様に消した
そして目をつぶるとある物の形を思い出すそれをしっかりイメージしながら胸の前で手をかざす両手の間に現れたのは布の部分を棒に巻きつけたアクアの旗・・・に似せた飴の棒「手に持ったらバレちゃうけどこれでごまかすのですーえと、次はジャジャさんに追いつかないとですーっ」それを袖の中に仕舞うとガサガサと音の聞こえる方へ向かって走り出したしばらく茂みを掻き分けていくと木の上にぶら下がっている足に気が付いた見上げると浮いている水玉を真ん中にジャジャさんと砂まみれの女の子が見える「えと・・・追いついたですーっ」状況が良く分からないまま下から声をかけた
どうやら、ヴェルサイユさんは意図に気付いたらしくジリジリと少しずつ旗の方に下がっていく…(よし…後はしこめさんと協力しながら、出来るだけ時間を稼ごう)そう考えながら、アクアの2人へ顔を向けていると奥の方にいる女性が、微笑みながら口を開いた。「アタシはアクアに雇われてる李玲ってモンだよゥ…よろしくねェ…」その言葉に、男は微笑みながら、軽く会釈する。李玲さん…何処かで聞いた事のある名前のような…そう思案しながら、視線を旗の方に向けるとヴェルサイユさんが、身軽な動きで旗を奪ったのが見えた。
(ヴェルサイユさん、お見事!)白灼さんが何やら詠唱を始めているけど、それは俺が封じれば良い…そう思ったのも束の間、彼女はバランスを崩し…旗と共に、船上から姿を消した。…まずい、冬の海に落ちたら大変な事になる。『3人共、手を貸して下さい。 ヴェルサイユさんが海に…!』そう言うと、男は人魚像に向かって走り出していった。
「…下で魔術が発動してるなぁ…」思いっきり下を観察しつつ呟く「……視力高いのは良い事なのか…アクアの旗が二つ見えるよ」どっちも本物かなぁ…なんて考えつつ観察…どっちも本物とすると女性二人は味方…男性一人は…アクアか?…水出したし(えぇ?!下を見て…搭を見て…また下を見て…を繰り返しつつ次の行動はどうしようかと思考中…
ドォン!という衝撃と共に、体当たりした体が受け止められる。ま…負けるもんかっ!四肢を踏ん張り、尚も緋炎さんを押す。間を置かず、ウィムさんも飛び込んできた。『火傷くらいは我慢できます』にっこり笑ってそう言うと、威嚇するように伸ばされた手をとって、ワタシと押し合いしてる緋炎さんの足下へ滑り込んでゆく。な…なるほど。って感心してる場合じゃなくてっ「ガゥッ!」ウィムさんが滑り込むのとタイミングを合わせて、ワタシも一気に押す力を強める。こんな妙な格好で、いつまでも耐えられるハズがない。「今度こそ 通して、貰うよッッ!」言うと同時に、全体重を緋炎さんにかけるっ
…と、思ったところで相手は滑ってそのまま落下。そういえば…そんな仕掛けをしたような記憶がおぼろげながら。後方でも叫ぶような声。急遽詠唱を更に簡易置換して、強度は落ちるが高速発動。魔術師の手から伸びるは魔術で作られた「縄」…物を縛るに良し、吊るすに良し。張って使うも垂らすも結ぶも…拘束も。何でもござれ。汎用性では今回一押しの術。相手が掴んでくれるか、絡めば着水は免れるはず。…が、縄は虚空を通過。魔術師が投げるのが下手だった?否……いや、ソレもあるのだが。対象の落下が途中で変化したのだ。――― 紅い海の上。落下を受け止めた者が、其処に姿を現した…。
ぺこりと頭を下げる少女に、思わず笑みが零れる。「シャオ殿ですね? ……大人しく旗を渡して頂ければそれが一番なのですが、そういったわけにもいきませんでしょうし」 正直なところ、双月はこの少女から旗を奪うつもりは無かった。 見た目は肉体派だが、双月は何でも力づくで解決しようとするかと言えば、そうでもない。 敵陣に持ち帰られさえしなければ、何とでもなる。 つまるところ、交流戦が終わるまで足止めをしていればいい。 力づくで旗を奪うのは、最終手段だった。「さて、どうしたものでしょうか、ね」 隙なく退路を塞ぎつつ、双月は呟いた。
いきなり走り出すヴェルサイユ氏気の抜けてた鳥人はあっけにとられるも滑り落ちる姿に思わず翼を出し海へ向うも、それより早く飛び出す御仁が居た―(なんとまァ…潜んでた御仁がいたか…しかし…アタシも命がかかってないからって気ィ抜きすぎだろ…)自嘲的な笑みを浮かべつつ白灼氏の罠からも逃れたヴェルサイユ氏を抱えてる御仁の前に降りる。「さすがにこのまま逃がす訳にはいかないんだよねェ…その旗返してもらって良いかな?」そう言っておもむろに旗先を掴んだ。(ええと…旗持っての飛んで移動はダメだけど取り返すのはいいよねェ…?)
木々の枝を飛び移りながら進んで直ぐ、感じていた気配の1人と出くわした。『お、お嬢さん。一人ですか』ヒーローのジャジャと名乗った男の人は少女を指差して旗の奪還予告をした。「………」無反応で無表情のままじぃぃっと視ていたら、水球を生成して渡してきた。『顔だけでも洗っていいぞ。拭く物は無いけどサ』「……ありがとう」好意を素直に受け取り、水球で顔に付いた砂を洗い落とす。濡れた顔は持っていたハンカチでふき取った。『えと…追いついたですーっ』不意に下から掛かる声。もう一つの感じていた気配の相手。あと1人……まだ近くに居るはずだ。
楽だった体勢から再び甲板に立つと、アクアのお二人さんからも自己紹介を受ける。どうも玲ちゃんと名乗った方にはあっさりと正体がばれたご様子で……さて、どうしようかなと考えていた矢先いきなりヴェルちゃんが舳先へと走り出したかと思うと、旗ごと海へまっさかさまっ!!「ちょっ!! あぶなっ!!」いくらなんでも準備体操無しで寒中水泳は危険だと思いかけた瞬間、現われた男の子によってヴェルちゃんが救い出される。プロちゃんだ。
流石はプロちゃん……と、一安心している所でよく回りを見ると……「ちゃーんす?」ぼそりと呟く。流石に海中へ誰かが落っこちるというハプニングがあったせいで、誰も此方を見てはいなかった。「後は。時間がねぇ……」ぼやきながらも出来るだけ音を立てないように、船内へと体を滑り込ませる。
下げていた頭を上げ、双月さんを見る。「さて、どうしたものでしょうか、ね」彼女はこちらを見たまま微動だにしない。うーんー…通せんぼ、かなぁ…。困った。やはり彼女は見逃してくれそうにはない。辺りがやけに騒がしくなってきているし…それにそろそろ時間が…少し様子の変わり始めた空を見上げ、考える。賭けに、出てみようか?意を決して目の前に立つ女性に向かって声をかける。「双月さん、あの、あのね? 沙緒と鬼ごっこ…しませんか?」ギリギリまで、足掻くのもきっと悪くない。少しばかり緊張しつつ。それでも楽しげに少女は言った。
頭から真っ先に落ち、耳元で風を切る音が聞こえる。思わず、ぎゅっと旗を握り目を瞑る。あと少しで海面に激突…するはずだった。「…無事か?ヴェルサイユ嬢」そろそろと目を開けると、海面すれすれでプロシオンさんが抱きとめてくれたらしい。心の底から、ほっとして安堵の息を吐く。「あ、ありがとうですプロシオンさん」冬の海なんて流石に泳げないよねー…。ポスッと頭の上に縄が落ちる。ん?何だこれ??思わずグイグイ引っ張ってみる。
グイグイ引っ張るのに夢中になってると、目の前にバサリと李玲さんが降り立った。「その旗返してもらって良いかな?」と、徐に旗先を掴む。「!?」思わず、取られまいとギュッと旗をしっかり掴んでしまった。えと…どうしよう…。
「これか?これはまず形からって…え?」その後の言葉を聞いて、目をぱちくり。さ、作戦ばれてる?нiуёкоは味方だから、だいじょぶ、なんだ、が。敵にもバレバレだったりするのか?どどど、どうしよう!またどきどきが大きくなってきたぞ!いや、いや待て。待つんだ。落ち着いて考えるんだ。そういや知将は1を見て10を知るとかどっかで聞いたぞ。おぉ!これがそうか!そうなんだな!「じゃあお客さん役!お願いするぞ!」そう言って、いそいそお茶の準備。心強い味方登場で、嬉しいんだぞ!
「……ありがとう」そう言って顔を洗う彼女を眺めつつ「いやいや、どーいたしまして」とか、何かもう半分和んでると。「えと・・・追いついたですーっ」聞き覚えのある声がした。お、蒼秦サンだ。(何かもう…)いっそココで皆で飴でも食べながら、何味の飴が美味しいかについて語ったりとかしたいな。はっはっは。でも、そうはいかないンだよなぁ…。「とりあえず、エルフィネスのお嬢さん!その旗、マジいただくぞ!」旗を狙って相手の乗ってる木の枝に飛び移り、旗を掴んだ。
旗を掴んだ。掴んだ…。のはいいが。――足が滑った。作戦だとか何だとか関係無しに、俺は マジ素で 足を滑らせて地面に思いっきり落下。唯一幸いだったのは落ちる勢いが強かったのか、掴んでた旗が相手の手から俺の手に移った事。でも俺は地面とコンニチハしてしまった痛みでロクに動けない。「蒼秦サ…」頭も動かさないままズルズルと地面を這って蒼秦サンに近付くと「はた…」俺は彼女に全ての希望をたくして力尽きた。…這った体勢が悪かったのか両手は自分の体の下。土と体重に挟まれてマジ痛い…。
海を見下ろせばヒトが二人に旗一つ。……安堵、否。憂慮すべき、か。不意に、縄…というか寧ろ紐が引っぱられる。お返しとばかりに此方もクイっと引返す。思ったより強い力でグイグイと引いてくる。両手でどうにか…何処か釣り人気分。掛かった獲物は…先ほど落ちかけたばかりの御仁。どうやら垂れ下がっていた紐が気に掛かったらしい。……戯れにじゃれ付く姿についつい和む。いや、真剣に引きずり落とされそうなのだが。――― 刹那、陰が差す。次の瞬間、魔術師の目に映ったのは颯爽と翼を広げて現れた、李玲の背中。
「かかかっ、そうやってムキになるとこがガキだって」アグロンさんを抑えたままケタケタと笑う力自慢というのは伊達ではないのか地面を踏みしめた足は少しも動いていない「あーあぁ、そんな無茶して俺様交流相手に火傷負わせられるわけないでしょうがー」笑みを浮かべて手を掴むウィムさんに呆れたように言うとすぐに炎を消し離されそうになった手をしっかりと掴む「うぉっと…あんたもなかなかやるね…でも残念ーっ!」満面の笑みを浮かべると掴んだ手をくるりと回し全体重をかけてきたアグロンさんの背に乗せるように上に放り投げた「あーっ、手痺れたー」
蒼秦さんが地面を見たのを確認して、わたしもジャーたんの元へと向かう。気付かれない方がいいだろーと、あまり音を立てないように珍しく慎重に進んでいると、途中で蒼秦さんに追い抜かれた。騒いだり五月蝿くしたりするのは得意だけど、こーいうのってホント苦手。思いの外時間がかかって、やっとジャーたんの姿が……思いっきり木から落ちるところだった。
「買Wャーたーーんっ!!?」驚き思わず大声で叫んでしまう。慌てて口を塞いだけど、多分もう気付かれた…。こーなったらしょーがない!開き直って急いでジャーたんと蒼秦さんの元へと駆け寄る。「ジャーたん、大丈夫? あ。旗は…わたし持つよ!! …ひとつは」最後の部分は蒼秦さんにだけ聞こえるように声をひそめる。確か蒼秦さんは旗(?)を2本持ってるハズだ。蒼秦さんからどっちが手渡されるか分からないけど、二手に分かれれば、相手はどっちを追いかけるか迷う…と思うし。
男が走り出すよりも早く、白灼さんと李玲さんが動く。白灼さんは、手から縄をヴェルサイユさんに投げたらしい。李玲さんは、翼を出して、海へ向かっていく…(2人共、凄い力量だ)これなら直ぐに救助出来るだろう…そう考えながら、人魚像に駆け寄って行くと男の方からは死角になっていた部分に、2人の姿が見えた。どうやら、プロシオンさんが抱きとめていたようだ。(ふぅ、良かった…)男は、ほっと胸を撫で下ろす。
(…うん? ヴェルサイユさんと李玲さんが 旗の引っ張りあいを始めたみたいだ 白灼さんも、彼女と綱引きをしているみたいだね)緊張の糸がプッツリと途切れてしまったのか男は床に座り、その光景をぼんやりと眺め始める。(あの状態で、俺が援護に入ると邪魔になりそうだし…ここは2人に任せよう)ふと思い出したように、胸元の懐中時計を覗き込む。…どうやら、残り時間は僅かの様だ。楽しい時間が過ぎるのは早い。『ヴェルサイユさん、プロシオンさん、残り時間は後僅かです。 本陣から旗が離れていればOKの筈ですから、ファイトですよ!』男は、2人へ向けて大声でエールを送った。
「…今、なんか落ちたような音が…」ははは…まさかな…こんな時に落ちる間抜けなんて………居た……森の中に光と共に降り立つ様に光球と共に降りてみると地面に突っ伏してる人一人…「…痛そう…大丈夫か?」体を起こそうかと思い…ふと前を見る…旗だ…「あいにく…こちらも、取られる訳にはいかないんでね…」取ろうと前に進む…下に突っ伏してる人につまづく「…やっべ…」体勢が崩れ、転びそうになるが、旗の柄を掴む…「下のぉ!すまねぇ!」体が地面に近づく…
「あ、ありがとうですプロシオンさん」「…どういたしまして」笑みで返すもそこそこに、縄と一人の女性が降りてくる。掴まれる旗、引っ張り合いになる縄。どうにか出来ればいいが、自分が旗を持てばその瞬間に2人とも冬の海だ。旗を掴む彼女に持たせれば、持った途端に飛べなくなるが。縄があればその問題も回避出来てしまう故に、打開策にならない。紐を断ち切る刃もないのだ。(どうする…)抱えたまま、事の成り行きを見守りながら思考は巡る。その時、懐にあるカードから声が響いた。「…そうか、分かった」
ヴェルサイユ嬢を何とか少しの間だけ片手で支え、懐から1枚のカードを取り出す。「…惜しいが、これにて時間切れだ皆」そして、天高くカードを中空に投げ上げる。「…大きな音が苦手ならば、少し耳を塞いでると良い」ヴェルサイユ嬢を抱え直し囁く。そして、顔を上げて叫んだ。「―発動ッ!」同時に。大きな音と共に、空に巨大な花火が咲き始めた。それは、終わりを告げる合図。
旗を奪われ、落下地点に集まる幾つかの影。追う事無く木の枝上から見下ろしていたら、最終的にフィレズさんが旗を持っているのが見えたが、他の二人も似た様な物を持っている…ようにも見えた。……ドド〜ン!突然響き渡る炸裂音と舞い振る火花。どうやら交流戦の終了時刻が来たようだ。枝から踏み出す用に空中へ踊りだし、ゆっくりと降下を開始した。「……皆……其処まで……ゲームは……終わったんだ」微妙に大変な事になっている皆の元へ降り立ち、終了を次げた。
「あ〜……やっぱり間に合わなかったわよね……」頭をボリボリとかきながら甲板へと戻ってくる。「で、皆何やら乱闘中だけど、ほらほら、仲良くなさいな?」気が付けば人がたくさんになってる船上と海上を眺めながら「まずは、甲板に上がってきて……それから、怪我とかある子には薬があるから云ってねっ!!ただし、治療は自分でお願いねっ!!」そういいながら、とりあえずは、綱引きを楽しんでる白ちゃんへと手を貸す。
風に乗せて、声が響く。『公国側の主催より、この時間をもって交流会の終了を宣言させて頂く。両国の参加者の方々には、多大なる感謝と本当にお疲れ様の言葉を。旗は今持っている方々はそのままもう暫しお持ち頂くように御願いする。そして、今係の者をそれぞれの所へ向かわせているので参加者諸氏はその場で暫し御歓談の上御待機願いたい。この後、もう暫しの間だけ両国の参加者同士で歓談の場を設ける予定なので、係には其方へ転移にて案内させる。場所はアクアマイト側本陣、船上の予定』
『なお、結果についてはアクアマイト側が船倉に1本。公国側が塔の屋上及び小部屋の2本なので、2対1にて終了となる。12日間、本当に御疲れ様。…最後に。この言葉を両国の王への送らせて頂き閉幕とさせて頂く。公正なる森の王、慈愛深き海の女王、御二人に敬意と感謝を』
落っこちたジャジャさんから旗をもらうフリをしてしゃがんで袖からニセの旗を出すと上から光る羽の人が降りてきた驚いて見上げているとその人が旗に手を伸ばしてきてジャジャさんにつまづいた潰されたジャジャさんと巻き添えくらって潰された私の叫び声は終了の花火の音にかき消された「役に立てなくてごめんなさいですー・・・」潰れた下からピカロさんの姿が見えたのでそのまま泣きながら謝った
『じゃあお客さん役!お願いするぞ!』なんとなーく察した私の言葉はどうやら本当だったようで。ガルさんは可愛らしく目をぱちくりさせていた。しかし、悩んでいた顔が晴れて協力をお願いされた時は嬉しかった。oO(いつだって誰かに頼まれる事は嬉しい)少し照れた。ガルさんは何か準備を始めたらしいので、私も言ったからには頑張らねば。と気合を入れる。お客さんらしく振舞う練習をしようと机に目をやると、そこにはお菓子らしきものが。ここは、一ついただ・・・『どーーーん!!』
お菓子をもらおう等と思ったせいだろうか、ドキっ。爆発音が木霊している。私はハラハラしている。すると、『公国側の主催より・・・』どうやら、お客さんとして振舞う必要は無くなったようである。「って、終わっちゃいましたねガルさん。」「…交流会でお菓子食べれるかな…」ぽつり。はっきりしない言葉が消えてしまう間に頭の中で祈った。oO(御二人に敬意と感謝を…)森の王と海の王女を思い描きながら。
「面倒がらずティーポットを使う、お湯は、熱いのじゃないと、ダメ……」教わったことをブツブツ復唱。まずティーポットと、お?茶葉の入った缶は…おぉ、あったぞ。これを(どーーーん!!(カラーン!「わ゛あ!!!」すぐそばで大きな音がした。何だ何だ、敵襲かッ!?そっちが最初からソノ気なら…!身構えた俺の耳に届く、主催の声。「終わ、り…?」今までお行儀良くしてた尻尾を一振り。なんだ。結局人、来なかったな。 「歓談会かー、楽しみだなッ。な、нiуёко!」
нiуёкоの方を見ると、なんだかソワソワ。どうした?そう問いかける前にнiуёкоが言った。あぁ、終わりだ。「そうだ!俺達、旗守り抜いたぞ!!」任務、やり遂げた!満足そうに尻尾をパタパタ。そうだ!アレやりたいぞ、アレ。仲間とコブシこつんこする奴。任務完了の証だ!!нiуёкоが応えてくれるかはわからないが、やってみたいからやるんだぞ!わくわくしてコブシを差し出し、やっと気づいた。足元に転がる缶。強いハーブの香り。空っぽの手。……………………茶葉、ぶち撒けちゃったみたいだぞ。
声が聞こえてきた。ん?ああ、そうだ。守り抜いたんだ。てことは、やり遂げたんだ!!喜びがガルさんの一言でふつふつと沸いてきた。すると、ニコニコのガルさんが拳をこっちに!「私らやったね!」と遅れて私もコブシを作り、ガルさんのコブシへこつん。自然と笑みがこぼれちゃう。と、ガルさんの視線が…下………あー。うん、良い香り。「…まだ飲めるよきっと。うん。」とか言いながら、落ちたらしい茶を集めようと床に屈んだ。oO(今度はガルさんと一緒に片付けだわ。)何だかおかしかった。
ムキになんてっ残念ーっ!っという声ともに掴まれた手を引っ張り戻されふわっと宙に浮く感覚そしてぱふっと置かれたのはアグロンさんの背胸に何やらこみ上げるものが…鼻がつんとする(年の功には勝てないのかーっ!頑張って考えてもちっとも通用しないでひょいっと返される…あの人みたいだっ!いつの間にか誰かをだぶらせていたようで…勝手なことを、頭の中で毒づくうるうるっがバレないように…緋炎爺さんの赤い髪をじっと睨み付けながら。ドド〜ン!いきなり背後で大きな爆発音振り返り見上げると花火
次いで風に乗って…終わりを告げる声はぁぁ〜っと詰まっていた息を吐く「終わっちゃったみたいです」アグロンさんの背をポンポンとする…と、預けていた全体重ぐっと戻すように体を動かし一歩下がってくれる「旗、取れなかったじゃないですかぁっ」背に乗ったまま緋炎じいさんに文句をつけるそれから、反省「むぅ…戦争が終わるまでじゃなく、終了時間があるって事をすっかり忘れてました」アグロンさんの背にへにょる緋炎爺さんを見ると…まだうっすら赤いおでこが目につくそして…自分の無傷な手を開いて眺めた
真っ暗な夜空に沢山の大きな花火。『ドドーーーン!』「ヒィぎゃッ?!!」あまりの音の大きさに最初同様、ビクリと耳を竦ませる驚いて空を見上げ、そして手に持つ旗を見やり。「あー、うぅぅ。負けちゃったぁ…」少しうなだれ、耳を下げ、小さく呟く。残念だけれど…終わってしまった。風に乗って届いた声によると、旗を持っている自分はここから動かないほうがいいらしい。構えていた旗の柄を地面につけ、双月さんにむかってもう一度ペコリとお辞儀。「旗取り、おしまい。お疲れ様、でしたっ」そう言って、ニコリと笑った。
紐が引っ張られた…。どうやら垂らした人も引っ張ってるようだ。楽しくなって、引っ張って遊ぶ…その頭から徐々に旗の事など忘れられ始めた…その時、『ヴェルサイユさん、プロシオンさん、残り時間は後僅かです』はっ、そうだ!旗取りしてる最中だった!遊んでる場合じゃないんだ!「…そうか、分かった」ふとプロシオンさんがそう言った。懐からカードを取り出し、上へ投げる。「…大きな音が苦手ならば、少し耳を塞いでると良い」
「…へ?」囁かれた言葉に一瞬、きょとんとする。が、直後――「ひぃっ!!?」上空で巨大な花火が上がった為に、ま悲鳴を上げる。思わず、両手で耳を塞いだ。両手に持ってるモノを放棄して…。流れるアナウンスに終了したのだと、理解する。あぁ…終わったんだ…「お、お疲れ様です」プロシオンさんと李玲さんに言った。
ズドーン…(いや…すまん下の者…思いっきり乗っかってしまった)自分の手を見ると旗を掴んでる…女の人を巻き添えにし倒しているのも見えた。…ド―――ン…終了の合図らしい、旗を持っている者はその場に居なくてはならないみたいな事も聞こえた「う…スマン!」(暫くボーっとしてて、潰した、倒したの状態なのを忘れていた)慌てて起き上がる「あ〜…俺、体重10kgしか無いから…多分平気だとは…思うんだ…が、スマン。」ほぼ90°に頭を下げる「俺、フィレズ=ヴォイド 交流戦なのに、挨拶すらしてないから…遅めの挨拶だ」潰してしまった相手を立たせ、地面に座る
気を失おうにも頭上で色々聞こえて無理だった。マジ俺の頭上で何が…?とか思ってたら、ふと体が軽くなった。どうやら何か降ってきて上に乗ってたみたいだ。「あ〜…俺、体重10kgしか無いから…多分平気だとは…思うんだ…が、スマン。」おぉ、どうりで死ぬ程重いとは思わなかったワケだ。聞こえてきた声に心の中で反応していると、降ってきた彼が自己紹介の後、起こしてくれた。「…マジ感謝」起きれたけどまだ全身痛い。俺もフィレズさんというらしい彼と同様、地面に座り、「ん?」周囲に漂う和やか空気でふと気付く。「もしかして、もう終了したのか!?」焦って自分も自己紹介するのを忘れる俺だった。
塔を攀じ登ろうと壁の凹みに指をかけた時だった。ドォーン。終了の合図。あぁ、取りきれなんだか。まぁ、それも仕方ない。皆はどんな風に楽しんだのだろうか?だが、此処からが本番だ。己を見せ合う段階は終った。次は交流だ。うむ。趣旨から言えば、こっちがメインなんだよな。酒と食い物の用意には参加してないから何があるか知らないんだ。さぁ、うむ。お楽しみの時間だ。喰いにいくぞっ。
目的を失った手をどう引っ込めよう。声が止み、最初に思ったのがそれ。次に気に掛かったのは、これまでパタパタと気兼ねなく開け放した扉。「むぅ・・。流石に開けっ放しはいけませんよね・・・。」でも閉めて帰るの面倒ですね。んー。あ。あそこに居るのは監視員さん?よし。巧く言ってあの方に押し付けちゃいましょう!
そう思って話しかけた筈――なのに。何故か私の手には、バケツとモップ。・・・・・・。「・・・えーっと?」『塔の入口。水浸しにしたの、貴方ですよね?掃除ヨロシク。』ぴっと階下を指差して。えぇ。確かに。私がやりました。やりましたとも。「分かりましたよ!やれば良いんでしょう、やれば!」腹を括ってずかずかと廊下を進む私に、『扉も忘れないで下さいね。』監視員からの畳み掛け。――貴方、実は私と性格似ていますね?「分かってますー!」こうなったら、人が転倒するくらいぴっかぴかに磨きあげて差し上げますよ!
「ん、御疲れ様」閉幕宣言を終え、傍にいた2人へと。そして、抱えたまま上昇し甲板へ降りるとヴェルサイユ嬢を降ろし、グリムロック殿と白灼嬢にも御疲れ様と声をかける。そこで先程まで彼女が持っていた旗が見当たらない事に気付く。…だが、気にしている時間がなかった。「さて。飲物なり食べ物なり…場を準備せねばな。物は塔に用意があるが、あそこでは少々味気ないので此方を使わせて頂くよ。海を生活圏とする方もいる事だしね」順次、物は係の者が運んできてくれるだろう。
後は、バラバラの位置に居る人々を集めなければ。懐からカードを取り出す。「報告書よりそれぞれの位置へ飛び順次此方の船上へ転移にて誘導してくれ」遠隔通信の役割を果たすよう魔力を込めたそれに声をかけ、別途それのために待機している係の者達へと伝達する。「宴会の会場になる此方の座標は…」そうして、告げた。
【エルフィネス&アクアマイト】復興の旗・宴会場【交流】(http://www.if-kingdom3.com/15-1.htm?mid=19318)此方にて、宴会の場を設けさせて頂いたので締めを終えられた方より宜しければ此方へ。飲物や食べ物等は存分に用意させて頂いているので、それを片手に仲間や相対した人達と語らう場として活用してくれ。
さーて、これから頑張らなくちゃ!そう気合を入れた瞬間…ドォーン…と終了の合図が聞こえた。「…えぇーっと。 もしかして、終わり…なのかな?」折角気合を入れたのに、何だか損した気分。「わたしも全然役に立ってないから大丈夫だよーっ♪」とフォローになってないフォローをしながら蒼秦さんを助け、ジャーたんの方は…と振り返ると、地面に座って見知らぬ男性と話をしていた。「木から落ちたのに…ジャーたん全然平気そーだねー」くすくすと笑ってジャーたんの横に座り、「あ。エルフィネスの方…だよねっ! アフロとトラップをこよなく愛するピカロだよ!」にっこり笑って自己紹介をしてみた。
綱引き、旗取りの最中……それは告げられた。『…惜しいが、これにて時間切れだ皆』そして、天高く投げ上げられたカード。――― 轟音と共に、空に咲く大輪の火の華々。「おやおや、それは残念。」天を眺め、紐を握る力が緩む。紐は虚空へ。そして紅い漣に漂っていく。続けて……辺りに声が木霊した。これが終幕の合図であったらしい。――― いや、此処から始まるのだ。
「おつかれさま、愉しい時間をありがとう。」……すぐ傍の相手へ、甲板上の者へ。そして、海上から甲板へと戻った者達に。それぞれ、互いを労う言葉を口にする。さあ、さあ、宴の支度を始めるとしよう。同胞を、客人を……皆を迎えるその為に。魔術師は船倉の酒の事を思い出し、笑みを浮かべた。そして、小さく囁くように……――― 公正なる森の王、慈愛深き海の女王。 御二人に、それぞれの民に……敬意と感謝を。
プロシオンさんに抱えられ、甲板に降り立つ。「お疲れ様でした」座り込んだグリムさんとお姉さんにも挨拶と笑顔を向ける。そこでふと思い出す…あれ?お姉さん、どっかで会ったこと…。「さってと、宴に参加しようー♪」うきうきした足取りで宴会場へ向かう。
…声のする方向を見ると、俺と同種…つまりは天使…の女性が居る「…あぁ、よろしく。俺はフィレズ=ヴォイドちょっとした商店やってる」ここまで言って、一つ思い出した事がある「あ…そういや、アクアの船で交流会やってるんだよなぁ…係員は何処だ〜」立ち上がり、後ろを見るとアリスさんが居た「お……交流戦、お疲れさま。本陣目の前にして終了はちと悔しいな…まぁ、楽しかったし、良かったよな?」旗を地面に刺し、のびをする「若干の悔いが残るくらいが、刺激があって良いのかもな…」警備員だか監視員だかを探し始める
「わたしも全然役に立ってないから大丈夫だよーっ♪」「ありがとうですー」ピカロさんに手を引っ張ってもらって起きあがった「旗取り負けちゃったですー」服のホコリを払いながら見るとジャジャさんと羽の人とピカロさんが座って自己紹介をしていたので羽をぱたつかせて一歩近寄ると「私も自己紹介するですーっえと、飴魔法使いのみならいのソウシンと言うですーどうぞよろしくですー」ペコリとお辞儀をした一緒に座るかちょっと考えていると茂みの向こうから転送員を名乗る人が現れ交流会場の説明をしてきた「皆で会場行くですーっ」嬉しそうに両手を挙げて言った
なんだろ、酷く頭が痛い。「ん…んん……」ゆっくりと瞼を開けると、ぼやけて見えるのは石造りの天井。「ここ…は?」私は…寝てた?何でこんなとこで寝てたんだろ。・・・・・・・・あっ!思い出した。水の鉤縄で塔に飛び込んだまでは良かったんだけど、勢いそのままに突っ込んでしまったせいで、目的の扉に真っ正面からぶつかったんだっけ。慣れない事、するもんじゃないなあ。そんな事を考えながら立ち上がる。長いこと倒れてたみたいだけど、周囲の様子から既に勝負が終わっていたのは理解出来た。なら、あとは船に向かわないと。ゲームの後はあっちで何かあるって聞いてたし。
ぼんやり手を眺め…迎えを待つ転送員さんの到着を待ってたかのように…ばっと起き上がり二人に声を掛ける「これから宴会なんだってv美味しい料理が待ってるそうですよー♪甘味あるかな?甘味v」「じゃぁ、お先に〜v緋炎さんも来て下さいねぇv」アグロンさんの背をぽんぽんっとし転送員さんの頷いてOkの合図を…緋炎さんに手を振りながら…二人揃って船へと戻っていった。
背に乗っかったウィムさんに、なるたけ柔らかく、ぐるる、と啼く。残念だったなぁ、…というか歯が立たないどころか手も出せなかった感がひしひしと。…とはいえ。「緋炎サン、お相手ありがとうねぇっ」転送される間際に、緋炎サンに向かって尻尾を振る。交流会はここからが本番。…だよね?お酒あるかなっ♪
花火の音と共に交流会の終了が告げられる。アクアマイトは負けてしまったらしい。旗の奪取に向かっていたみんなもアクアマイトの方へ戻っているようだ。『負けてしまったのかい?それは残念だなあ。じゃあ、エルフィネスのみんなには昆布をたくさん用意しなくっちゃ!きっと大喜びだよ!なんたって昆布だもの!』負けたというのに楽しそうにはしゃいでいる。昆布を贈る事が嬉しくてたまらないらしい。『船の上でしょう?僕が出てきたらみんな驚いてしまうよ!そんなに疲れていないから泳いで帰るね。早く帰ってご馳走をもらわなくっちゃ、キュギギギギ!』転送員にそう告げると船に向かって泳ぎだした。
「皆で会場行くですーっ」一通りの自己紹介が済んだ後、突然現れた転送員サン。飲み物と食べ物…船の上でパーティか…。ふふふ、カッコイイ俺が無駄にはしゃいで喜ぶワケ…あるンだよな、コレが。「よっしゃ!行こう行こうすぐ行こう!」超素早く立ち上がって転送員サンに近寄る。「俺いっちばーん!!」こういう時にはれでぃーふぁーすとも何も無い!!転送員サンも森に来るまで多少時間かかったかもだし!明らかに遅刻だろうからマジ急がねばー!!「じゃあ、また向こうでー!」俺はそう言い残して真っ先に転送してもらった。マジお腹空いたし喉も渇いたし!早く飲み食いしたいしな!
「……はふぅ…」旗を置き、一つ息を着く。「おなか、すいたなぁ…」夜空を見上げ、更にポツリと呟く。先ほどの声は、旗を持っている者はその場で待つように、といってたが…「まだかな。まだかな………あ。」目の前に転送員さんが現れる。とりあえず旗を渡し、この後の説明を手短に受け…「宴会?宴会、という事はー…ご飯。ご飯、ですね!!」あまりの勢いにたじろぐ転送員に早く!早く!とせがみ、会場まで転送してもらう。「お先に、行ってます、ですよーっ」消える間際、大きく手を振り、そんな一言を残して
どうやら転送員が来たらしい「あ〜次、俺頼む」そっと近寄り、転送員に旗を渡しながら言う「でも、ご苦労なこった…一人一人を転送するために、わざわざここ来るなんて」転送が開始されたなんか妙な感覚だ…体と精神が離れたり近付いたり…「転送員さん、ありがとな。」そう言うと姿は消えたしっかりと転送された様だ